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地下洞窟

拙い文ですが、よろしくお願いします。

 一体何が起こったんだ?


 ここはずっと真っ暗だからどれくらい時間が経ったか分からない。でも腹のすき具合的には、かなりの時間意識を失ってたみたいだ。


 それにしてもなんで意識を失ったんだ…?


 兎肉は何回も食べているから原因な訳ないし、怪我で血を流しすぎてショック状態にでもなったのかな?

 攻撃を受けた可能性はあるけど、今現在こうして生きている訳だし、体のどこにも痛みはない。


 「あれ!?痛みがない!?」


 怪我の痛みや違和感がなくなっている。

 肩の貫通していた部分を、恐る恐る触ってみたが穴が埋まっていた。

 脛の骨がむき出しになってしまっていた足も、折れていた骨盤も普通に動くようになっていた。

 

 「肩も足も何もかも完治しているじゃないか。兎肉を全部食べたのが良かったのかもな。それにしても、生命力という…回復力というか…何にしても凄すぎる。まあゴブリンじゃなかったら無理な芸当だな」


 立ち上がり、体に異常ががないか入念に調べていると、体が一回り大きくなってることに気が付いた。

 体の大きさ以外にも、よく見ると皮膚の色が緑から濃い黒っぽい緑に変化している。

 

 謎だ、ゴブリンの体は謎だらけだ。


 あんな大怪我を完治できたってことは、大量の体内のエネルギーを回復のために使ったはずだ。体が痩せることはあっても、大きくなることがあるなんて、もはや凄いを通り越して恐怖すら感じる。


 それに全身の皮膚の色が変わるなんて…何なんだ?

 

 「ただ、今の所俺に損はないし、体が大きくなったのは良いことだよな。早く明るい所に行って、体がどうなっているのかを確認したい」

 

 意識を失うという非常事態はあったが、図らずも安全な場所で体を治すことができた。

 だが、食料の問題もあるし、いつまでもここにはいられない。


 もう体も完全に動くから、早く出口を探さないとな。

 

 この場所がどういう場所なのか分からないが,光が差し込んでない地下だからかなり冷えている。

 

 壁に沿って歩き始めたが、くねくね進んでいる。

 まるで迷路の様だ。


 俺は夜目がある程度効くんだけど、まるで先が見えない。


 罠や障害物に注意しながら慎重に道を歩く。

 その一環で下を見ながら歩いているが、なにも落ちていない。そういったことから先住者がいた痕跡は今のところ見つけられていない。。


 何かお宝はないかなぁ、と入念に周囲を見ながら歩く。


 結構な時間歩いたが、まだ出口になりそうな場所は見つかっていない。


 同じ場所をぐるぐる回っているんじゃないか?という不安が脳裏をよぎるが、現状この道を進む以外にないので歩き続ける。

 

 「あっ!光だ!」


 結構先に少しだけ光が差し込んでいるのが見えてそこを目指して走る。

 

 「うぉわっ!驚いたぁ」


 光が差し込んでいる場所に辿り着いた俺を待っていたのは、6体の白骨化した人間の死体だった。


 確実に死んでいるけど、ここは異世界だ。急に動き出すようなことがあるかもしれないよな。

 そんなことを考えてしまって、まだちょっとビビって触れずにいる。まずは観察しよう。


 死体が白骨化しているから、かなりの時間野ざらし状態だったと思うが、パット見た感じ、その装備はまだ全然使えそうだ。

 所々錆びたりしているが、目の細かい石かなんかで砥いだり洗ったりすれば何とかなるだろう。


 この地下洞窟は、苔や植物が生えてないことから湿気が少ないんだろう。そういった外界からの影響が小さい場所だから、装備品も劣化が最小限で済んだのかな。


 全員が鎧を着こんでいるから戦士だったのかな?

 一体だけ装飾が豪華な鎧を着ているし、その骸骨を囲んでいるから、貴族とその護衛みたいな感じなのかな。


 それから骸骨の状態だけど、全員じゃないけど足の骨が折れている。俺と同じようにここに落ちたのかな?それよりも特筆すべきは全員が頭蓋骨に剣が刺さっていることだ。


 顎から刺しこんでいて、まるで自殺のようだ。


 彼らは、脱出口になる光の入り口が、30mくらい上にあったから脱出を諦めたのかな?

