異妹×俺+転生の楽園=異世界デート2
2月24日 転生の楽園
「にぃさま!異世界でのデートはわくわくしますねっ!!」
「あ~…うん。」
俺は今、転生の楽園で愛嶺とデートしている、しかし、その俺のテンションといえば、こんな美少女との1対1のデートなのに、そんなに高くなかった。
おかしいな…こんなおいしいイベント、普通ならテンションMAXなのに…。
「あれ、テンション低いですよ?にぃさま。さながら女性用浴場を決死の覚悟で覗いたのに、そこにおばあちゃんしか居なかったときの中学生男子の様です。」
「俺そんなんなの…?てか、なんだそのツッコミ辛い例えは」
いやね?別に俺も愛嶺とのデートが嫌なわけじゃないよ?確かにちょ~っと変、というか痛い娘ではあるが。
基本的に見た目は美少女だし、しかも常に好感度MAXでデレデレしてくれる妹属性って考えれば、これはもう俺とは思えないほどの幸運であり幸福なわけで…
「いあ…俺も愛嶺とのデートは正直言って嬉しいんだけどな…?」
「だけど?なんですか、にぃさま。「やっぱり俺は姉萌えだからな」ですか?殺がしますよ?」
なんだか物凄く物騒な単語が出たような気がするけどあえて否定はしないで置こう…
「いやぁ…その…俺、めっちゃ浮いてません?なんか周りからの視線が痛いというか…」
そう、俺は今、転生の楽園にて絶賛浮きまくり中だった。
「…それはにぃ様の服装の所為だと思います。」
「いや、これ私服だぞ?!割と一般的でダサくもない…と思うし!」
「ふっ、だからにぃさまはいつまで経ってもにぃさまなんですよ…」
「え、何?なんで俺今、意味ありげに罵倒されたの?!ただ単に服が私服なだけなのに!」
「いえ、ですから。こんなファンタジー感丸出しというか、バリバリの異世界混合したような場所で、言ってしまえばある意味むしろ、「異世界の異世界」から来たような普通さは、逆に浮いちゃいますよ。私みたいにコスプレしていれば別ですが。」
「そういうものか…?」
「そういうものですよ、にぃさま。よくあるじゃないですか、異世界漂流モノの主人公が、「お前見ない面だな」とか、「お前見慣れない格好だな」とか言われているの、アレな感じです。」
な、なるほど…そういうモノなのかもしれない…?
ならばこれが異世界漂流モノの主人公の気分なんだろうか、なるほど帰りたくなる気持ちもわかるかもしれない。
自分の知らない土地、知らない人々、習慣、生活。
こんな中でもし見知った存在がただ一人、自分だけなら、それはお家帰りたいになるわ。
「しかしこれは、半端じゃ無いアウェイ感だな…俺はどっかの戦闘民族の王子じゃないから味方一人連れてアウェイの地に現れたところでドヤ顔という訳にも行かないぜ…」
「大丈夫ですよ、にぃさま。にぃさまにはいつでも私が付いてますから…えへ…えへへぇ…♪」
「そ、そうだな。(なんか逆に怖い気が…しないでもないけど…。)」
「ん…?じゃあにぃさま。今度はあのお店に行って見ましょう!」
あのお店?俺は愛嶺が言うと同時に指差した方向へ目を向ける。
そこにあったのは
「異世界向け紳士服店(上級者編)…上級者編ってなんだよ…嫌な予感しか…てちょ、おま、愛嶺!」
俺が嫌な気配をビンビン感じていると、愛嶺は有無を言わさずといった感じで俺を引っ張っていく。
「まずはあそこでにぃさまの服を異世界スタイルにしてから私との異世界デート編、本編スタートです!」
「いや、待て、待ってください!上級者編って言葉に言い知れぬ不安感が…アッーーー!!」
こうして俺は、「異世界向け紳士服店(上級者編)」に引き込まれたのであった…。