スローライフ?
拙い文ですいません。
腹も膨れて、拠点を探しに森を歩く。
出来れば洞窟みたいな所がいいけど今日は高望みせずに、最低限体を隠せる場所を見つけたい。
そのついでに使えそうなものがあれば拾っていく。
例えば、丈夫な木の棒や、ひもの代わりに植物の蔦みたいなものがあれば拾っておきたい。
さっき仕留めた兎の角と木の棒で、いい感じの刺突武器が作りたい。
とどめを刺すのに、石で殴りつけて頭を潰す方法ではこっちの精神がイカれてしまいそうだから、刺し殺す方がどっちかといえばましかな?と考えたわけだ。
それに、仕留めた後の獲物の体かも綺麗に済むだろう。死体でもその後自分が食べるわけだから当然綺麗な方が良い。
それから水場を見つけたので、兎の皮の良い所を鞣す為に洗ったりして、途中いろいろな雑用をしながら森を歩き回った。
日が暮れてきたので、最高の場所ではないけど、そこそこの場所に甘んじることにした。
なので明日以降も引き続き拠点探しを続けることになった。
その見つけた場所は、俺一人がある程度余裕をもって入れるくらいの窪地だ。ただ、上から見ると丸見えなので、完全に日が暮れる前に木や落ち葉で偽装して、出来るだけ他から見えにくくする。
あと、洗った皮を近くの木にひっかけて天日干し…夜日干しをする。
「ふぅ~~疲れたあ~」
作った拠点に”どすッ”と座り、空を見上げる。
星がたくさん見える、ものすごい綺麗な夜空だ。言葉が出ないほどに。
だけど月がなくて、月よりも小さい衛星が5個くらいある。
「本当に…本当に地球じゃないんだな…」
心のどこかでまだここは地球なんじゃないか、という考えがあったんだけど、この空を見て完全に理解してしまった。
自分でもわかる、俺は今涙を流している。
「いつまでメソメソしてても仕方がない!もう覚悟を決めてこの世界を生きていくしかしかないんだ。頑張ろう!」
覚悟を決めてやると言っても、もうすでに森は真っ暗なのでどこにも行けない。
夜の森は想像しただけでも危険って分かるし、もしここから出ていったら、森で迷ってこの場所にたぶん戻ってこれない。
だから休憩だ。体を休めてからいろいろやってみよう。
そういえば、この世界に転生して初めて一息つくな。
覚悟を決めたけど、不安は多々あるし、やりたいこともやらないといけないことも山ほどあるけど、まあ今は体を休めよう。
しばらくボーっとしていたのだが、俺にボーっとしている暇はあるのか?とか色々考えてしまって変にソワソワしてきて、休憩できなくなったので休憩をやめてやりたいことをやることにした。
まずは、例の角を使った刺突武器づくりだ。
ただ単に角を木に巻き付けるだけでは少々不細工かなぁと思うのし、角を木の横に括り付けるだけでは、流石に強度的に魔物を仕留められないと思うので、できるだけ強度がある作りにしたい。
木の棒に自分の爪と割って尖らした石で穴をあけてそこに角を差し込もうかな。
ちょっとづつ削ってかなり時間がかかったうえに、爪もボロボロになってしまった。
ある程度の穴は気合で開けたのだが、角が入るだけの穴をあけると木がダメになりそうだったので角自体を削って、木の穴に差し込む。それだけでは結構ぐらぐらしているので、穴から角が抜けないために拠点探しの途中に拾った植物の蔦で木の棒を締め上げる。
さらに強度を上げる為に、乾いた後に角から兎の皮を刺して、それを木に巻いて、その上にまた蔦をぐるぐる巻きにしてしっかり固定する、
俺の身長が、120cmくらいだから、60cmくらいの長さに調節した。
槍みたいに使うっていうよりは、近接戦で使うつもりなので、長すぎず、短すぎず、という感じの長さにした。
まだ皮が乾いてないし、乾いた後に皮についている肉と油をしっかりとってまた洗って乾かしてっていう作業をしないといけないので、まだ完成とはいかないけど、まあそこそこいい出来にはなりそうだ。
頑張ればいくらでも手に入れられる素材しか使っていないからいつでも作れる。それに、作り方も分かったし、次作るときはもっといい出来に仕上げられるだろう。
戦闘で投げることも想定して、あと何本か作りたいな。
作業に集中して気づかなかったが、かなり時間がたっていたみたいで、少し眠たくなったので仮眠をとった。
それから、スッと起きれたのだが、まだ日が昇っていなかった。
夜干しでは皮が乾かなかったので、乾くまで干し続ける。
まだ森は真っ暗なので、拠点から離れて狩り行けない。
だから拠点周辺で出来るトレーニングを行うことにした。
1、木登り(15メートルくらいの木)
2、岩投げ(何キロかは不明だが、かなり重い岩を出来るだけ遠くに飛ばす*野球投げではない)
3、投石練習(昨日やった練習の続き)
これを日が昇るまでこれを繰り返しサーキット形式で行った。
木登りは、第一にもしもの時のために逃げるため。第二に腕、背中の筋力トレーニング。
岩投げは、瞬発力と全身を鍛えるためのトレーニング。
投石練習は、昨日の続き。できるだけ遠くの的に当てられるように練習する。
日が昇って森が明くなったところで、トレーニングを終わる。いいトレーニングが出来たからタンパク質と炭水化物が取りたいなぁ。栄養を取るために早く獲物を見つけないと!
