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第60話 「階層」

 同じだった。


 ダンジョン。


 構造も。


 安全であることも。


 でも。


 中身は、違った。


「次の班、移動!」


 怒号が飛ぶ。


 整列。


 人が並ぶ。


 無理やり。


 押し込まれるように。


「……早くしろ」


 兵士が言う。


 その声に。


 誰も逆らわない。


 逆らえない。


 ここは。


 政府管理ダンジョン。


 そして。


 三つに分かれていた。


 上級。


 中級。


 下級。


「……ここが中級か」


 一人が呟く。


 周りを見る。


 人は多い。


 でも。


 余裕はない。


「上級は別だ」


 誰かが言う。


「食料も」


「水も」


「全部優先されてる」


 その言葉。


 誰も否定しない。


 事実だから。


 そして。


 上を見る。


 階段の先。


 扉。


 閉ざされている。


 その向こう。


 上級。


 選ばれた人間だけがいる場所。


 その一方で。


「……おい」


 声。


 下を見る。


 さらに下。


 暗い。


 狭い。


 人が詰め込まれている。


「……下級か」


 誰かが言う。


 その時。


「おい、動け」


 中級の男が言う。


 下級の人間に向かって。


「水運べ」


「早くしろ」


 命令。


 当然のように。


「……はい」


 小さく答える。


 下級の人間。


 疲れている。


 でも。


 動く。


 逆らえない。


「……遅ぇんだよ」


 蹴る。


 倒れる。


 でも。


 誰も止めない。


 見ているだけ。


「……やめろよ」


 小さな声。


 でも。


「……なんだ?」


 睨まれる。


 黙る。


 それ以上言えない。


 ここでは。


 力が全て。


 上にいるやつが正しい。


 下は。


 従うだけ。


 その構造が。


 すでに出来上がっていた。


 そして。


 上級。


 別空間。


 広い。


 明るい。


 人も少ない。


「……快適だな」


 一人が言う。


 テーブル。


 食料。


 水。


 十分にある。


「当然だ」


 別の男が言う。


「我々は必要な人間だ」


 その言葉。


 疑いはない。


「下のやつらはどうなってる」


「使ってる」


 短い返答。


「役割分担だ」


 笑う。


 誰も疑わない。


 それが正しいと。


 思っているから。


 同じダンジョン。


 同じ安全地帯。


 でも。


 中は、全く違う。


 優しさで回る場所と。


 階級で回る場所。


 その差は。


 すでに。


 大きく広がっていた。


 同じ世界でも、生き方は違う。


 そして。


 その違いが、未来を分ける。


 それが。


 静かに始まっていた。



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