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第6話 「見えない最適解」

 連携が形になったのは、間違いなかった。


 でも。


「……安定してきたな」


 蓮斗が軽く肩を回す。


「無駄が減っている」


 白峰が淡々と補足する。


「……最初からやれ」


 祖父が短く言う。


「無理だっての」


 軽口。


 でも、空気は前より軽い。


 ――なのに。


「……いや」


 違和感があった。


「どうした」


 祖父の視線が向く。


「……分かんないけど、まだズレてる」


「ズレ?」


 白峰が反応する。


「もっと……こう、無駄なくいける気がする」


 言葉にするのが難しい。


 でも、確かにある。


 “もう一段上”の動き。


「根拠は?」


「……ない」


「なら却下だ」


 即答だった。


 でも。


「……試す価値はある」


 祖父が、静かに言った。


「……いいのかよ」


「死ななきゃいい」


 それだけだった。


 その時。


 奥から、気配。


「来るぞ」


 黒い影。


 さっきと同じタイプ。


 ただし、数が多い。


「三……いや四体」


 白峰が即座に数える。


「どうする?」


 一瞬だけ、迷う。


 でも。


「……任せろ」


 自然に言葉が出た。


「は?」


 蓮斗が振り返る。


「お前が?」


「いいから動け」


 自分でも、理由は分からない。


 でも。


 “見える”


 動きが。


 流れが。


 全部じゃない。


 でも。


 最適な形が、なんとなく分かる。


「蓮斗、左二体引け」


「お、おう!」


「白峰、後ろの一体見ろ」


「了解」


「玲奈は右から一体削れ」


「……分かった」


 全員が動く。


 ズレていたはずの連携が。


 一瞬で噛み合った。


 蓮斗が二体を引きつける。


 白峰が後方を処理する。


 玲奈が一体を削る。


 無駄がない。


 そして。


「今だ、中央」


 自分でも驚くくらい、自然に言葉が出る。


 蓮斗が、中央に押し込む。


 玲奈が踏み込む。


 同時に。


 黒い影が崩れる。


「……早い」


 白峰が小さく呟く。


 まだ終わらない。


「次、右」


 動きが繋がる。


 考えてない。


 でも、分かる。


 どこに動けばいいか。


 誰が何をすればいいか。


 最後の一体。


「蓮斗、止めろ」


「おう!」


 足を止める。


「玲奈、そこ」


「……ん」


 刃が入る。


 終わり。


 静寂。


「……なんだ今の」


 蓮斗が呆然とする。


「明らかに効率が上がっている」


 白峰が冷静に分析する。


 祖父が、こちらを見る。


「……意図的か」


「……分からない」


 正直に答える。


「でも、なんか……分かるんだ」


 言葉にするのが難しい。


「動きが、見えるっていうか……」


「最適行動補正か」


 白峰が言う。


「……それだ」


 多分。


 ぴーちゃんが、小さく揺れる。


「……すごい」


「いや、まだ安定してない」


 正直に言う。


 さっきのは、偶然に近い。


 再現できるかは分からない。


 祖父が、短く言う。


「使えるようにしろ」


「……ああ」


 それしかない。


 この感覚。


 これがあれば。


 もっと、戦える。


 もっと、生き残れる。


 でも。


 同時に。


 小さな違和感が、残っていた。


 “見えているはずなのに、全部じゃない”


 何かが足りない。


 その“何か”が分かった時。


 きっと。


 この力は、完成する。



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