視線
帰り道に必ず通る公園。いつからだろうか僕はその公園から視線を感じるようになった。その公園を通るたびに視線を感じ僕は必ず公園を見渡す。だけどそこにはなにもない、誰もいない、ただそこには風に揺れるブランコや錆びた遊具があるだけだった。その公園は昔から知っている公園でなんの変哲もない、ごく普通の公園だった。だがその公園は僕にとって思い出の場所だ。初恋の人に告白した公園だった。あの頃の僕は、余裕もなく、彼女に不器用ながらも告白をした。彼女は黙ったまま首を縦に振った。その時の僕は高校時代のピークに達したような気分だった。そこから、僕の人生の歯車が壊れたように早く回り始めた。初めてのデート、初めて手を繋いだ帰り道、初めてのキス、すべての初めてを君と過ごした。いろいろなことを君と過ごし、僕にとってはそのひとつ、ひとつが、すべて幸せに包まれていた。そんな日にも終わりが来る。終わりというものは以外にもあっさりとくるものだと今更ながらに思う。別れは僕から切り出した。後悔するのにそう時間はかからなかった。君が新しい人の隣りに立つのは誰が見ても早いと思うだろう。僕は君が新しい人に見せる笑顔、一緒に歩く姿、それを見るたび言葉に表しきれないほどの感情に包まれた。自分から別れを告げたのに、彼女の新しい人生に素直に喜べない自分がいた。僕は自分勝手だとその時思った。そこからだった僕はいろいろなことを考えるようになった。あの時こうすれば、こう言ってれば。そんな妄想を日々考えてはひとり落ち込む日々だった。公園から視線が感じられるようになったのはそんな日をすごしていた日のことだった。公園にはあの時と変わらない風景がただそこにある。そこを通るたびに僕はあの時彼女としたことを昨日のように思い出す。そしてまた僕は何もなかったように帰路に戻る。思い出の影の僕が公園から帰路に戻り、歩き出す僕を見ている




