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日常

 獲物を探して狩りをして、体を鍛えて飯を食う、という生活をして10日が経った。


 その間、何も切羽詰まった事は起きず、森の中ひっそりと暮らしていた。


 拠点は、今よりもいい拠点を探したが、なかなか見つからないので、まだ同じところに居を構えている。偽装はかなり上達してぱっと見では、なかなか見つけられないと思う。


 食事のことだけど、主食が幼虫といっていいほど幼虫を食べた。

 そこらじゅうを掘り返しまくって見つけまくった結果、今は幼虫が居そうなところがだいたいわかるようになった。


 まあ3日に一回くらいは兎と出会えたので、幼虫ばっかりでもなかった。幼虫以外も食べたかったから出会った時は、死に物狂いで仕留めたものだ。

 他にも小さいトカゲとかその他いろいろ食べた。


 そのおかげで素材も集まり、例の刺突武器をもう1本作り、それよりも長い俺の身長くらいある刺突武器も1本作ってみた。



 肉体強化のトレーニングと並行して刺突武器を使いこなすための修行も始めた。前世でも武術、格闘技は見る専で、やったことがなかったので完全に試行錯誤でやっている。

 

 肉体強化トレーニングでは、毎日しっかりと 全身に偏りが出ないようにバランス良く体を追い込んでいる。


 毎日地面を掘って幼虫をかなり集めているし、兎の肉や内臓もあるので、タンパク質と脂質は結構取ることができるので、体もしっかり成長している。ただ、今の所炭水化物は取れていない。


 筋トレ前には兎の肉、後には幼虫。

 1日に何回も食事できるほどの食料はないので、筋トレの前後を主な食事のタイミングにしている。


 前世では筋肉をつけたかったら、タンパク質を体重の1.5〜2倍gとればいいと言われていた。

 現在ゴブリンがどれくらい取ればいいかは分からないけど、体重も軽いし2倍g以上のタンパク質を取れている。


 漠然と強くなりたいと考えて、まずは体力と筋力だ!とがむしゃらに鍛えているが、トレーニングによる怪我はまだ一度もしていない。

 それと俺自身の回復能力が高いからだと思うが、10日くらいしか経っていないのに、もう筋肉が付いている。

 詳しくメカニズムとかは分からないけど、筋肉が付く速さが人間の比じゃないと思う。もしかすると筋肉増強剤とかを使った人間よりも速いかもしれない。


 筋肉をつけたい人間は鍛える部位にもよるが、普通は10~12回出来る重さを3セット行うのだが、ゴブリンはどんな鍛え方をしても筋肉が付くみたいなので、必死に追い込んでいる。

 その筋肉が速くつく特性を生かして、各種目を限界回数まで追い込むことで体力の強化と筋肉の増強、瞬発力の向上を同時に出来ている。


 そのおかげで、もちあげられる岩の重さや投石の速度と威力、が軒並み上がっている。

 戦闘能力という意味では強くなったか分からないけど、肉体は成長はしている。

 成長を実感できているので、モチベーションを今のところ落とさずに高強度のトレーニングができている。


 「まあ…まだ10日しか経っていないんだけどな。」


 今、俺は今日の狩りのために森を歩いている。


 いつも同じような範囲で狩りの獲物を探し回っていたのだけど、今日はいつもとは逆の方向に向かって歩くことにした。


 何故かというと、兎のような肉の多い獲物にあまり出会えていないのは、回っている場所が悪いんじゃないのか?と考えたからだ。

 正直に言うと気分転換も兼ねてというのが大きいんだけど。

 

 それから、しばらく歩いていると逆向きが功をなしたのか念願の兎がいた。それも二匹。


 「二匹一緒に狩るのは初めてなんだよなぁ、効率よく安全に狩るためにどうやって仕留めようかな。」


 ここは練習していた連続投げの成果を見せる時だな。

 実は、投石の一発に限界を感じたから、出来るだけ二発目を早く投げる方法を考えていた。


 それで思いついたのが、まあ単純だけど、一発目は普通に振りかぶって投げて、その後助走をつけて二発目を投げる。

 これなら二発目の威力も落ちないだろう、もしかしたら上がるかもしれない。それに難しい二発目の時は獲物に近づいているから当てやすくもなるという算段だ。

 

 今まで複数の相手に出会ったことがなかったので、連続投げを実戦で使うのは初めてだ。

 まずは、ばれないように片方に一発当て、助走をつけてもう片方に、そのまま獲物に近づいて刺突武器でとどめを刺す。

 

 「脳内シュミレーションでは意外にいけそうだな。それに失敗しても近接で仕留められるだろう。強気だ強気にいこう。」


 15mくらいの距離まで近づいたが、二匹共まだ俺に気づいていない。


 腰に近接用刺突武器、地面に石を何個か置いて用意はできた。

 投石の練習の成果を見せる時だな。


 片方に狙いを定めて、振りかぶり投げる。


 そのまま石は一直線に飛んでいくが、俺は当たったかを確認するより先に置いている石を拾い、助走して、7mくらいの位置からもう一匹に二発目を投げ込む。


 二発目は目の前にいたから確実に当たっている。

 すぐに先に狙った一体目がどうなったかを確認する。

 

 顔の前にいた。


 「うわっぁ!」

 

 驚いて顔をそらすことしかできなかった為に、兎の突進で角が左肩に刺さった。


 威力が結構あったみたいで肩を貫通した角とその持ち主は、かえって身動きが出来なくなっている。

 ブルブルと体を揺らし肩から角を抜こうとしている兎の頭を左手で掴み、馬鹿みたいに痛いけど我慢して、もう一度角を差し込み俺と兎を固定する。


 そして、もがいて俺から逃れようとする兎の頭に、刺突武器を怒りに任せて刺しまくる。

 

