第2話
俺が生まれてから四年がたった。
2歳半位の時に初めてベビーシッターのような人に連れられ家の外、というか子供部屋の外にでた。
それまではドアノブに手が届かなくて部屋から全くもってでられなくて毎日のようにイラつく扉に八つ当たりで蹴りを入れていた。
そのおかげで今では蹴りが様になってきてしまった。
蹴りが様になっている2歳半は流石に引くと思ったが意外と親もベビーシッターのような人も遊びの一環として放置していた。
まぁ、俺も後半は蹴る威力と蹴った時に出る音が少しずつ強くなっているのを楽しんでいたのでこれでいいのかもしれない。
まぁ無駄話はこのへんにして、子供部屋には窓があるのだが背が届かないし揺りかごからも遠いいので外の世界を見たのは、これが初めてだったのだがここが異世界なんだということを再認識させられた。
まず地面がコンクリートではなくただの土だし、家の近くを馬車が通ったのだ。
馬車なんか初めてみたからめっちゃ興奮したのだがその後ろに馬サイズのトリケラトプスみたいなのが引いた馬車がきたときは本当に子供のようにはしゃいだ。
その後も家の近くを散歩したのだが全身防具の冒険者みたいのがいたりドワーフが店番をしている鍛冶屋があったりとその日は興奮しっぱなしだった。
次の日からは子供部屋の扉が開いていたのでその日から家の中を探索し始めたのだがいくつか新しくわかった事がある。
一つ目はこの家が奴隷商だということだ。
いきなり何をと思うかもしれないが奴隷商なのだ。
最初、子供部屋のある二階から今までの歩くための特訓と蹴りで鍛えた足を使い一階に降り玄関前の一番大きな部屋を見た時は人が多かったから使用人かなにかを雇っているのだろうと思ったのだがその後、やせ細った子供達が5、6人一度に連れてこられたら何となくわかるというものだ。
その後高そうな格好をした貴族と思われるひとが
家の地下から連れてこられた若い男達を連れて行ったのも見たしな。
まぁ、それが兵士なんかとして買われたようには見えなかったから尻に力が入ってしまったが。
あの貴族の笑顔は多分そういう目的何だろうなと思う。
まぁそれを女でなく男で見るとは思わなかったが。
俺は奴隷にいいイメージは抱けないがそれは平和な日本にいたからだと思う。
まあこの家の奴隷は俺の思っていたような酷い扱いなんて受けていなかったし数人を除いて牢屋みたいな所に入れられてはいなくて二段ベッドが二つ置いてある部屋でのんびりしていた。
なぜそれが分かるかというと夜にこっそりと地下にいったのだ。
その時は緊張しながらも好奇心に負けて見に行ったが意外と普通に暮らしていたので逆にびっくりした。
奴隷がやせ細っていたりはしなかったからそこまで酷い扱いは受けていないとは思っていたがまさかここまでのんびりしているとは思っていなかった。
俺の緊張を返してほしいくらいだ。
檻に入れられた奴隷は犯罪奴隷とかそんなんだと思う。
その後家の地下で非人道的な行為が行われていない事に満足し子供部屋に戻ろうとしたとき地下と一階の間の階段で父親にあってしまい地下に行ったことをさんざんおこられたが。
2つ目は言葉についてだ。
父に怒られた後も玄関前の部屋と地下にいかなければ特に何もいわれなかったので父親の商売や母親とベビーシッターのような人の会話を聞きながら言葉を覚えようとしたのだが、これがなんとすぐに頭に入ってきて3歳半の時にはある程度話す、聞くが出来るようになった。
前世で中学、高校と6年間、英語でずっと60点くらいしか取れなかった俺がだ。
この体は前世の体より圧倒的に記憶力がいいらしい。
それとやっとその頃になって親の名前がわかった。
母さんがティファー・レイモンドで
父さんがアルフ・レイモンドというらしい。
それとベビーシッターのような人はフレアというらしく最近では俺の部屋にはほとんどいなくて家全体の掃除や洗濯をやっている。
フレアさんはとても綺麗な人で父親を追っていた視線がいつの間にかフレアさんをおっていたりする。
あぁ、勘違いしないでほしい。
これは決してストーカーではない。
俺がフレアさんを追うのは視線だけで実際には追いかけていないからセーフだ。
セーフだ。
大事な事なので二回言わせてもらう。
まぁこの話しはおいておこう。......永遠に
話しを戻そう。
3歳半で言葉を普通に話せるようになった俺だが文字の読み書きはまだ出来ない。
それというのも二階に父さんの書斎があってその中に本を読んで覚えようと思ったのに、その書斎開かないのだ。
鍵がかかっているわけではないのだが父親がドアノブを回すと開くが俺がドアノブを回しても開かないのだ。
多分魔法的ななにかだろうと思ったからどうにかして開けようと体内だけでなく扉の魔力を感じようと思ったのだがこれがなかなか難しい。
外の魔力を感じようとするときまず今までずっと続けてきている魔法訓練で増えた魔力を感じ取りそこからだんだんと感じ取る範囲を広げて行くのだが三メートルも広げると情報量がすごい事になり倒れそうになるのだ。それにこの扉がとても複雑に魔力が絡まっていて解読して開けるなんて不可能そうだった。
それでもう自力で扉を開けるのは諦めて母さんに甘えて頼もうと思ったが母さんも書類の処理でめっちゃ忙しそうで声がなかなかかけられない。
だから今日まで書斎に入るのは諦めてたのだが4歳の誕生日の今日書斎に入ることを許されたの
だ。
これからは俺がドアノブを回しても書斎にはいれるようにしたらしい。
その仕組みについても気になるがそれより書斎の中にあったたくさんの本を読みたかったから父さんに仕組みについて質問することなく父さんと一緒に書斎に入った。
「父さん、ありがとう」
「ああ」
「にしても本多いね、本って貴重何でしょ?」
「まあな、お前は賢いからわかってると思うがこの家では人を売っている。そのためにはたくさんの知識が必要だ。だからこの家にはたくさんの本がある。だがこの本は先代からずっとずっと集められてきた本だ。だから大事にしろよ。」
父さんはいつもより低い声でゆっくりといった。
だがそんなことは言われなくたってわかってる。
俺は早くこの世界について知りたいのだ。
「うん、わかった。これからは勝手に本読んでいいの?」
「本当にわかってるのか?まあいい。本は勝手に読んでいいがまずこの本を読んでくれないか?」
そういって父さんは一冊の本を俺に渡した。
「えっと、これは何?」
「これは奴隷商の家業の先代が残した日記のコピーだ。これが先代から9代目の俺の分まで一人二冊ずつあるから一代目のから順に読んでいってくれ。」
コピー技術があるのが驚きだがそれ以上にこの奴隷商が9代も続いてる家業だとは驚きだ。
まあ日記を読むのは少し面倒くさい気もするが、
わざわざ読ませるということは俺がこの奴隷商を継ぐということだろう。
前世では知識がなくて父さんの仕事継げないかったからな。
日記読んどけば何かと働きやすいだろう。
それにあまり話さない家族からの頼みだ。
これくらいは快く受け付けよう。
「うん、わかった」