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朧
「君のことは嫌いじゃないけど、君に好きと言われると死にたくなるんだよなぁ」
「どうして?私はこんなに好きなのに」
女はそう言って、無遠慮に首元へと舌を這わせる。熱い舌が這った跡へ、空気がまたなぞるように熱を冷ましていく。
恋だ愛だいうこの女の瞳は、俺の目を素通りして、別のものを眺めては愛でている。
この女はきっと。
恋をしている自分に恋をしているのだろう。恋をしている自分を愛しているのだろう。
嗚呼、今日も愛のない。
透明な冷たい縄が首を這う。
感想より、「」の中にセリフを頂ければ次の短編の制作をさせていただきます。
よければお題をお願いします。