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今上さん

 どこか聞き覚えのある声。しかも一回だけじゃない。何回も聞いたような声なんだよ。あの人は。


「今上さん?」


「葵……八坂和さん、一旦やめてもらえるかな?」


「は、はい」


「な、なにするん…」


 ーーバシッーー


「いたっ!」


「ち、ちょっと!冷に何するんですか!」


「君たちは、過去を、今回の事件の真相を暴こうとしてるね?」


「はい…」


「やめておきなさい」


 なぜこんなことを言うのかわからなかった。よりにもよって全く関係のない人が、まるで全部を知っているかのようにそう僕に突きつけてきた。


「あなたは何を知ってるんですか!」


「そうは今言ってもわからない」


「私たちは解明しなくちゃならないんです!」


「なぜ?このまま過ぎ去れば何事もなく終わるだろう?君の祖母の心も確実に癒えてはくる。八坂和さんと冷斗くんの関係性もまた作っていけば良いじゃないか。」


「でも…!」




 なぜ君たちはそこまで過去に執着する




「何だ今の…?」


 今上さんは喋ったのか?いや違う。口は動いてなかったし…どちらかといえば直接脳に語りかけていたような…


「うぅ…」


「葵!大丈夫か?」


「君たちは後ろを見ないで良い。未来を見とけば良いんだよ」


「いつか…あんたの前に俺は現れる…そん時は…また色々聞かせてもらうぞ…」


「ちょっと戻ってるのか…まぁいい」


 気づいた時には、姿はもう見えなくなっていた。


「なんなのよあの人…」


「葵、何かその…脳内に喋りかけられたような感覚なかったか?」


「なかったわよ。ずっとなにかあの人から嫌な感じはしてたけどね」


 あれはいったい何なんだ。あの人が語りかけてたのか?いや違う。少なくとも今のあの人ではなかった。


「私たちはいったい何を解明しようとしてるのしてるのかしら…」


 頑張って微笑もうとしてるが曇った表情で言った。


「そうだな…僕も何が何なのか」


 過去を暴けば何かわかるかもしれない。そんな曖昧な気持ちで葵を、翔真を巻き込んでしまった。これ以上みんなに迷惑をかけてられない。


「ごめん。今日はもう帰るよ。ありがとね」


「う、うん。わかった…」


 彼女の表情を見ることもなくただ地面とにらみ合いながら帰宅した。




 自宅に帰り家にあるできる限りの過去に関係ある本や写真を探した。


「これっぽっちか…」


 おかしすぎるぐらいない。幼稚園の時のアルバム、小学中学の卒アルがないとかそんなことあるのか。さすがにそれぐらいは僕でも残してるとおもってたんだけどな。

 あったのは


「水瀬冷斗備忘録?」


 押入れの奥の奥にある昔使ってた貯金箱に入っていた。書いた覚えなど当然ない。


「…少し血の匂いというか、嫌なにおいが…」


 僕はページをめくった







 ーー読むなーー








 どういうことだ。忠告を無視して次のページをめくった。


 そこにはこう記してあった







 ーー俺は過去のお前だーー






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