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ランプの精霊と佐藤君 後編

「そのニュースの後、元マネージャーの上司がやって来て謝罪してくれたんだよね。」

「そうそう。それであの元マネージャー、色々と工作をして俺達の隠し撮り写真を集めてたのを知ったんだよな。…あー、今思い出しただけでも気持ち悪い!」

「…しかも僕達の親や家族を洗脳して、アイドル活動の反対をさせなかったって。許せない。」

「そ、そうなんですか。」


SHUGAR's結成のきっかけ。

SHUGAR'sとしての活躍。

そして、ランプの精霊の逮捕。


かなりの情報量に飲み込むのに苦労する佐藤君。

しかし、佐藤君達を無理矢理アイドルにした方のランプの精霊は絶対に許さんという気持ちはあった。かなりあった。


「その節は同胞が多大なご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。」

「いえいえ! あなたは何も悪くないですよ。」

「悪いのは元マネージャー。」

「…頭を上げてほしい。」


この場に同席しているランプの精霊が謝罪し、頭を下げると佐藤君達は慌ててやめてほしいと言う。佐藤君達にそう言われ、頭を上げるが大変申し訳なさそうに顔をうつむかせるランプの精霊。

重苦しい空気に耐えきれず佐藤君は話の筋を戻そうとする。


「そ、それでその上司さんが来た後、何かありましたか?」

「あったよ。慰謝料と僕達にそれぞれ願いをひとつ叶えてくれるって。」

「それは凄い。」


ランプの精霊達の上司という事は叶えられる願いの質はきっと良いものだろうと佐藤君は予想した。


「それで、みなさんは何を願ったのですか?」


佐藤君がそう言うと三人はそれぞれ願った事を口にしてくれた。


「僕は家族とSHUGAR'sのメンバー全員の無病息災かな。」

「俺はダンスの練習を思いっきりできるようにしてくれって頼んだ。」

「…僕は学費の援助。」


三人ともバラバラでそれぞれの個性が見える願いだ。


「その後は君も知っての通り、SHUGAR'sは解散した。」

「…ん? その時には声変わりしてたんですよね。ならなんで解散コンサートの時はちゃんと歌えたんですか?」

「あぁ、あの時は根性でなんとかしたんだ。」

「根性!?」

「うん。」


まさかの事実にまた驚く佐藤君。今日一日だけで驚愕の事実に何度も直面している。


「それで、最後のコンサートが終わってみんなに惜しまれながら僕達SHUGAR'sを解散したんだ。」

「散々な目にあったけど、終わってみると結構楽しかったよな。」

「…うん。」


きっとSHUGAR'sとして活動してきた佐藤君達は佐藤君が知り得ない、想像のつかない困難や苦難に羞恥があったのだろう。しかし、佐藤君達はそれをファンに悟らせなかった。それはきっと佐藤君達の努力のおかげだ。


「最初の頃は女装をしてアイドル活動なんて恥ずかしいだけだったんだけど、今はアイドルになった事は後悔していないよ。だって、二人に出会えたし僕達SHUGAR'sがみんなに愛されるようになってとっても嬉しいから。」


そう言うとホワイトだった佐藤君は佐藤君に向けて笑顔を贈る。


「ランプの精霊に願って僕達に会いにきてくれてありがとう。」


その笑顔を見て、佐藤君は静かに涙を流した。

性別など関係ない。佐藤君達は間違いなく最高のアイドル、SHUGAR'sだ。それでいいじゃないか、と。

佐藤君はランプの精霊に出会えて、願いが叶って本当に良かったと思い、この場にいるすべてのものに感謝した。



◆◇◆◇◆



佐藤君達と別れを告げて家へと帰ろうとする佐藤君。

しかしその前に、佐藤君はランプの精霊に礼を言う。


「ありがとう願いを叶えてくれて。俺、今日の事絶対に忘れない。」

「いえ、こちらこそありがとうございます。おかげで自信がつきました。次の方の願いも叶えられるよう努力します。それでは、これにて失礼。」


そう言ってランプの精霊は姿を消した。

きっと誰かの願いを叶えに行ったのだろうと思い、佐藤君は清々しい顔つきで家へと帰っていった。

少し寂しい気持ちになったが、不思議とまた再会すると佐藤君は思っていた。



◆◇◆◇◆



それから数日後。


佐藤君の妹がランプを拾ってきた。中にいたのは数日前に爽やかに別れた佐藤君の願いを叶えてくれたランプの精霊。予想以上に早い再会にちょっぴり気まずい雰囲気の佐藤君とランプの精霊。

佐藤君とランプの精霊の事情をまったく知らない妹は願いを口にする。


「SHUGAR'sの子達に会わせて!」


それを聞いて、佐藤君は妹の肩に手を置く。


「そうか。覚悟しろよ。」

「え、覚悟?」


佐藤君がなぜそんな事を言うのかこの時はまったく理解できなかった妹。

しかしランプの精霊のおかげでSHUGAR'sであった佐藤君達と出会えた瞬間、妹は兄である佐藤君の言っていた意味を完全に理解した。

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