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陽菜の一日  作者: KI☆RARA
4/13

12月5日 月曜日


 月曜日の朝、陽菜は目が覚めた途端、ストンと胸に落ちてきた思いがあった。

(あぁ、彼は、時々泊りに来る“男友達”なんだ)

 今日は、最後に会ってから4日目。昨日までは、相手が自分のことをどう思っているのだろうかと散々考えたというのに、何だかそれで納得してしまった。

 自分を大切にしてくれない男に期待しても仕方がない、早く切らなければ、と悶々としていたのが嘘のようだ。

 彼は陽菜と友達で、気易い関係。だから時々泊りに来る。そして泊りに来れば、お互いに彼氏彼女がいない状態なら、お互いが気持ちいいと思うことをしても何も変ではない。

 そういう関係を、セフレ、と呼ぶのかもしれない。

(でも、その名前は嫌だな)

 たとえ同じことをしていたとしても、その言葉は使いたくない。それだけの関係だとは思いたくない。世間一般の人が、そうした関係にある以上に、自分たちには通じるものがあるはずだ。

 そう、だから、あくまで友達。

(ねぇ、期待しないから)

 自分自身に問いかける。

(期待しないから、側にいてもいいかな)

 傷つけられている自覚はある。身体を重ねても好きと言ってくれないし、どこかへ連れて行ってもくれない。考え方も何もかもが違っていて、会っている時は良くても、一人になれば、自分は何なんだろうと考えてしまう。そして、それでも会いたいと思ってしまうのだ。

(だたの友達だと思っていれば、彼と会っても普通にしていられそうだわ)

 逆に、そうでなければ彼の不誠実さを責めてしまいそうだ。メールが欲しいのに、私に連絡をしたいと思って欲しいのに、なぜ―――と。

 初めから期待していなければ、傷つくこともない。

 期待しないようするには、どうしたらいいのだろうか。

 メールの着信履歴の彼の名前は、もうかなり下に行ってしまった。自分と連絡しなくても相手が平気なのだということが、陽菜は悲しかった。

 今、陽菜が彼のことを考えているこの時に、彼も同じように陽菜のこと思い出してくれることを願った。

(向こうから来ないなら、こっちから連絡するしかない。でも……)

 追えば逃げる。しかし、追わなければ消えてしまう。

(恋愛はパワーゲーム、ね)

『ゲームに勝ったものだけが、その恋をゲームするか、本物にするか、選ぶ権利を与えられる』(byジェイク)

 昨夜読んだマンガのセリフは、まさに今の自分に対する教訓のようだ。



 合コン相手との食事は、お昼。「予定が合えば」ということを前提とし、それぞれの職場の同僚を伴っての、軽いノリのものだった。

 結局、一緒にいた時間は正味30分。

 新しい話題はないまま「あの飲み会楽しかったね、また飲みに行こうね」という話に始終した。

 夕方にメールが来て、夜に返信をして、次のメールで早々に「おやすみ」という文字が打ち込まれていたことから、そのメールに返すことはしなかった。



 ぽつん、と一人の部屋で、何もかもが自分の横を通り過ぎていくような思いにとらわれていた。



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