僕らが異世界転生できないのは大いなる陰謀のせいだ。
——国立異世界転生・転移観測所。
それは神による干渉や大型召喚魔術の効果、時空間のねじれなどにより日本各地で引き起こされる“異世界転生・転移現象”を観測し、その事前予防を実行する観測所のことである。
日本の少年・少女の異世界転生率は他国に比べ非常に高い。
日本列島がもつ霊力と少年・少女が抱く夢と妄想が異世界に作用しやすいのが原因とみられている。
日本政府はこの事態を重く捉え、日本の将来を担う少年・少女の保護を名目に国家予算を投入し、この観測所を設立した。
異世界転生・転移は様々なケースが確認できる。
我が観測所は様々な対策を講じ、未然に防いでいる。
まずはトラックによる異世界転生。
トラックに少年・少女がひかれた場合、その9割が異世界に転生してしまう。
日本政府は対策としてトラックに高い税をかけて対応した。
次にこの世界や異世界の神々である。
こういった神々はちょっとした手違いや気まぐれで少年・少女を異世界転生・転移させてしまう。
我が観測所はその対策として、観測所の地下50階にあるスーパーコンピュータ“ツクモ”の予測を利用する。
“ツクモ”の世界を計算できるほどの演算能力を使い、少年・少女が異世界に転生しないように誘導する。
また異世界の召喚士の存在も無視できない。
こちらの少年・少女を召喚できるほどの大型魔術を使える召喚士は強敵である。
我々は神代から続く“龍巫女”に協力を仰ぎ、召喚士に対抗する。
彼女たちは呪術を駆使し、大型召喚魔術を破壊する事にも長けている。
最後に時空間のねじれである。
これは“ツクモ”に搭載された“アカシックレコード”を利用する。
“アカシックレコード”を参照し今後100年間の正史を決定。
時空間のねじれを対処している。
こうした我々観測所の活躍により少年・少女の異世界転生・転移は未然に防がれている。
最後に余談になるが近頃盛んに報道されている”高齢者大量失踪事件”は、異世界転生・転移の影響とみられている。
その件についてのコメントは、国立異世界転生・転移観測所が”日本の将来を担う少年・少女の保護”が目的の組織ゆえ、差し控えさせて頂く。
読んで頂きありがとうございました。
以上が国立異世界転生・転移観測所の活動報告でした。
国立異世界転生・転移観測所に対する応援、激励のコメントお待ちしております。
もちろん、作品に対しての評価・感想・レビューは絶賛募集中でございます。
感想なんかないぜという読者さんはいつまで異世界転生・転移を信じていたか書いてくれると嬉しいです。
最後に作者は未だに異世界転生・転移を信じています。
少年の夢ですから。