探し物(2)・・・
私の手は、真っ赤だった。いや、よく見るとどす黒く変色した
ような、そんな赤だった。なんでこんなに血が・・・。
そんなことを考えながらも、私は歩いている。どうも霧がかか
っているかのように、私は頭がぼうっとなっているようだ。
何があったのだろう?それよりもここはどこなんだろう?考え
ようとすればするほど頭が痛む。これは、後頭部が痛むのか。
後頭部に手をやった私は、何気なく触ってみる。ぬるぬる・・
・、いや、ぬめぬめという感じか、そして痛みが襲ってくる。
「こ、これは・・・!!!」
私は後頭部を触った手のひらを見てびっくりした。血だ!!
その瞬間、私の中で先ほどまでの光景が甦る。
それは、何者か分からないが、こん棒を持った人物が私の後ろ
にいた。こん棒からは血が滴っていた・・・。
その棒で私の後頭部を殴ったのか?そいつは、私の方を見つめ
ていた。何の表情も無く、ただやるべきことをやったというかの
ように・・・。
そんなことを思い出したが、果たしてだからといってそれが何
だというのか。今周りには誰もいない。とにかく歩くしかない。
しばらく歩いていると、前方に人が立っていた。誰だったか?
覚えが無い、とにかく話してみれば、何かの手がかりが入るか。
「遅かったな、待ちくたびれたぞ」
「・・・・・・」
男はうんざりしたように話しかけてきた。
「それにしても、あれだけの一撃を受けながら、よく生きていた
な」
「一撃?」
「そうだ、おまえはまるで気づいてなかったが、あれはお前にと
って致命的な一撃だったはずだ」
「・・・・・・・」
私は怪我をしている頭の痛みと、この不可解な話をしてくる人
物に目眩がしてきた。
「まぁ、その幸運もここまでだろうが、最後に『探し物』につい
て教えてやろう・・・」
男は、私を見ながら、淡々と話し始めた。しかし、私はその話
を聞くことはできず、何が起きたのかも分からなかった。
バタッ!
「やはりもたなかったか。お前の後ろに『探し物』はあったのに
な・・・」
その人物は、その後笑みを浮かべただけでその場を立ち去った。