 どこから来たか知らないが、ここに落ちたときに怪我をして必死に出口を探した結果。脱出のために30m登るっていうのは絶望してしまうな。

 人間なら、骨折した体でここを脱出するのは絶望的だな。俺はラッキーだな、怪我がすぐ治る訳だから。

 

 体も完治しているし、この壁登りを出来る自信はある。

 木登りをトレーニングメニューに入れていたし、壁登りも木登りも似たようなものだろう。

 

 脱出方法は普通にクライミングするしかないけど、問題は荷物だ。

 どうやって大量の武器を持ったまま出ていくかだよな。

 

 俺は鎧から盾まで全部持っていくつもりだ。


 槍も剣も盾もある。詳しくはまだ調べていないから何があるか分かっていないが、金属の武器だ。金属の武器を手に入れられる機会を逃すわけにはいかない。


 置いていくなんてもったいない、何が必要かなんてわからないし。金属製の武器がいつ手に入るか分からない。全部ほしい。


 いや、ここの上り下りができるのなら、無理に持っていかずに、この地下洞窟を俺の拠点にしてしまおう。そうすればここにまとめて保管できる。

 誰もいないから安全だし、出入りがトレーニングになる。


 なんにせよ、今日は武器を持たずに登ってみて、それで難しかったら、何らかの方法を考えて武器を持って登ろう。

 丈夫な蔦で武器を引き上げるっていうのもありかもな。蔦をつないで長くしたらいけるかもしれない。


 「クーン…ゥゥ」


 骸骨の後ろから何者かの鳴き声が聞こえた。弱弱しい声だ。

 ビビッてまだ骸骨には触っていなかったのだけど、その後ろから鳴き声がした以上確認しないといけないよな。弱っているようだし、危険はないだろう。


 意を決して鳴き声が聞こえた場所を見に行ったら、あばらが浮き出るほどガリガリにやせ細った狐がいた。

 弱り切っているのかゴロンと寝ころび、こっちに目線だけを向けてくる。

 その目はまるで”助けてくれ”と訴えかけているようだ。

 

 どうしよう…助ける義理はないが、このままここで餓死させるのはかわいそうだ。

 助けた場合、孤独の寂しさを紛らわせれるかもしれない。尻尾が二本あるから魔物だと思うけど、兎と違って顔がかわいい。


 だが、デメリットも考えられるんだよなぁ。

 魔物は凶暴だ。食料を与えて元気になった所で攻撃してくるかもしれない。その以前に食糧事情が安定していない以上、自分以外に対して食料を十分に供給できるか分からない。


 ここは考えても決まらない。俺がどうしたいかで決めることにしよう。


 「よし!助けよう」


 こんなに”助けて欲くれ”という目をした奴を見捨てて出ていくのは俺にはできない。

 小さい狐の食料くらい俺が頑張ればどうとでも出来るだろう。それに、もし攻撃してきたらその時は対処すればいいだけのことだ。


 「助けてやるからな」

 

 「クーン」


 「お、反応してきた。死にかけだと思ったが元気じゃないか」


 なでたりしたいが、そんなことよりも脱出方法だ。


 なんにせよまずはこの30mのクライミングだ。

 これまでやってきた木登りよりもいいトレーニングになるだろう。

 

 出発の前に、持っていくものだが、まずは戦士の一人から拝借した刃渡り30cmくらいのナイフだ。革製の鞘でベルトみたいに腰に巻けるようになっている。鞘に入っていたからなのかほぼ錆びていない。


 それと、武器や鎧を貰うわけだから、そのお礼ということでこの名も知らない骸骨たちを埋葬することにした。

 まずは頭蓋骨だけ外に持って行って埋葬しようと思う。何らかの方法があればおいおい全身を埋葬するつもりだ。

 戦士の持っていた武器やその他の所持品は、食料を取って帰ってきてから確認するつもりなので、きれいに並べて置く。


 全員の頭蓋骨に刺さっている剣を、骨が割れたりしないように慎重に抜く。

 全部持っていくには袋がいるから、戦士が着ていた服を袋状にして、その中に入れる。工夫して横掛けのカバンみたいに出来たので背負って出発する。


 狐に早く飯を食わせたいから、狐を背負って登ることにした。


 当然だけど壁はツルツルってわけではなく、手でつかめる場所や足を置く場所がある。そういった場所の使い方を、次の次まで計算して登っていく。

 

