表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/45

35話 マスコミにバレた

 『スピーカーJacks』の勢いは凄まじく、今やネット、テレビ、ラジオの出演が絶えない。

女子高生アイドルグループということで夜遅くの仕事がないのが唯一の救いだ。


 しかし、以前よりも各メディアの注目度が増している。


 亜美も対策として玲の部屋にいる時も茶髪のウィッグをして対策しているが、亜美の美貌は並ではない。

レンズ無しの眼鏡をかけて変装しているが、それでもメガネっ子美少女になってしまう。

それにモデル級のスタイルと豊満な胸はどうしても目立ってしまう。



「見つかったらそれまでだし……見つかった時に考えましょう」



 亜美はそんなことを言いながら、スーパーへ買い物に出かけたりしている。


 やはりというか……マスコミのアンテナの高さは並ではない。

阿佐ヶ谷に超美少女が現れる噂を聞きつけたマスコミ関係者が亜美を激写した。

そして玲の部屋のベランダで嬉しそうに洗濯物を干している亜美の写真まで撮られている。


 その週の週刊誌やスポーツ新聞に記事が載る。

各テレビ局が亜美本人に直接インタビューしようと待ち構えている。



「あーあ、やっぱりバレちゃったかー。仕方ないよね……あまり隠す気なかったし……」



 亜美自身は玲の部屋へ来ても、いつもの調子で微笑んでいる。

亜美が所属している芸能プロダクションでは、噂を消そうと必死になっているというのに、亜美自身は

平然としていた。

そのことに玲は違和感を覚える。

いつもの冷静な亜美なら、こういうことに一番気遣いをするはずだ。

それが今回の騒動に関しては一切、気にしていないようにふるまっている。


 朝のテレビ番組に『スピーカーJacks』がゲストとして呼ばれた。

歌を歌い終わった後にインタビューが待っている。

当然、写真や記事の話題となった。


 亜美はニッコリと天使のような微笑みを浮かべる。



「私……今、恋をしています。相手は一般人の男性です。まだ正式に付き合おうって言ってもらっていませんが、私は彼のことが大好きです。だから皆さん、暖かく見守ってください。お願いいたします」



 そう言ってペコリと頭を下げた。



 インタビューした朝のキャスターも、こんな回答が返ってくるとは予想しておらず、現場はパニック状態になっている。

その中で亜美は微笑んでいた。

その隣で里緒菜が額に手を当てて顔を隠している。


 このことによって、『スピーカーJacks』の亜美のスキャンダルは本物となった。

本人からの言葉なので、誰も否定することができない。

『スピーカーJacks』が所属する芸能プロダクションもこれで噂を消せなくなった。


 朝からその番組を見ていた玲は、あまりの亜美の潔さに卒倒しそうになった。

その隣ではラルスが腕を組んで険しい顔をしている。



「玲……このマンションに人除けの結界と視界誤認の結界を張っておく。住民達だけが結界を素通りできるようにしておこう。そうしなければ、このマンションの位置が一般市民にバレる可能性がある」


「ラルス、助かるよ……亜美、一体何を考えているんだよ。今まで隠してた意味がないじゃないか」


「亜美は決めたのだろう……アイドルよりも玲との暮らしを優先させると……」



 やはりそうなのか……

亜美の決断は嬉しいが、その前に相談してほしかった。

相談さえしてくれたなら、こんな無謀なことは止めていたのに……

止められるとわかっていたから亜美は相談しなかったのかもしれない。



 それから後は、亜美はインタビューがある度に「暖かく見守ってください」とお願いしていく。

亜美には好きという気持ちを伝えたことはある。

しかし、まだ付き合おうと玲から告白したことはない。

一緒のベッドで寝ているが、キスもしたことがない清い関係を保っている。



 一線を越えると、今の良好な関係が壊れそうで怖かった。

玲が臆病だったのかもしれない。

それを亜美は強行策で突き破った。



「亜美は決めたのだ……今度は玲が決めるしかあるまい」



 ラルスが言葉が重くのしかかる。

亜美は自分の人生を賭けて玲にぶつかってきた。

玲は亜美の人生ごと受け止める覚悟が必要だ。

はたして自分に亜美を幸せにすることができるのだろうか……

玲は自問自答するが答えは出ない。


 ラルスはまるで親のような優しい目で玲を見守り続けている。

そして小さな声で呟いた。



「玲には我がいる。我が亜美達を助けてやろう。もう都内へ引っ越すだけの資金は貯まっている。我も都内へ引っ越しする。そして我が全てを上手く仕切ってみせよう」


「……ありがとう……ラルス」



 ラルスが亜美と里緒菜達を守ってくれるという。

それだけでもありがたい。

ラルスの魔法の力は強力だ。

皆を上手く守ってくれるだろう。



「亜美とのことは玲が考えて答えを出すのだぞ。亜美を失望させるな」



 ラルスはそう言って、ダイニングの扉を開いて実家に戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