”さくら ”のお話です
さくら」は「さ」と「くら」の合成語なのです。それでこの話をします。
”さくら ”のお話です。
「桜」の語源をご存知ですか。
そんな話し聞いたことがないよと思うかも知れませんね。実は、「さくら」は「さ」と「くら」の合成語なのです。それでこの話をします。
まず「くら」のお話し。
「くら」には「座」や「蔵」「鞍」等があります、「蔵」、「鞍」は「座」からの派生語で、ものを蓄えて置く所や、馬に乗る際の腰掛です。
〇そこで”くら”の使用例を見てみます。
”ね-ぐら” 「寝ー座」「塒」。高い木に造った鳥の寝場所、巣。
”か-ぐら” 元々は神座(かみ-ぐら)で神の居場所のこと。そこで舞う舞いが 神楽となった。
”あたま-くら”「頭ー座」。寝る時に頭を載せる台。枕。
”や-ぐら” 「櫓」木造りの高い所。
"くらーい" 「座―居」「位」定められた序列の処。
”たかみーくら” 「高御座」。天皇の御座席。
”いわーくら” 「磐座」。神の御座所。
これから見えてくるのは[座]とは、物を載せる台。座る所。座布団。茣蓙。など席を表す言葉です。
〇次は”さ”です。
”五月雨をあつめて早し最上川 ”は、”五月雨”と書いてなぜ「さみだれ」と読むかというと、梅雨で五月には多く”雨が乱れ降る”、それに”さ”をついて”さー乱れ降る”となり、五月の雨を”さみだれ”と呼ぶようになりました。
他に”さ”の使用例を見てみます。
”さ-祝”「幸い」。幸福。
”さ-乙女”「早乙女」。田植えをする若い女性。
”さ-なえ”「早苗」。芽生えたばかりの若い稲の苗。
”さ-気”「酒」。呑むと気力が増すからでしょうか。
”さ-月”「五月」。一年のうち最も盛んな月。
これから見えるのは「さ 」は、あとに続く言葉の意味を活き活きとさせる働きをすることです。
それで「さくら」ですが、「いきいきとした(さ)――座」の意味で、それも神様や天皇の高貴な方の座る処を「さー座」と呼ぶようになったのです。
その昔、暦がなかった頃山肌に残る雪の形を見て人々は田植えの時期を知りました。春、田植えに山から田の神を迎えます。田の神に「生き生きと花を咲かせる高い木」にいて見守ってもらい、田植えの無事を祈ります。この御座所を「さー座」と呼んだのです。 いわば、神の宿木、依り代でした。この依り代が、やがてその木の名前となり「さ」-「くら」→「さ-くら」→「さくら」→「櫻」→「桜」と変化したのです。「桜」は昔は観賞ではなく、暮らしに密着していたのですね。
以上、桜のお話でした。
この話はとても楽しみながら書きました。