ゆうあい
「さっちーん!お昼行こ!」
「さっちん!ここ、わかんないよお」
「さっちぃーん……」
小さい時から犬ころのように私の周りをついて回ってちょろちょろちょろちょろ。さっちんこと私の幼馴染は、私に依存し過ぎではないか?
高校こそはと彼女には入れないであろう偏差値の高いところを選んだはずが大誤算。私の事となると全てを捧げてくるのを失念していた。入学式で「さっちん!」が聞こえた時は目眩がした。
と、そんなことをぼんやりと考えていると、彼女が目の前に立っていた。暑いからと不健全な程開けられたワイシャツの隙間からは白い肌が覗いている。普通の男子高生ならば喜び夜の共にでもするのだろうか、私は女子でなんならコイツと風呂も入っている。特になんの感慨も湧かない。
「さっちん、眉間シワよってるよ?」
ぐりぐりと眉間を押される。大体はお前のせいだと溜息を吐きたい気もするがそれはそれで置いておく。
「さっちんさっちん、お昼どうする?今日私、食堂なんだ」
「…………」
無言で立ち上がる。ねえったら、と腕を掴まれて胸元に寄せられる。おいバカやめろそれは男にすることだ。
「…しろ、お前私の事なんだと思ってるんだ?私はお前の彼氏か?違うだろ。私に付きまとってばかり居ると誰も付き合ってくれなくなるぞ」
ぱしりと腕を振り払うと、酷く傷ついた顔をされる。心做しか周りの視線もしろに哀れみを向けている。私が悪いみたいじゃないか。
…すう、と息を吸う音がする。
瞬間。
「あーーー!!!鈍感!馬鹿!!さいてー!!!本当は大好きだってことくらい気付けよ!!ばかやろーーー!!!!」
目眩がした。