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赤い月
はじまりの夜の月
夜だった。月がでていた。
それはもう、とてつもなく美しい月だった。
見たことない真ん丸で 真っ赤な 月だった。
ここはどこだ?やけに暗い道を俺は歩いている。
前と後ろに2、3人の人の気配がする。
すぐ近くだ。
なるほど俺らは一列で歩いている。
そして俺の首には重たく冷たい首輪…どうやら俺は連行されているらしい。
男たちはぐいぐい鎖をひいて俺を歩かせる。
俺はボロボロの服を着ていて靴は履いていない。
貧乏人なのか?それとも奴隷?
というかどうして記憶がないんだろうか。
ここはどこだ?おれは記憶喪失なのか…そしてどこへ連れていかれるんだろう。
無意識に手が腰へいく。
光る端末を探してポケットを探る。
「すまほすまほ…ん?…すまほ?ってなんだ…?」
だめだ頭が混乱している。
そして足が痛い。
どうやら随分と長いこと歩かされているようだ。