 夢中で5,6回刺したが既に何の反応もなくなったことに気づいて冷静になり、ハッともう一体の存在を思い出して、投石の後どうなったのかを急いで確認する。


 結果二体目は一体目と違って、狙い通りに石が当たってピクピクと痙攣している。

 その抵抗できない兎にとどめを刺して狩りは終了。

 

 二匹分の肉を手に入れることができたが、肩を貫通する大怪我を負ってしまった。

 刺さった角を抜くと、出血が凄そうだったので折ってしまいたかったが、全身俺にぶら下がっている状態の兎はグラグラしてバランスが悪く、角をうまく折れなかったので思い切って引き抜くことにした。

 

 前世の古代人達は傷に、はちみつを塗ったり、新鮮な生肉を患部にかぶせておいたと聞いた気がする。


 物は試しだ、新鮮な肉を手に入れたしやってみようかな。


 こんな変な雑学を使う日が来るとは人生とは分からないもんだな。


 でもやっぱり知識は力だな。

 これからは、その知識になる物を自分で発見していかないといけないと思うとちょっと憂鬱になるなぁ。

 なんでも調べられた環境から何も調べられない環境になると、やっぱりしんどいね。


 兎の肉をちぎって、かぶせる用の肉を用意する。

 

 気合いを入れて、刺さった角を引き抜く。


「んっぅ!!!」


 痛いのは痛いのだけど、感覚がイカれてしまったのか最初貫通した時よりも痛みがマシになっていた。

 抜いた穴にすぐ生肉をかぶせて、落ちないように蔦で縛る。

 

 これで正解かは分からないが、処置をしたし出来るだけ早くここを離れたい。

 目標以上の肉を手に入れられたし、怪我を早く治すために体を休めないといけないので、拠点に帰ることにした。

 

 それから拠点に向かって歩いていたのだが、今日はいつもとは違う方向に歩いていたし、道中の印を見逃したのか道に迷ってしまった。


 怪我したせいか狩りはいつもより短い時間なのに疲れてしまった。どこかで休憩しようかな。


 しばらくは印を探して歩いていたのだが、もっと迷った気がする。


 何故かというと、今まで確実に来たことがない場所に出てしまったからだ。

 黒い土の上に大小の木が生い茂る森から急に草木一つ生えていない岩場に変わったのだ。


 この森の全体図がどうなっているのかは分からないが、普通じゃないと思う。徐々に岩が増えていくんじゃなくて、線を引いたみたいに植生が変わったのだ。

 

 ボーっとしていても仕方ないし、森を出て岩場に入っていく。


 ”ボコッ”

 

 「えっ?…うわぁあああ!」


 ”ドンッ”

 ”ボギッ”


 「クソっ!足がぁあ!」


 落とし穴だ。10mくらいの高さから落ちてしまった。


 右足で着地してしまったせいで、脛の骨が完全に折れた。骨が出てきてしまっている。めちゃくちゃグロテスクだ。

 足をついた時の衝撃で骨盤も一緒に折れてしまったようで、まるで動ける気がしない。


 「今日は最悪の日だ。」


 落とし穴に落ちたのは落ちたんけど、歩いている時に穴なんて開いていなかった。

 上を見ても光が差し込んでこない。どこから落ちたっていうんだ?

 

 もしも穴が隠されていたっていうなら、これは人為的な罠だったのか?

 罠にしては、落ちた所に何か突き刺さるようなものもなかったし…いや、10mも掘っていればそんなものもいらないか。実際俺も動けなくなった、もし頭からぶつかれば死んでいただろう。


 違う!

 ここらへんは岩場だったんだ。岩場みたいな頑丈な地盤の所に10mも罠のために穴を掘らないだろう。

 

 じゃあなんなんだ…自然に出来た穴だって言いうのか?

 

 まあ…考えても仕方がないか。


 それにしても、やっぱり痛覚がおかしくなっているのか?


 刺された時も、それ以降だんだん痛みを感じにくくなった。

 そして今回の落下による骨折も折れたときは痛かったが、だんだん痛みが引いて、今は既に痛みが半分くらいになっている。

 

 真っ暗な穴の中だが、夜目が効いてきて周囲3mくらいに何もないことが確認できた。

 今は動けないから確認はできないけど、壁が見えないのでここは結構広いのかもしれない。


 仕留めた兎を握りしめながらここに落ちたので、肉は手元にある。

 どうせ何もできないし、腹も減っているから肉を食べて休むことにした。体が一日でボロボロになってしまった。


 もしここに先住者がいないのなら、いつもの拠点よりも安全かもしれないな。

 出口があるならここを拠点にしてもいいかもしれないかも。

 

 まあなんにしても肉を食おう。食って寝てしまおう。

 食って休んで体を治すんだ!


 骨折と刺し傷がどれくらいで直るかは分からないけど、自分の回復力を信じよう。

 欲を言えば3日以内に治って欲しい。

 

 ちまちま食べていたら体も早く治らないだろう。

 ここは賭けに出て、一気に二匹分の肉を食べて速攻で体を治そう。

 

 「やっぱり兎肉はうまいなぁ」


 二匹分の肉を食べて腹を満たし、今日初めての至福の時間を味わっていたところで、視界が急に真っ暗になり、意識を失った。

 


 

 


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 25話ぐらいあったと思うのですが、書き直しでしょうか?
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