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6.魔法使いは、空気になりたい

水野みずの そらです。よろしくお願いします」

「水野さんは、窓際のあそこの席ね。今日は午前中だけで主に出している宿題と残りの休み期間中のオンライン授業の確認だから。後でプリントも渡すわね」

「…はい」


なんともいえない視線を浴びながら与えられた席に着いたものの辛い。ふと、窓に目を向ければ海が良く見える事に気づいた。


海に逃げ出したい。


「あ、それ可愛い」


不意打ちで、いきなり話しかけられた。何が可愛いの?


「その髪ゴム、もしかしてハンドメイド?」


今日は、一つに結んだ時に試しに作製した物をつけていた。


「ピンク、桜貝? にしては濃いか」

「…ベニガイの欠片。色が綺麗だったから欠けているのも拾って集めて、それを使って…」


って、私、何ぺらぺら話をしてるの? 喋りすぎたと相手を見れば、ニコニコ笑っている。


「私、宮前みやまえ はな。よろしく!」

「こ、こちらこそ」


動揺しながらなんとか言葉を声にのせれば、ボブカットで猫目の宮前さんは、一枚の紙を目の前に掲げてきた。


「ねぇ、水野さんにぴったりな部活、あるんだけどいかが?」


印刷されている文字は。


「…ビーチコーミング部」


まさか部活でそんな部があるの?


「仲間ができて嬉しいな」

「えっ?!」

「今日、ちょっと寄ってかない?」

「いや、そんな急に言われても」


グイグイ押されて、どう答えていいかわからない。正直、気にはなるけど、でも。


「花ー!」

「あれ、カイ、一年のとこに珍しい」

「花が忘れたんだろ。母さんに頼まれた…あれ?」


扉から顔を出した男子生徒は、私に気づいた。


「なんで空がいんの?」


教室内が、ざわついた。

よりによって、このタイミング。

しかも呼び捨て。


どうしたらいいの。


──ああ、空気になりたい。





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