仮拠点はそこそこ水場にも近いので、まだ一日しか住んでいないけどちょっと気に行ってしまった。なので戻ってくるために目印を残しながら森をランニングする。
持久力を今以上に高めるためだ。当然獲物を探しながらである。
同時に二つの物事を考えるトレーニングにもなるかなぁ、と思っている。これから森で危険なサバイバルに生きていくにはそういう能力が必要だろう。
森の奥は怖いので行けないし、拠点に帰るための時間も考えて動かないといけない。
何か使えそうな物を拾ったら、目印にする木のそばに置いていく。
蔦や木の棒とかは拠点に持って帰るけど、投げる用の石は置いていく、石なんて誰も取らないだろうし、取られても痛くない。数日は狩りのコースを変えるつもりもないので、石のストックとして放置していくのだ。
かなりの時間と距離を走ったのだが、なかなか獲物に出会えない。
昨日はすごい幸運だったのかな?
食料を何も取れなかったから、帰りはしっかり探しながら帰ろう。
歩いて帰る時間も考慮すると、そろそろ帰路につかないといけない。だけど何か持って帰らないと腹が減って仕方ない。実際今もかなり空腹だ。
「よしっ!面倒だし、嫌だけど背に腹は代えられない。虫とかトカゲみたいな、物陰に隠れてそうな奴も探しながら帰ろう。」
気合いの声を入れて探しながら帰る。
地面に穴が開いていたらその周辺を掘ったり、木の隙間を覗いてみたり、岩を動かして岩の下を見たり、岩と岩の間に手を突っ込んでみたりと色々とやって、行きの何倍も時間をかけて拠点に帰った。
結局、兎みたいな肉が付いている獲物は取れなかったが、カブトムシの幼虫を二回りくらい大きくした幼虫を5匹、15cmくらいの蛇が1匹というのが今日の収穫だ。
幼虫は毒を持っていないと思うけど、蛇は毒を持っているかもしれないよな。
俺は肉体的に回復力が高いことが分かっているけど、体が毒に対する防御力が高いかは分からないんだよなぁ。毒腺がどこにあるか分からないけど、腹から下以外は食べないようにしようかな。
そんなに毒々しい感じでもないから大丈夫だとは思うんだけど、まあ念のためだ。
肉だけ食べようと思ったけど、皮を剥ぐのが面倒だったので表面を綺麗にして皮ごと食べた。
肉の味は兎よりも味が薄くて淡白でもう一回食べたいとは思わなかった。火を通したら違うのかな?
蛇肉は淡白だと聞いたことがあるが、事実だった。
幼虫は土を綺麗に除いて食べる。
こっちは蛇を食べることよりも、精神的に抵抗があったけど食べてみると結構おいしかった。クリーミーでこれからも地面を掘って見つけようと思う。
それにしても生じゃなくて焼いた肉を食べたいなぁ。
でも火を起こしたら、普通の動物は寄ってこないと思うんだが、魔物がなぁ…
基本的に魔物は敵意剥き出しだし、攻撃性が高い性格をしていると思う。
俺の記憶にある仕留めた魔物共は、逃げられそうでも逃げたりしなかったし、集落のゴブリン共は同じ集落の者に対しても敵意剥き出しだった。
だから、火を起こして肉なんかを焼いて油断している時にゴブリンに襲われたら俺は死んでしまう。
そういうことで、火を使いたいのは山々だけど、今の所使えない。
「まあ、火の起こし方なんて分かんないんだけどな…」
幼虫と蛇肉では、全然腹は膨れなかったが、いまさら言っても仕方ないので食後の作業をする。
まず干していた皮が乾いていたので、こびり付いている肉や油を取り除く。
明日また洗って干して乾いたら、刺突武器に巻いて完成だな。
それから、この拠点の偽装を強化する。
そんな知識とかはないので、拾った木と蔦で土台を組んで、それに葉をかぶせたりしてみたのだけど正直に言って微妙な出来栄えだ。
まあこれから試行錯誤で強化していこうかな。
作業に時間がかかって、そこそこ疲れたけど強くなるためにトレーニングをしないといけない。
やるのは、両手で持った石を出来るだけ早く持ち上げて、本気で投げ下ろすというトレーニングだ。(岩の重さはかろうじて持ち上げられるくらい)
初めは岩の下に手を入れて、スクワットの要領で上体を起こし、ミリタリープレスの要領で持ち上げ、3秒キープして真下に投げ下ろすという動作だ。全身の関節を使ったトレーニングので、主要な筋肉をすべて鍛えられるし、全身をうまく使う能力の向上にも良いだろう。
1セット7回やるのが限界で、それを10セットやった所で体が限界になったので終わった。
しかしいいトレーニングができたのに、栄養を取れないのは俺の成長にとって痛いなぁ。これじゃ体に筋肉がつかない。
今日走って獲物を探したのは失敗だったかもな…まあ明日は走らずに歩いて探そう。
明日からもっと大量に幼虫を手に入れないとな。幼虫を手に入れるのは、兎みたいに攻撃してこない分気が楽だ。それに美味しいしな。
当然だけど兎もまた食べたいし、他の肉も食べたい。得られる満腹感が桁違いだ。
他の肉といえば、鹿とかいないのかな。鹿はかなりの肉が取れそうだから、干し肉にして携行食にしたい。
しかし、森に一人だけど危険は意外と避けられるものなんだな。危ないことをしない今の生活は、まるで自給自足のスローライフだ。
もっと気を引き締めないといけないかもしれないな。
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