序章
木刀が床に着いたら試合開始という事になっていて、今まさに、二人とも木刀が落ちきるのを待っている。そして、木刀はどんどん床に近づいていく。
そして、ようやく床に木刀が着いた瞬間、女性は詠唱もせずに防御魔法を展開し、有色透明の防御壁を作る。そして、後れを取った男性は少しの詠唱をして魔法陣を展開する。
唐突だが、ここで解説をしよう。無詠唱魔法とは高等技術の一つで、普通は精神的に揺らぎが出てしまい、完全に魔法のイメージが出来ないんだ。だけど、それを修正して正しく力を使用できるようにするのが詠唱。つまり、完全にイメージが脳で処理できている魔法は例外的に無詠唱で発動が出来るという事だ。
男性「おまえ、そんなに臆病になったのか?」
と、挑発するように話しかけている。この挑発も、重要なスキルの一つだ。相手の精神を蝕む、対処不能の攻撃だ。
女性「臆病?ただ私はあなたが理解できない領域に居るからそう思えるのかもね」
だが、このように反撃されてしまう事もしばしばある。
そして、この短い会話が終わってすぐに男性の魔法陣が完成したようで、男性はニヤついている。
だが、その場に変化が起こることは無く、ただ魔法陣が宙に浮いてるだけであった。
女性「これは、まさかカウンター魔法!?まさかあなたが上級魔法を使えるなんて……」
男性「まあ、前世の記憶がない分努力で補っているからね」
女性「でも、私は貴方には絶対に負けない。そういう魔法を使えるの!」
この世界において、絶対なんてほとんど存在しない。なぜなら、魔法という科学的に存在しないものがこの世に存在してしまっているからだ。この世界が始まったばかりのころは、まだ魔法なんてなかった。魔法が出来たのは、大体15万年前くらいだっただろうか?
まあ、とにかく絶対という言葉は軽々しく言っていいものではないんだ。だから、こいつには初見殺しかなにかの必殺技的な魔法があるのか?
男性が女性の言葉もお構いなしに防御魔法に向かって攻撃魔法を放つ体制に入る、その瞬間。女性を囲むように防御壁が展開される。しかも、また無詠唱だ。そして、女性を守る防御壁の外には、数個の丸い防御壁の玉が中を浮いている。
女性「じゃあ、ばいばい!」
女性がそういうと、数個の防御壁が男性の方へと飛んでいき、カウンター魔法を割る。そしてそのまま男性に直撃し、男性はそのまま倒れこむ。
その光景を見ていた先生は驚愕の顔をしていた。まあ、それも無理はない。だって、防御魔法というのは、普通の場合あそこまで緻密に制御できないからだ。
先生「し、試合終了だ。紅加は保健室に転送するから少し待っていてくれ」
先生も、案外良いところあるじゃないか。
女性「いや、その必要はないです」
先生の言葉を否定したその女性は、男性に向かって手をかざす。そして、またもや無詠唱で完全治癒魔法を発動させる。
男性「あれ?もしかして、負けちゃった?」
女性「まあね」
先生「じゃあ、もうそろそろ授業も始まるから号令をしようか」
そう先生が言うと、体育館に集まっている僕たち2年生、全員が先生の近くに行き、すぐに整列をする。そして、学年トップと思われる強そうな奴が号令の言葉を言う。すると、ほぼ全員が号令を復唱する。
先生「お前ら、今日が何の日か分かってるよな?今日は、実技試験の日だ。そして、内容は剣に雷属性の魔法を付与するというものだ。じゃあ早速、学籍番号順に並べ」
そして、僕たちの実技試験は始まる。
先生「じゃあ、学籍番号、29223のお前、やってみろ」
学生「うっす」
そいつは、そう生ぬるい返事をする。そして、先生の足元にある木刀を持ち上げて、深呼吸をを数回していた。すぐに雷に属する上位魔法を無詠唱で木刀に付与していた。
先生「はあ……。合格だ」
先生は、あたかもこの時間が無駄だったと言わんばかりの表情をしている。それにしても、上位魔法を無詠唱って。一体ここの学生はどうなってるんだ……。
そして、その後も順調に試験は進んでいき、ついに記憶喪失の落ちこぼれと呼ばれている男性。紅加と呼ばれたそいつの番になった。
先生「出来ないなら出来ないとさっさと言った方がいいぞ」
そう、先生が嫌味を言う。
紅加「、、、じゃあ、僕は何も言わなくていいんですね」
先生に向かって、こんな態度とるだなんて、本当になんて奴だ。そんなことを思っているうちに、紅加は木刀を拾っていた。そして、そいつは詠唱を開始する
紅加「深紅の神よ、さあ我に雷の恩恵を与えたまえ」
そう、言ったのだ。確かに、
深 紅 の 神 を 使 っ た の だ
深紅の神とは、大昔にこの大空と地獄を創造されたとされる、いわばこの世界の大黒柱。ただ、その事実を知るものはそう多くない。なぜなら、その時はまだ転生や魔法なんて馬鹿げた非科学的なものがなかったから。だから、深紅の神の恩恵を使って雷を木刀に纏わせても周りは騒がない。
でも、どうして深紅の神の力を借りることができるんだ?
先生「合格だ」
紅加「はい。ありがとうございます」
その、深紅の神の力を使った男はそう言い、突き刺さるような鋭い目線を受けながらも悠々と自分の場所に戻っていく。まるで、その恩恵を受けることが出来ることに何も疑問を感じていないかのように。
もしかしたら、こいつは、この「転生の意味」を理解しているのかもしれない……。
お久しぶりです。このシリーズは完結させようと思っています。なので、少しでも面白いと思ったらブクマしといてください。大体100話くらいで簡潔になると思います。そして、もう話の構成は出来ているのでグダることもないと思うし、失踪もしないと思います。
では、さらばだ




