表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/65

エピローグ

「よくぞ戻った」

 教会に入った邪神討伐隊の6人を、祭壇前に立つ聖職者が迎える。

「報奨金は用意した。ここに置いているから、各自受け取るように。ご苦労だった」

 そう言い残し、奥へ去っていった。あっさりしたものだ。

 報奨金は椅子の上に置いてあった。6つの布袋に大量の金貨が入っている。

「おお、なかなか壮観だね」

 アレアが布袋の中を見て呟いた。布袋を覗き込んだ隊長は目を丸くし、ジャンやレイスは目を輝かせている。ノーシュやフィリーはこのくらいの額を得たことがあったため、平然としていた。

 フィリーは布袋を閉め直して言う。

「ほらね。爵位を買うにはこの10倍は必要よ」

「爵位ってそんなに高いのか」

 ジャンがそう驚いた時、

「……邪神討伐隊はこれで解散なのだな」

 隊長が名残惜し気に言った。

「また会えると良いのだが」

「ジャンとノーシュは王都で商売するんだろう? なら、またそこに集まれば良いのさ」

 アレアが事も無げに言ってのける。

 そんな話をしながら教会を出た6人。誰も、その場から離れられずにいた。別れを切り出せずにいた。

 何気なく空を見上げたノーシュは、瞠目する。

 小さく見える、緑の光。それはだんだん大きく見えてくる。

 緑の光を振りまきながら、妖精が降りてきたのだ。

「ご主人!」

 妖精の声は、ノーシュがよく知るものだった。

「スーロ⁉ こんな人前で、良いのか⁉」

「大丈夫さ。だって、僕を操るような不届き者がいたら、ご主人がやっつけてくれるだろう?」

「え、何? 何事?」

 戸惑いの声を上げるジャンと、目を丸くして固まっているフィリー。隊長とレイスは目を瞬かせている。アレアは皆を見回した後、

「ノーシュ、説明してよ」

 と言った。

「あー……スーロは、ここ1年ほどオレと一緒にいた妖精で……」

「気のせいじゃなかったのね。剣の中にいたんでしょ」

 フィリーが厳しい声音で口を挟んだ。スーロは「しまった」と呟く。

「ご主人。この人間、どうにかして」

 フィリーから隠れるようにノーシュの後ろに回った。

 ノーシュは嘆息する。

「なあ、フィリー。念のため確認するけど、まさか妖精を操れたりしないよな?」

「……魔力操作の訓練は受けているから、ひょっとしたら」

「頼むから操れないって言って」

 懇願するようなノーシュの声。フィリーは苦笑した。

「絶対に妖精を操らないって約束してあげるわ。それなら良いでしょ?」

「もちろん。な、スーロ」

「……うん」

 一連の会話を聞いていたアレアは、

「なるほどね。じゃ、あーしはそろそろ村に帰るよ」

 と言って歩き出した。皆に背を向ける前に見せた表情は、きっとまた会えると確信しているような明るい笑顔だった。

「では、俺も帰るとしよう。今度会う時は名乗りたいものだ」

 隊長は、アレアとは逆方向に歩き出す。

 フィリーは2人を見送りながら、

「私も行くわね。当てが外れないよう祈ってて」

 と言って、王都の中心に向かって歩いて行った。

「……わ、わたしも」

 レイスはフィリーについていく。その様子を見て、ノーシュとジャンは不思議そうな顔をした。

「レイスって……王都暮らしなのかな」

「そういや何も聞かなかったな……。それじゃ、おいらは一旦帰る。待っててくれよ」

「仕事が入らなければな」

 2人は手を振って別れ、教会前にはノーシュとスーロだけが残った。

「さて、オレたちも帰るか」

「ご主人……僕、ご主人に」

「スーロ、戻って来てくれてありがとな」

 ノーシュは、スーロの言葉を遮るように言った。

「けど、その状態じゃ目立ちすぎるだろ。妖精連れてるところなんて見られたら大騒ぎになる。どこか隠れられる場所無いか?」

「……剣が良いな」

 スーロの言葉に応じ、ノーシュは剣を生み出す。それを腰に佩くと、緑の光がするりと中に入った。

『うん、やっぱりこれが落ち着くねぇ』

 その声を微笑んで聞きながら、ノーシュは借家へ向かったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