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陽菜の一日  作者: KI☆RARA
10/13

その後



 日曜日、陽菜は一日の予定をキャンセルして、部屋にいた。昨日のエステティシャンの言葉が頭から離れない。

(たまには自分の身体をメンテナンスしてあげないと、か)

 そう言えばこの部屋も、ずいぶん季節外れになってきている。寒い寒いと思っていながら、なぜ今までエアコン以外の暖房器具を用意していなかったのか。

 改めて最近の自分のことを見返してみると、色々なものを放っておいていることに気が付いた。そのことがまったく見えていなかった事実に愕然とする。

(遊びの予定はキャンセルしてるし、習いごともお金を払ったまま行ってないわ。それに、部屋も寒々しい)

 早速ネットでラグとホットカーペットを注文すると、心の中がすっきりした。


 貴宏と会う日は翌日に迫っている。しかし、陽菜は携帯電話を前に、思わずうなった。

(どうしてこんなことになってしまったのかしら)

 そこには、陽菜の部屋に泊まるという内容の貴宏からのメールが。

自然な流れで、いつの間にかそうなってしまったのだった。

(まぁ、いいか)

 貴宏とのことを切らなければという、土曜日に感じていた切迫感のようなものはなくなっていた。その分、心に余裕も生まれている。会うのはいい。泊るのもいい。でも、貴宏のことを考えすぎないようにしよう。

 今ならそれが出来る気がした。



 貴宏は仕事後に陽菜の部屋に泊った。

 キスを繰り返す合間に、貴宏がふっと笑う。

「陽菜は本当にキスが好きだね」

 うん、と陽菜も笑った。

「それとも、俺のことが好きなの?」

 聞かれて、どっちも、と素直に答えた。それに対する貴宏の答えはなかったが、気にはならなかった。別に貴宏に何かがして欲しいわけではなかったからだ。貴宏でなければ、という追いつめられた気持ちはすでになくなっている。



 貴宏の荷物がなくなり、再び陽菜の空間が戻ってきた。部屋を模様替えして、髪を切って、気持ちを新たにした。陽菜にとって髪を切ることは、儀式に近い。何かに囚われているうちは、髪を切ることができない。髪型を変えて新しい自分にチャレンジ出来ているということは、もうすっかり自分を取り戻しているということだ。



 そして、新しい出会いも忘れない。

 週末には、2週間前に知り合った合コン相手と鍋パーティーをした。友人も誘い、4人だ。狭い部屋で隣に座ると、男性の身体を意識する。やらしくない程度に、指や髪に少し触れられるのも、くすぐったい気持ちになる。

(あ、なんかこういうのいいかも)

 その2人のうちかどうかは別として、今度はきっと楽しい恋が出来る気がした。



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