5.海は、魔法使いに会った
今日は、天気があまりよくなかった。オヤジ達は煩いが、波があるほうが楽しいに決まっている。勿論、自分の腕前は把握済みの為、台風の日は決して行かない。
「誰だ?」
端にあるこの浜は、駐車スペースもないしバスも通らないから穴場で滅多に人は、いないはず。
女というのはわかるが顔がよく見えない。それより、何をしている?
「……」
彼女が急に右手を空へと突き出し何かを呟いた瞬間、手から青い光るものが見えた。
その直後、曇り空の隙間から日が射した。偶然か? いや、違う。彼女が空を見てから周囲を見渡し微かに笑った。
「…嘘だろ?魔法使い?」
確か、大昔に何かのイベントで見た以来だ。
「えっ!」
此方に気づいたとたん、彼女はあっと言う間に走り去った。
その時、彼女から何かが飛んだように見えて彼女がいた辺りまで行くと。
「硝子か?」
砂の上に転がっていた物は、ビー玉に見えるけど魔法使いが落とした物だしなぁ。
「あっ、これ持って海に入れねーじゃん」
滅多にいない魔法使いに遭遇し、微妙な魔法を見て、落とし物を拾う。それによりボード抱えて引き返す俺。
「……いい日なんだか悪い日なんだか」
ため息をしつつ、また気分がのれば後で来ようと海は、結論を出した。