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邪神討伐隊 ~追放された多武器使い、一人で邪神を倒しに行く~  作者: 秋鷺 照
【第二部】~6人はそれぞれの道を進み集う~
33/65

プロローグ

 薄桃色の髪が数本、はらりと散った。

 それを気にも留めず、フィリーは双剣を振るう。崩落していく遺跡の中を、逃げ場を求めて駆けずって、ようやく見つけた横穴に害獣が大量にいたのだ。ひしめく害獣をフィリーはことごとく斬り伏せていく。

 最後の一匹が斃れるのに、そう時間はかからなかった。

「フィリー、無事か」

 兄——リュドの声に振り向いたフィリーは、悠然と微笑んでみせる。

「掠っただけです。それよりお兄様、早くこっちに!」

 その言葉が終わる前に、リュドの上から巨大な岩が落ちてくる。

「っと」

 寸でのところで逃れたリュドは、大きく息を吐いた。

「まったく、どうしてこんなことに」

「私が教えてほしいです」


 邪神討伐隊が解散してから3か月が経っていた。機関の仕事としてこの遺跡を訪れたフィリーとリュドだったが、調査もままならない内に遺跡が崩落し始め、逃げ惑う羽目になった。最初は出口を目指そうとしたが道が塞がれ叶わず、奥へ進むしかなかった。


 フィリーは嘆息し、ぽつりと呟く。

「アレアはこうなることを分かってたのかな」

 燃えるような瞳で「遺跡に入るな」と言ってきた彼女とは、喧嘩別れのようになってしまった。

 この遺跡はアレアの住む村にあり、「入るべからず。立ち入る者あれば、村に災いが起こる」と言い伝えられている。だからアレアは、フィリーとリュドが遺跡に入るのを止めようとした。

「フィリー、とにかく進もう。ここもいつ崩れるか分からない」

 リュドはそう言って天井を見上げた。銀髪がさらりと揺れて、香水の爽やかな匂いが漂う。

 物憂げな顔をしていたフィリーは、目を瞬かせた。いつの間にか兄は随分と肝が据わったらしい。以前ならもっと泣き言を言っていたはずだ。

「……そうですね。行きましょう、お兄様」

「ああ」

 2人揃って足を動かそうとした時。壁に、天井に、ヒビが入った。幾筋も細かく入ったそのヒビは、ビシビシと音を立て、瞬く間に広がっていく。

 ——崩れる。そう思った時には、もう横穴の形が無くなっていた。





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