蜜恋スパイラル
遂にやってしまった・・・。
乙女ゲー小説。
少しヤンデレ要素あり?
咲き乱れた桜が一陣の風と共にひらひらと舞い散る中、その女子生徒はその人と運命的な出会いを果たした。
見詰め合う2人はやがてどちらからともなく歩み寄り・・・。
「はっ、とんだ茶番ね」
それを校舎の屋上から酷く冷たい瞳で見下ろす女子生徒がいた。そんな彼女の背中により掛る様に同じく校庭を見下ろした大人の階段を昇りはじめた少年は、クスクスと猫のように喉の奥で嗤った。
「相変わらず椿先輩は冷たいねぇ~。今回の子は割と純情そうだけど?」
「なら、椛君、アナタあの子と真剣なオツキアイでもしたら?」
「ジョーダンでしょ?ボク、ああいう子、虫唾が走るくらい嫌いなのに」
にこにことしながら酷い事をまるで何事もない様に話す少年は、この『意図的に創られた世界』においても、かなり外れた存在で、何度も私と一緒に主人公の女の子や、傍観者と言いながら何人もの男子生徒の心を鷲掴んだ子達の恋を潰してきた。
それは何故かって?
だっておかしいじゃないの。
たった一人の女の子相手に、何人もの未来ある男子生徒が振り回されるだなんて。そんな事をまかり間違ってもされちゃったら、ここで真面目に生きてる私達がバカを見る羽目になっちゃうじゃないのよ。
ならそうならない為にはどうしたら良い?
答えは簡単。
真剣に恋愛し、ここで生きていく気や覚悟が無いのなら、徹底的に排除し、永遠に抜けられないループでのモブキャラになってしまえばいいのよ。
歪んでる?
冷たい?
極悪非道?
それがどうしたって言うの?
真面目に恋して生きていない奴になんて慈悲は必要ないの。
「さぁ、アナタはどちらなのかしら?――12人目の桜羽 美雨さん・・・?」
そんな私に子猫のように甘える様に抱きついていた少年は、咥えていた棒付き飴を口から取り出し、もう一度校庭を見下ろし、そのとき偶然かちあった視線の相手にひらひらと手を振り、作戦決行を合図した。
全てはボクラの女王様の望む平穏な生活の為に。
「まぁ、せめて半年は楽しませてよね、妃 椿先輩の為にさ・・・。ボク達は創られたプログラムなんかじゃないって事、思い知らせてあげる」
――蜜愛スパイラル
それはボク達が狂愛する椿先輩が生きていた前世で流行した乙女ゲーム。
椿先輩はそのゲームをやっとの思いで手に入れた直後、それをやっかんだ同級生達に突き落されて、命を落して、ボク達の世界に転生してきた。
だけどそれは切っ掛けだけでしかない。
椿先輩は自分では気づいては無いだろうけれど、ボク達の中でも最も愛情に飢えている。
だからボクラは・・・。
「ゲーム、スタート」
これはやり直しが効かない、まさに今後の人生と恋を掛けた一発勝負の駆け引き。
ボクラが勝つかヒロインが勝つかは神様さえ知らない・・・。




