靴とバック
「ねー、蓮、何食べよっかー!」
「…蕎麦。」
「お蕎麦かー。いいねー。」
「すみませーん。鴨せいろ二つ下さい!」
「鴨せいろでよかった?」
「…ああ。」
ここは、町のお蕎麦屋さんです。
私たちはショッピングデートに来ていたところです。
「なー…。」
「ん?なに?」
「お前の靴見ない?」
「靴?」
「ああ。」
「なんで?誕生日近いから?」
「あー、まあー、一年くらいたつなー。」
私、大杉美加は目下海外の大学進学を目指して
バイトをしながら語学の勉強にいそしんでいる最中です。
で、目の前のこの人、高杉蓮とは幼なじみで、彼氏というよりは、
あんまり近くにいすぎて、空気みたいな存在かな。
何か決め事があるときは、まず必ず蓮に相談することにしている。
蓮はぼーっとしているところもあるけど、案外的を得たことを言ってくれる
頼りになるアドバイザーなのです。そして、何より、いっしょにいると楽しいのだ!
「で、今度のTOEFLの結果どうだった?」
「うーん。あんまりよくない。まだまだ中の下。」
「それ、悪いってことじゃね?」
「…うん。…。」
「あ。鴨せいろきたよ。」
「おまえさー。蕎麦すすってる場合じゃねーだろーよ。」
「そーだけどさー。まあ、しょうがないじゃん。この次、この次!」
「…やっぱ靴だな…。」
「…?」
というわけで、私たちは靴屋さんへ行くことにした。
「これ、どお?」
「これは?これは?」
「きゃー!かわいー!」
「おまえ足何本あんだよ。」
「じゃあ、ちょっと早いけど、バースデープレゼントな。」
「え!!いいの!?」
「ああ、いいよ、靴は。」
私はとびっきりかわいい編み上げのヒールを選んだ。
「あー!これ夢だったんだよねー!」
「ならいいよ、それより勉強がんばれよ!」
「うん!ありがと!」
暗い話を書くのはあまり得意ではなく、
あんまり深く考えなくてもいいような
勢いで書く一回読みきりみたいな楽しい話を書くことを
目指しています。
女の子の夢と希望がぎゅっとつまっているのが理想です!