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遠ざかっているのか近づいているのか

 冷!」


 最初こそピンとくるものがあまりなかったがその名前がやけにしっくりくる感じがした。


「思い出せないかな……?」


「いや何か思い出せそうな気がしたよ」


「そう」


 また曇った顔をしながらつぶやいた。


「もう少し詳しく聞かせてくれないか?僕の過去の事。」


「えぇ〜、これでも結構勇気出したんだけどな〜」


「頼む。もう少しで何か思い出せそうなんだ」


「わかったわよ……」


 数秒間の沈黙の後、葵はゆっくりと口を開いた





「私、八坂和 葵は水瀬 冷斗とお付き合いをしていました。」


 葵から出た言葉が僕の頭の中で反響するように駆け巡った。


「お付き合い……?」


「えぇ、私は冷と付き合ってたの」


「そんな過去あったのか……うっ……」


 またあの時の頭痛だ……


「ちょっと冷!大丈夫?」


「あぁ…少し頭痛がな……」


 そうだ。この頭痛は過去に近づこうとすると起こる。何とか耐えて過去を聞かなくちゃならない…。


「葵…続けてくれ……」


「えぇ!?ほ、ほんとにいいの…?」


「いいから…!」


「わかった…。私たちは多分1年くらいかな。喧嘩とかしたこともあったけどちゃんとデートとか行ったしとっても幸せだった」


 あぁくそ……何とかメモしてるけど今にも頭が割れてしまいそうだ……。


「中学3年の時かな…。あなたは何も言わずにこの地を去っていった」


「中学3年……あぁ…!」


 やばい……頭痛が……意識が持たな……い……


 ………バタッ


「冷…?冷!!」






 あぁ……俺はまた……真実に……近づこうとすると……





「……斗……冷斗!」


「……ここは?」


「冷のおばあちゃんの家よ!もう……心配したんだから……!」


「す、すまん……」


「ほんとだぜ。葵は冷斗のとこから離れねぇし、お前のばあちゃんだって頭抱えてたんだ。俺もちょっとは心配してたしよ!」


 翔真もいたのか……


「あぁ……ほんと…ごめん」


 翔真がいつにもなく真剣な口調で話し始める


「なぁ、冷斗は今何を解き明かそうとしてんだ?」


「それはどういう…?」


「もし事件の事について解き明かそうとしてんだったらもっとこう……なんだ……」


「自分の過去を明かそうとするんじゃなくて、事件のことを明かそうとしろって言いたいんでしょ?」


「そう!さすが葵だな!」


「何が言いたいんだ…?」


「冷斗の今の目的は何?事件を明かそうとすること?自分の記憶を思い出すこと?正直目的がよくわからない」


 僕は…事件の真実を追うために……


「それで倒れたり苦しそうな顔を見るのは私は嫌。協力なんてしてられないわ」


「それはそうだぜ冷斗。こんなのが毎回起こってたら溜まったもんじゃねぇ」


「……ならいいさ。協力しなくても」


「何よその言い方!」


「僕が協力してくれと言ったわけでもないし、強制させてた訳じゃない。そうだろ?」


「冷斗……お前…!」


「そんな心配かけられるなら離れてくれよ」


 葵が冷斗の前に立ち頬に向けてビンタをした


 ーーバシンーー


「……っと…。危ないな。急に手を出してくるなんて…」


「……!?」


「冷斗すげぇ反射神経だな」


 なぜこんなにも反応できた…?まるでわかってたかのように……


「…もう知らない…!」


 葵の背中が遠くなっていったが、今更追う気にはなれなかった。


「……どうすんだよ。」


 どうすんだよと言われても……。


「僕もなんでこの頭痛が起きてるのか…。」


「葵は冷斗にとって必要なんじゃねぇか?」


「どうして?」


「葵の話を聞いた時も頭痛がきたんだろ?それは真実に近づいてるっていう証拠なんだから。目的がどうであれ葵が欠けてしまったらやべぇんじゃねぇか?」


「翔真…お前すごいな……」


「いや!誰でもわかるだろ流石に!ちょっと俺のこと舐めてるだろ!」


「そりゃそうでしょ」


「冷斗てめぇー!」




「今日はごめん」

  「別にいいよ」

「明日公園に来て欲しい」

  「わかった」



「はぁ……」


 帰った後、自分なりに色々考えてみた。事件の考察。頭痛の正体。そしてなぜか勘が鋭くなる瞬間がある。明日、もう少し勝負に出よう。






「おはよう」


「…おはよう」


 普段よりも暗い顔で足取りが重そうに歩いてきた。


「昨日はごめん。葵のこと何にも考えずに色々…」


「別にいいよ。私こそ冷の気も知らないで色々言っちゃったから。」


 気まずいような小っ恥ずかしいようなそんな空気が2人の空間を満たしていた。


「…で話って?」


「実は昨日押し入れ見てたらちっさい頃の写真が出てきて」


「どれ?……うわー懐かしい〜!」


「この写真は見ても何も思い出さなかったし…頭痛も起こらなかった」


「うーん、確かにここから読み取れるものは少ないわね」


「これだけじゃなくてさ。このペンダントわかる?葵がくれたやつ」


「うん」


「毎晩ちょっとずつ見てたんだ。だんだん…その慣れてきたっていうか頭痛が酷くなくなってきたんだ」


「良かった!多少強引にはいけるのね」


「それで、昨日の話をもう一度聞かせて欲しいんだ」


「えぇ!また倒れちゃうじゃない!」


「いいんだよ!ちょっとずつで良いから…。お願いだ!」


「わかったわよ…」


「えーっと………」


「…で、冷と私は…」


「くっ……うぅ…!」


「もうやっぱり危ないわよ!」


 だめだ…ここでやめたら…また真実から遠ざかってしまう…


「冷!」


「いいから!」




「もうやめときなさい」



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