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32話 玲の引っ越し

 ラルスと一緒に今日は電車で阿佐ヶ谷まで乗り継いでいく。

今日は不動産屋との鍵の受け渡しの日であり、引っ越し業者が荷物を運んでくる日だ。


 阿佐ヶ谷の不動産屋から鍵を受け取り、5階建てマンションの3階の端部屋の前に立つ。

そして鍵でドアを開けると、新しい内装の1DKの部屋が広がっていた。


 ラルスがダイニングに新しい扉を魔法でつける。

この扉も亜美の部屋と通じている。


 そしてもう1つ扉が魔法でつけられる。

こちらはネルの部屋と通じている扉だ。


 引っ越し業者が来て、1DKの部屋に家具を置いて帰っていった。

掃除機や洗濯機などの家電はまだない。


 ネットだけはつながって、ラルスに買ってもらったノートPCだけが動いている。

以前のPCはデスクトップタイプだっただけに、部屋中へ持ち運びできるノートPCは便利だ。



「それでは我は帰るぞ。何かあればネルの部屋へ来れば良い」


「ああ……今日は手伝ってくれてありがとう」


「我の時もよろしく頼む」



 そう言って、ラルスは扉を開けて、ネルの部屋へ戻ってしまった。


 それからしばらくの間はPCを使って、安い家電製品を検索しては、カートの中へ入れていく。

大型の家電ショップへ行こうかとも考えたが、電車で行くのが面倒だ。


 家電がくるまで、ネルの部屋へ戻って、実家の電化製品を使わせてもらえばいい。

こんな時、ラルスの取り付けた魔法の扉はとても便利だ。


 首から魔力を封じたネックレスを外して、机の一番上のケースへ入れる。

これで全員の部屋とつながった。

そしてラルスもネルもこの世界にいる。

もう、あの洞窟での密会は必要ないだろう。


 皆とも、この件については何度も話し合った。

話し合った結果、全員が合流できるようになったら、ネックレスを取り外そうと皆で決めていた。

何かあればネックレスをつければ洞窟へ行ける。


 ダイニングの扉が開いて、亜美と里緒菜が部屋に入ってきた。



「3階だから日当たりも良好だし、少しだけベランダがついてるから良かった。洗濯物が干せるもの」


「家賃8万円のわりには良い部屋じゃない。お風呂とトイレが別なのがいいわね」



 本当のこの部屋の家賃の値段は10万円以上した。

それをラルスの認識変更で安く値下げしてもらったのだ。


 里緒菜が亜美の顔を見てニヤニヤと笑う。

亜美は恥ずかしそうにして、顔を赤くして視線を逸らす。



「ここが亜美と玲の愛の巣なわけね。同棲みたいでいいんじゃない?」


「だから……里緒菜、それは言わないでって言ってるでしょ……」



 里緒菜は亜美が恥ずかしがる姿を見て嬉しそうだ。

亜美はあまりの恥ずかしさに、両手で顔を覆う。



「何の話をしてるんだ?」


「……何でもないの。こちらの話だから……」


「そういえば、亜美、里緒菜、俺……ネックレスを封印したから……あの洞窟にはもう行かない」



 玲がそういうと亜美と里緒菜の2人は目を合わせて考えている。

2人共、知ってはいたけれど、すぐに玲が行動に移すとは思っていなかったのだろう。



「わかったわ……玲がそうするなら里緒菜も私もそうするわ……でも懐かしくなったら、また洞窟に行きましょう」


「わかった……懐かしくなったら皆で洞窟に行こう」



 里緒菜も亜美もベッドに座って、のんびりとしている。

まだダイニングテーブルも買っていないので、座る椅子もない。



「外に出たいけど……騒ぎになるかもしれないし……」


「やめておいたほうがいいと思うぞ……ネットに載せられても良いことはないからな」


「そうだね……外は空がきれいなのになー」



 里緒菜が窓を開けて、空を見て、羨ましそうに外の風景を見ている。


 ダイニングの扉が開いて、次に瑠香とネルが部屋へ入ってくる。



「わあ――亜美ちゃんと里緒菜ちゃんだ。こんにちは」


「こんにちは……瑠香ちゃん、ネル」


「玲兄ちゃんの部屋、小さいけどきれいだねー」


「この扉があると、いつでも玲パパのところまで来られるね」



 この部屋は亜美達の部屋とも通じているし、ネルの部屋とも通じている。

だから実家にいた時とあまり変わらない。

こうして、いつもの面々が集まると引っ越ししたような気がしない。



「今日は実家で夕飯食べるでしょう。こっちには家電製品1つもないんだから」


「ああ……助かる。今日は瑠香に頼もうと思ってたんだ」


「頼りない玲兄ちゃんねー。亜美ちゃん……玲兄ちゃんのどこが良かったの?」


「……」



 急に話を振られて、亜美は目を白黒させて、口を押えている。

あまりそういうことは、本人のいる前でしないでもらいたい。



「……優しい所と……格好いい所……かな」


「玲兄ちゃんが優しいのはわかるけど、恰好いいならラルスのほうが恰好いいと思う」



 妹よ……素直に思ったことを言葉にしてはいけない時もあるのだぞ。


 ネルは玲の膝の上に乗って、頬を膨らませる。



「玲パパの方が優しくて、恰好いいもん。お父様は大きいけど格好よくない」



 ラルスが聞いたら泣いて悲しむことだろう。

本人の前では絶対に言わないでやってほしい。


 亜美と里緒菜がベッドから立ち上がって扉へ向かう。



「もうすぐレッスンの時間だから、私達はこれで帰るわ。また来るね」



 そう言って扉の向こうへ2人共戻っていった。



「玲兄ちゃん……ここに居ても暇でしょ。実家に戻って皆で一緒にリビングでお茶しようよ」


「ネルも玲パパと一緒にいたい」



 2人に言われたら、そうするしかない。

確かにここに居ても何もすることがない。

マンションの周辺を見学するのは明日でもいいだろう。


 ネルと瑠香に手を引っ張られて、玲はダイニングの扉を開けて実家へと戻るのだった。

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