14話 期末考査テスト結果
12月も前半が終わり、教室の窓から見える景色は、冬の空が窓一面に広がっている。
まだ雪が積もるほどは降っていないが、12月の終わりには雪も積もり始めるだろう。
期末考査テストの期間が終わった。
全力を出し切ってテストを頑張った。
テスト結果が返されて、廊下の掲示板には学年別ランキング上位50名の名前が発表されている。
玲が28位で陸が26位だった。
僅差で陸に抜かれてしまった。
「ワハハハ。俺だってやる時にはやれるのだよ」
「今回は完全に陸にやられたな……総合点数で12点も差がついてる」
「予備校では玲に抜かされっぱなしだからな。学期末考査ぐらいは勝ちたかった」
玲と陸は同じ予備校に通っている。
予備校ではあまり話をする時間はないが、いつも似たような時間に予備校に通っている。
大学の志望校も似たような大学が多い。
都内の某有名私立大学を第一希望にしている所は同じだ。
2人共、模試ではA判定をもらっている。
田舎に住んでいる玲と陸にとって、都内に住むというのは一種の憧れに近い。
田園風景の広がる田舎から、大都会の都内へ出る。
これは玲達が住んでいる地域の高校生達が、誰でも憧れる大学生活だ。
陸には黙っているが、玲にはもう一つ目標がある。
都内に住んでいる亜美の近くに住んで、都内の街でデートをしたい。
亜美は芸能人で有名人なので、現実的に実現できるとは思っていないが、憧れてしまう。
「期末考査も終わったことだし、後は終業式を待つだけだな。それが終わったら……この高校とも本格的にお別れだ」
陸の言う通り、高校3年生の3学期は、学校にほとんど通わなくても良い。自由登校だ。
予備校に通っている陸や玲にとっては、最後の正念場といえる。
「俺は絶対に都内の大学に合格して、芸能関係の会社に就職してみせるぜ」
陸の目が真剣に燃えている。
どんな理由でもいい。
それだけ将来を決められることは良いことだと思う。
「玲は将来について何か決めてるのか?」
今の所、大学に合格することで頭がいっぱいで将来のことまで考えていないというのが実際の話だ。
「まだ決めてない。大学に合格できたら、真剣に考えるよ」
「そういう所は玲らしいな」
陸に言わせると、玲はどこか、のんびりとした性格なようだ。
自分ではそうは思っていないのだが、よく陸にからかわれる。
終業式は12月24日のクリスマスイブ。
『スピーカーJacks』のネットライブの生中継のある日だ。
亜美の高校の終業式の日も同じだと聞いている。
亜美にとって12月24日は忙しい1日になりそうだ。
自分も何か役に立てることがあれば、手伝いたいと思うのだが……
こちらの世界では会うこともできない。
向こうの世界では、亜美をなるべくリラックスさせてあげよう。
◇
夜の2時になって洞窟に亜美が現れる。
亜美は頬をピンク色に染めている。
いつもとてもきれいで可愛いが、今日の亜美は一層可愛く見える。
「学期末考査終わったね……私のほうは少しだけ点数を下げちゃった。玲はどうだった?」
「俺は今まで通りと変わらない。でも友達に僅差で負けちゃったよ」
「玲は都内の大学を志望校にしているのよね?」
「ああ……そうだよ。都内の某有名私立大学を第一希望にしてる」
「よかった……私も志望校にしている大学なんだよ。合格すれば一緒の大学へ入学できるね」
そうだったのか。
亜美と一緒に大学へ通うことができれば、どんなに嬉しいことだろう。
しかし、亜美と一緒に登校なんてすれば、注目の的になってしまう。
亜美に迷惑がかかるかもしれない。
それでは亜美に申し訳ない。
「一緒に登校するのは嬉しいけど、亜美の迷惑にならないか?」
「時々、一緒に登下校するぐらいなら、私達の関係がバレることもないと思うわ」
亜美がそういうなら、それでいいのだろう。
田舎に住んでいる玲にとって、都内の大学がどういうものなのか、イメージがわかない。
「玲が都内に住んだら『スピーカーJacks』のメンバーも紹介するね。皆、良い子ばかりだから、すぐに仲良くなれるよ。特に私の親友の里緒菜は世話焼きだから、すぐに仲良くなると思う」
妹よ……玲兄ちゃんは都内の大学へ合格すると『スピーカーJacks』メンバーと会えるらしいぞ。
瑠香に言えない秘密がまた1つ増えてしまうが、ここは黙っておくことにする。
「期末考査も終わったし、私はクリスマスコンサートに向けて、最後のレッスンをするだけ」
「順調なの?」
「うん……なんとかなりそう。ダンスは合格って言われてるし、後は不安なのはリハーサルだけかな」
コンサートとは一種のショータイムだ。
ダンス1つ、歌1つに至るまで、全て演目が決まっている。
その通りに進行していくのは大変な作業だろう。
「本番では予期しないアクシデントが起きる可能性もあるから、しっかりとリハーサルで段取りを覚えて
おかないといけないの」
「聞いているだけでも大変さが伝わってくるよ。ここではリラックスしてゆっくりしてな」
「うん……ありがとうそうさせてもらう。ここなら玲とネルがいるから、すごくリラックスできるの」
亜美はそう言って、玲を優しく見つめる。
玲と亜美の周りをネルが嬉しそうにピョンピョンと跳ねて回る。
玲と亜美は洞窟の壁にもたれて、寄り添って、互いに手を重ねて、リラックスする。




