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17話 ラルスとの再会

 夜の1時半に洞窟へ着くと、まだ亜美と里緒菜は来ていない。

玲は洞窟の奥へと歩いていって、竜に会いにいく。


 竜は玲が近寄ってきているのを知っていたらしく、大きな目を開いて、玲を見る。



『我のことは覚えておらぬか……まだ4歳の頃だからのう』



 竜のことに関しては、玲は全く覚えていない。

しかし、なぜか懐かしい感じがする。



「うん……覚えていない……でも懐かしい感じがするんだ……俺は会ったことがあるよね」


『我が名はラルス……玲が小さい時も、我のことをラルスと呼んでいた。だからラルスと呼ぶがいい』


「ありがとうラルス……亜美が来たら、亜美ならもっとはっきりとラルスのことを覚えていると思うんだ」


『そうか亜美のほうが記憶力が良いのじゃな……ならば待とう』



 しばらくすると亜美と里緒菜が元の世界から転移してきた。

そして玲とラルスの元へ歩いてくる。



『亜美よ……我のことは覚えているか?』


「私はハッキリと覚えていないけど……ムント村を守っていたのはあなただってことは村のグレクスとミレアから聞いているわ。そして私と玲を召喚したのもアナタだよね」


『我の名はラルス……ラルスと呼ぶがいい。我と玲と亜美は4歳の頃に一緒に暮らしていた時期があるのだ……まだ玲と亜美を召喚魔法で呼び出してすぐの頃じゃ。お前達はよく懐いてくれて、

可愛かったのだぞ』


「それじゃあ、ラルスに触ってもいい? 私、ラルスに触れてみたかったの。なんだか懐かしい気持ちになるから」



 玲と亜美はラルスの近くまで歩いていき、ラルスの大きくて硬いウロコを触る。なんだか懐かしい。

ラルスは気持ちよさそうに目をつむっている。


 里緒菜は玲と亜美が竜に無防備に近づいて、触っている姿を見て呆然としている。


 亜美がハッと思い出した顔になる。



「そうだわ……私達はラルスと一緒に暮らしていた。でも食べ物が合わなくて、一緒に暮らせなくて……ムント村に預けられたのよ。思い出したわ」


『そうじゃ……我等、竜族は魔獣をそのまま食べるが、玲と亜美には料理しないといけなかった。その料理方法がわからなかったのじゃ……途中で手放してしまったこと謝罪する』



 なるほど……竜は魔獣を生のままでも食べることができる。しかし、人族の幼児だった玲と亜美では料理した食糧が必要だ。だからムント村を頼ったのか。



「私達がこの洞窟にいた時は、どうやって食料を食べていたの?」


『我のウロコを吸って、舐めておった。竜のウロコは秘薬にもなるからのう。だから、玲と亜美と暮らしていたのは3カ月ほどじゃ』



 確かに大怪我をしたオトカルが竜のウロコの粉で大怪我が治った。

ネルも竜のウロコの砂状の欠片を食べて大きく育った。

玲と亜美もそのようにして育てられていたのだろう。

しかし限界がやってきた……だからムント村へ預けたのだ。



「あれから13年間……ラルスはどこへ行っていたの? ムント村にも来てなかったって聞いたけど?」


『我は世界を旅していた。このエリノア世界にある一番大きな大陸、ユーレクシア大陸を旅していたのだ。多くに人族の暮らしも見てきたのだぞ。ムント村よりも大きな街にも行った。楽しかったぞ』


 ラルスは13年間、ユーレクシア大陸の色々な場所で生活をしていたらしい。

そして、13年後に大人になった玲と亜美を見たいという約束を守るために、この洞窟へ戻ってきたという。



『玲、亜美……大きくなったな。これで我は満足じゃ』



 これでラルスは約束を守ったことになる。

玲と亜美の大人の姿を見て、ラルスはご満悦のようだ。



「ネルは何なの? ネルは誰の子なの? ラルスの子だよね。子供がいるのに1人にするなんて可哀そうだよ……ラルス親失格」


 亜美は少し険しい顔をしてラルスを見る。

ラルスは少し気圧されたように体を縮める。



『違うのだ亜美。我等、竜族に子供を育てるという習慣はないのだ。子供にはウロコを多く残しておく。すると幼竜はウロコを食べて大きくなる。そのうちに魔獣を狩るようになって大きくなるのじゃ。我は育児放棄をしていたわけではない。誤解してほしくない』


「でもネルと再会したんだし……きちんとパパ竜をしないとダメだよ。ネルだってまだ甘えたい幼竜なんだから……ラルスはこれから旅に出ることは禁止。ネルを立派な竜に育てること」



 亜美にそう言われてラルスが大きく目を見開く。

しかし、どこか嬉しそうに大きく口を開ける。

竜の表情を見分けるのは難しい。



『そうか……私にも家族ができたのか……』



ラルスは遠い目をする。



『竜族には家族を作るという習性がない。我は人族が好きじゃった。だから人族のように家族が欲しくなった……そして召喚魔法を使ってしまった』



 ラルスは優しくネルを見る。ネルはラルスに懐いて離れようとせず、眠っている。



『そんな我にも家族ができたのか。これからはネルを我が子として可愛がっていこう。今までネルのことを大事にしてくれて、玲に亜美よ、ありがとう』



 里緒菜がラルスの近くまで歩いてくると、険しい顔でラルスを見る。



「3人だけで和んでいますけど、私の存在を忘れてない。一体、何がどうなっているのか、きちんと説明してよ。私だけ除け者にしないでよ。少し寂しかったんだから」



確かに里緒菜の言う通りだ。

里緒菜もすでに、こちらの世界に来ている。

このまま無関係というわけにはいかない。


亜美と玲は、なるべく丁寧に、今までの経緯を里緒菜に説明した。



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