表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/152

第96話 「揺らぎ」

同じ動き。


 同じ場所。


 同じ手順。


 それなのに。


「……四歩目」


 悠真が言う。


 石を置く。


 また一歩。


 前へ。


 だが。


 手応えが違う。


「……重いな」


 蓮斗が言う。


 地面を見る。


 侵食体。


 広がる速度。


 昨日より。


 確実に速い。


「……ズレてるどころじゃないな」


 白峰 蓮が言う。


 冷静に。


「反応が強くなっている」


 ただの調整じゃない。


 “対抗”。


 その時。


「ぴー……」


 ぴーちゃんが小さく鳴く。


「ちょっときつい……」


 回復。


 まだ届く。


 だが。


 余裕が減っている。


「……下がるか?」


 蓮斗が言う。


 少しだけ慎重になる。


 だが。


 悠真は首を横に振る。


「……もう一歩」


 短く言う。


 ここで止まるか。


 進むか。


 その判断。


 重い。


 その時。


 屍影が現れる。


 数。


 増えている。


 明らかに。


「……多くねぇか?」


 蓮斗が言う。


 昨日より。


 倍近い。


「……来るぞ」


 白峰 蓮が言う。


 その瞬間。


 疾影。


 一斉に動く。


「っ!」


 速い。


 明らかに。


 昨日より。


 速い。


「ぴー!右!後ろ!」


 ぴーちゃんが叫ぶ。


 回避。


 ギリギリ。


 だが。


 連続で来る。


「……おいおい!」


 蓮斗が叫ぶ。


「数おかしいだろ!」


 その時。


 地面。


 侵食体が広がる。


 早い。


 明らかに。


「囲まれるぞ!」


 白峰 蓮が言う。


 悠真が判断する。


 一瞬で。


「……戻る!」


 即断。


 全員が動く。


 境界へ。


 だが。


 侵食体が迫る。


 足元を削る。


「ぴー!」


 ぴーちゃんが光を放つ。


 回復。


 強め。


 ギリギリ。


 持つ。


 そのまま。


 後退。


 境界手前。


 止まる。


 その瞬間。


 全てが止まる。


 屍影。


 疾影。


 侵食体。


 それ以上来ない。


「……はぁ……」


 蓮斗が息を吐く。


「マジで危なかったな」


 白峰 蓮が言う。


「完全に対応されている」


 悠真は黙っている。


 前を見る。


 奥。


 重殻。


 あの大きいやつ。


 昨日より。


 さらに前。


 境界ギリギリ。


 そこにいる。


「……押してきてるな」


 小さく言う。


 確信。


 これは。


 押し返されている。


 その時。


「……これ、怖いね」


 美月の声。


 拠点側から。


 少し離れた位置。


 様子を見ている。


「同じことしてるのに」


「どんどん変わってく」


 その言葉。


 核心。


 ルールが固定じゃない。


 “揺れている”。


 その理解。


 重い。


「……揺らぎか」


 白峰 蓮が言う。


「こちらの行動に対して」


「リアルタイムで変化している」


 つまり。


 安定しない。


 同じ手は通用しない。


「……めんどくせぇな」


 蓮斗が言う。


 だが。


 笑えない。


 その時。


 ぴーちゃんが小さく言う。


「……でも」


「まだ負けてない」


 その一言。


 全員が少しだけ前を見る。


 確かに。


 押されている。


 だが。


 まだ。


 崩れていない。


 まだ。


 守れている。


 その事実。


 小さい。


 だが。


 大きい。


 悠真が静かに言う。


「……やり方変える」


 その一言。


 空気が変わる。


 積みだけじゃ足りない。


 次の段階。


 その必要性。


 全員が理解する。


 この戦い。


 ただの繰り返しじゃない。


 変化する戦い。


 だから。


 こちらも変わる。


 揺らぎは、崩壊の始まりじゃない。


 それは。


 進化の前兆だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