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はじまりの夜の月  作者: アキ
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エピソード6 嫉妬

エピソード6 嫉妬


寝る前に今日ケンから聞いた話を整理して自分なりに考えてみる。


まず俺の寿命は短い。


そして、このまま城を逃げてもいいのだろうか。


正直な話光と離れるのは少し悲しい。


でも、光にはサイコパスだがきれいな許嫁がいる。


将来この城を残すためにも許嫁さんは必要だ。


俺も許嫁の立場だったら、恋人が四六時中別のやつといてベタベタしていたら嫌だし腹も立つ。


やはり俺はいなくなるのが正解だ。


このまま残っても光の暇つぶし程度にしかならないし飽きたら捨てられる可能性だってある。


やはりケンの言うように力をつけて逃げる。それが良さそうだ。





それから俺はずーっと光に呼ばれるまではひたすら勉強した。


文字に商学に…いろいろ


光が会議してる間は琴を教えてもらった。


「おお、いいじゃん飲み込み早い」


「ケンの教え方がうまいからだよ。でもなんで琴や武芸がいるんだ?」


「高貴な人は芸術や武芸を好むからね それにハーフは頭がいいからすぐできるようになるさ」


「そうかなぁ 頑張ってみる!」


「あ、そうだ…!そういえば」


何かを思いついたのかケンは俺の耳を見た。


そして懐からドロっとした液体のはいった瓶を取り出す。


「君、耳のお手入れしてる?」


「耳?お手入れ?なにすればいいんだ?」


そんなこと考えもしなかったキョトンとした顔でケンを見つめると

肩を抱かれてそのままぽすんとケンの膝に頭を乗っける形になる。


膝枕だ。


「なにする…っっつ」


ケンはドロっとした液体を手に取ると俺の耳に塗った。


ヌルヌルしてる。


「つっ…、!」


それから撫でるように獣耳をマッサージした。


ケンの指がスルスルと耳の縁をなぞったり奥に入ったりする。


「ケ…ン!それくすぐったい」


体がかってにビクビクしてしまう。


やめてほしくてケンの腰に抱きついた。


「わっちょっと…!マッサージできないでしょ」


「だってくすぐったいんだもん」


「耳は敏感な場所だからこうやって手入れしなきゃ…じゃあ自分でできる?」 


「うん…」


なんか変な声でそうになったしこれ以上続けられたら恥ずかしくて死ぬ。


これは部屋で一人でゆっくりすることにする。


「わかった」


と言って液体の瓶を俺にくれた。


「ちなみにこれは?」


「植物の油だよ」


「ありがとう」


プレゼントは嬉しい


「ちなみに人間の耳の方は?聞こえてるの?」


「いや、これは飾りみたい 殆どの音は上のケモノ耳の方から聞こえる 今考えたら変だよな 耳が4つあることになるんだもん笑笑」


「そっか、大事にしなよ…」


「ん?ああ…」

  







「おまえ最近どこほっつき歩いてる」


「ひょぇ…?」


あ、変な声出た。


ここは光の部屋今は夜


今日はもう仕事はないみたいだ。


「仕事終わって部屋見に行ったら最近いないことが多い。そういえば美羽に合わせたときも帰ってくるの随分遅かっただろ。もしかして美羽のところに行ってるのか?」


なんか少し怒ってる?そりゃペットとはいえ男が許嫁のところ通ってるかもしれないんだもんねイライラして当然か…

誤解を解かねば


「いや、違うよ 友達といるんだよ」


「友達だぁ?誰だ」


そう言って顔を覗き込んでくる


真っ赤な瞳が俺を捕える。


「えっと光の許嫁さんのお手伝いの子」


その目で見つめられるとなんだかすべて見透かされているようで萎縮してしまうという。


できるだけ動揺を隠して答えるが、光は質問を続けた。


「ほぅ…男か?女か?」


「男の子 同い年の子」


「んー」


光は少し不機嫌だ。


眉をひそめている。


何が不満なのだろうか…?


ペットとはいえ城の部外者が城内をほっつき歩くのが気に食わないのかもしれない。



すると光は俺を抱き寄せた。


後ろから抱きつくバックハグの状態だ。


耳元で光がしゃべるからビクッとしてしまう。


どうやら俺は耳が弱いらしい


「何して遊んでんの?」


低めの声が耳元でささやかれる。


困った。


あんたに捨てられたとき用に勉学に励んでますとか言えない


「んーっと薬草集めたりお話したり?仕事手伝ったり…」


俺のお腹に回した両腕にすこし力を入れながら


「ならそんなことしなくていいから 俺のところにいろ外出しすぎだ」そう言う。


ビクッとした。


「耳…近い」


「わかったか?」


「いや…でも光仕事あるじゃん」


「別にお前がいても構わない」


いやいや俺はこまるんですって一日中拘束されたら琴とか武芸の練習できないじゃん


「いや、でも…」


「俺といるよりその男といるほうが楽しいのか?」


「いや、!そんなことないよ?」


「ならいいだろ 頷け。じゃないと耳を噛む」


「ひぇっ、うんうんわかった光のそばにいる」


こいつ恐ろしいこと言うな。


触られただけで反応しちゃうのに歯を建てられたらたまったもんじゃない。


そう言うと、光はとても満足そうな顔をして耳にキスして唇で甘噛した。


ビクッ


「お前さっきからビクビクしてるけど耳感じるのか?」


「へ?んなわけないだろ!犬だから耳が良いだけ早く離し」


「ほぅ…?じゃあこっちの耳は?」


人間の方の耳を今度は甘噛し始めた。


「んぁあ …っこっちは飾りみたいなもんだよ…」


「んー?」と言って今度は耳を舐めてきた。


「ひぇっ」


耳たぶに下を這わせてそのまま耳の中まで舌をぐりぐり入れる。


「ななななにして…つっ光はなして…くすぐったい」


耳元で水音がする。ぴちゃぴちゃぐちぐち

あまりに卑猥な音に頭がくらくらする。


もう鼓膜まで入ってるんじゃないかってぐらい奥に入ってくる。


「んんん…っっ あ…ぁ やめっ…つっぅ」


「かわい」 


「え?」


俺の目がとろんとしたのを見て光はとても満足そうに舌を引っ込めた。


頬が少し紅潮している。


唇のはしを舐めて妖艶な笑みを浮かべてなんかすごい色っぽい。


気まずくなって目をそらす


「もっとするか?」


「しない…!」


俺はどうにか光の腕から逃れると距離をとった。


「わかったから戻ってこい」


俺がどっか行くといつも光は不機嫌になる。


めんどくさそうな顔をして手招きしている。


なんか既視感…



しぶしぶ戻る





ぎゅーーっとされた 苦しい


そのまま光の方に倒れ込んだ。


そして目を閉じる。


どうやらこのまま寝るらしい。


本当に勘弁してくれ俺は抱きまくらじゃないのに…


仕方ないから俺も目を閉じる。




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