 出来るだけ慎重に行動していたけど、何度か手が滑ったり、足を置き損ねたりするアクシデントがあったが、なんとか登りきることができた。

 30mを登るのは、想定していたよりも時間がかかったし、かなりしんどかった。

 それでも脱出できたし、一歩間違えばっていう命がけだったので度胸が付いた気がする。これを続ければ、前の兎の時みたいな緊急時に最適の行動が出来るようになるかもしれない。それに全身の良いトレーニングになった。

 

 登り切り、穴から出てすぐに見えたのは、曇った空と森の木々だった。そう、俺は岩山の頂上に出たのだ。

 俺の視界に広がる木々は、まるで海の水平線がどこまでも続くようで、果てしない森が広がっている。だが、ここよりも高い木や森が何か所も見える。


 観察している場合じゃない、早く食料を探さないと!

 

 「登るのもしんどかったけど、降りるのもかなり難儀だなぁ」

 

 「くぅ~」


 「すまんすまん。早く降りるよ」


 弱っているが、意識はしっかりしているようだ。


 一気に落ちたりしないように慎重に降りていく。下りは登りよりも早く降りれた。

 見上げると、岩山の高さは20mくらいなので、拠点にする予定地は深さが10mくらいなんだな。

 変な地形だなぁ。


 岩場には獲物がいないようなので、森に入っていく。

 今回は前みたいに迷わないようにしっかりと目印を残していく。ただ、目印がバレては面倒なことになるし意味がないので、出来るだけ目立たないように石や木みたいなその場所にあってもおかしくない物を置いておく。


 この場所は前の拠点とどれくらい離れているか、前と比べてどの程度森の奥なのか分からないので、ちゃんと周囲を警戒しながら獲物を探す。

 

 手におえないような危険な奴らがいるかもしれないしな。


 それに、墓に良さそうな場所があれば、骸骨たちの埋葬もしないといけないしやることが多いな。

 

 獲物を探しながら森を歩く。

 俺も狐も腹が減っているし、そこそこ集まったら食事にしよう。


 行には、結局兎みたいな肉のある獲物は仕留められなかった。

 最終的に大小何種類かの幼虫を計12匹、30cmくらいのトカゲを2匹手に入れた。


 弱っている狐はまだトカゲを食べられないようなので、やわらかい幼虫を食べさせたてみた。

 いつ振りの食事なのか分からないが、8匹を一気に食べてしまった。まあ幼虫は美味しいしな。


 「ウップ」

 

 一気に食うからげっぷをしてしまったようだ。

 

 「早く普通体型にしてやりたいが、食べすぎも良くないだろうし、難しいな」


 まあ体も小さいし、久しぶりに腹に何かを入れる訳だから今日はこれくらいにした方が良いかもな。顔を見ると満足しているようだし、俺も腹が減っているし残りは俺が食べてしまおう。


 骸骨や、脱出など色々なことが重なって、起きたときに気づいた自分の状態の変化を確認する余裕がなかったが、やっぱり体の大きさも、体の色も変わっている。


 「なんでなんだろ?これは…まるで進化だな」


 今思えば、30mも壁を登れたのは、体が大きくなって力が強くなったおかげかもな。


 体の確認のついでに休憩もできたし、拠点に帰らないと。岩山に上って、また地下洞窟に下りないといけないし、早く行こ。


 帰りも同じ道を通る訳だから、今日は結局骸骨たちを埋葬するのに適する場所は見つけられなかった。

 帰りには、トカゲと蛇を一匹ずつ手に入れられた。幼虫が居そうな場所は、行きで探しつくしてしまったので見つけられなかった。

 

 岩山のふもとに着いたが、やっぱり登るのは憂鬱だなぁ…


 「気張っていきますか!」


 「クゥウウ!」



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