27話 合格通知がやってきた
大学の合格通知が届いた。
通知の内容は合格……これで玲も某有名私立大学の生徒となったわけだ。
亜美からLINEが届いた。
《大学合格したよ……ヤッター! 玲はどうだった?》
《俺も大学に合格した》
《春からは一緒の大学に通えるね》
そうだ……亜美も俺と一緒の大学に合格した。
春になれば亜美と一緒に大学に通うことができる。
玲はその場で小さくガッツポーズをする。
玲が静かに喜んでいると、同じ部屋で玲のPCを使って何かの操作をしていたラルスがモニターから顔
を玲に向けてニヤニヤと笑っている。
「ここ数日、玲の家に来ているが、玲がそこまで喜んでいる姿を見たのは初めてだ。よほど嬉しいことでも
あったのか?」
「ああ……大学に合格した。春からは都内の大学生だ。これで念願の大学生活ができる」
「よくわからんが、玲が喜んでいるということはおめでたいことがあったのだろう。玲よ、おめでとう」
「ありがとう……ラルス」
ラルスは口の中で呪文を唱えると、壁に1枚の扉ができた。
「これは我からのプレゼントじゃ。開けてみると良い」
ラルスからプレゼントをもらうのは初めてだ。
少しイヤな予感はするが、せっかくのプレゼントだから、扉を開けてみよう。
扉を開けると、亜美と里緒菜が着替えの途中で下着姿で立っていた。
「ああ……別に悪気があったわけじゃないんだ……大学合格おめでとう」
「キャ―――!」
里緒菜が近くにあったクッションや枕を投げつけてくる。
亜美は色白の肌をピンク色に染めて、しゃがんでしまった。
急いでドアを閉めて、ラルスを見る。
「良い目の保養になったであろう。今日はめでたい日だ……亜美達も許してくれるだろう」
「そんなことより、何をした? このドアは何だ?」
「うむ……玲の部屋と亜美の部屋の空間を引っ付けたのだ。これからはこのドアで行き来できるぞ」
そういう大事なことは先に言ってもらいたい。
亜美は都内に住んでいて、玲は田舎に住んでいる。
2人で大学に入ったら、こちらの世界で会おうと約束していた。
こんな形で約束が実行されるとは思わなかった。
それも状況は最悪だ……
それにしても亜美……きれいだったな。
着替え終わった亜美と里緒菜がドアを開けて、玲の部屋へとやってくる。
「ここが玲の部屋なんだ……普通の部屋なんだね……あまりモノが置かれていないというか……何もないというか……」
里緒菜が玲の部屋を見回して感想をいう。
確かに玲の部屋にはタンスと本棚ぐらいしかない。後は勉強机とPCがあるだけだ。
「せっかく来てくれたんだ。紅茶ぐらい出すよ。ラルス……亜美達に変なことを教えるなよ」
別に変なモノなど隠していないが、ラルスは何を始めるかわからない。
一応……注意しておく。
1階へ行って紅茶を入れて戻ると、ラルスはPCのネットを利用して何かをしている。
それを里緒菜が不思議そうにみている。
そして亜美は顔を真っ赤に染めて、玲のベッドの中で寝たふりをしていた。
「紅茶を持ってきたけど……3人共、何をしてるのかな?」
「ラルスがネットを使って何かをしているから……何をしているのか見ていたの……さっぱりわからない」
「我はPCとネットで、あることをしていただけだぞ……変なことはしておらん」
「亜美さん……なぜ俺のベッドで寝ているのかな?」
「だって……ベッドに玲の匂いが染みついていて、とても安心して眠れそうなんだもん」
亜美が一番とんでもないことを言いだすとは思わなかった。
大誤算だ。
亜美が相手では怒ることもできない。
3人に紅茶を出して、自分も紅茶を一口飲んで、気分を落ち着かせる。
里緒菜は紅茶を飲みながら、窓を開けて外の様子を見る。
外は積雪が1mほど積もっている。
「亜美……雪が1m以上積もってるよ。やっぱり都内じゃないんだ……玲の実家って寒いんだね」
「まだこの辺りはマシなほうだよ。山間部へ行くと積雪4mを超えるからね」
「すごーい。スキー場が近くにありそうじゃん。スノーボードしたかったな」
「山間部へ行けば沢山スキー場があるよ。地元民はあまり興味ないけどね」
「そうなんだ……勿体ない」
そう言って、里緒菜は窓を閉める。
部屋の中が一気に温まる。
亜美と里緒菜は玲のベッドの上に腰をかけて紅茶を飲んでいる。
里緒菜がジーっと玲の顔を見る。
「部屋が通じたのは良いんだけど……さっきみたいなのは困るわよ」
「それは俺も同感だ。亜美と里緒菜には申し訳ないことをしたと思ってる……ゴメン」
「相手が玲じゃなかったら、大声で悲鳴をあげているところよ」
着替えている最中の下着姿を見られたんだ。
それぐらいのことはされても仕方ないだろう。
玲は心の中で助かったと安堵の息を吐く。
「これからはドアに『外出中』、『着替え中』ってメモ紙を貼っておくから、それを確かめてからドアを開けてちょうだい」
「このドアを元に戻すという手段もあるけど……それのほうがお互いに良いと思うんだけど……」
「そんなことをしたら、亜美が可哀そうじゃん。せっかく玲と部屋が通じたのに……」
「私は別に……」
亜美は顔を真っ赤にして反論しようとするが、里緒菜に顔を覗かれて何も言えなくなった。
ラルスが来てから徐々に環境が変化していくように思うが……気のせいだと思いたい。




