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第25話 「強さの歪み」

進む。


 足は止まらない。


 でも。


 思考は、止まらなかった。


 遅れている。


 追いつけていない。


 役に立っていない。


「……」


 分かっている。


 でも。


 止まらない。


 玲奈は、一人で見えていた。


 あの敵に。


 俺は、見えなかった。


 なら。


「……見えるようになればいい」


 ぽつりと、出る。


 その時。


 手の中の“因子”。


 まだ、使っていない。


 でも。


 これを使えば。


 速くなるかもしれない。


 見えるかもしれない。


「……」


 指に、少しだけ力が入る。


 使うか。


 今なら。


 変われるかもしれない。


 その時。


「……やめろ」


 祖父の声。


 いつの間にか、見られていた。


「……何をだ」


「分かってるだろ」


 短い。


 でも。


 刺さる。


「……別に」


「使うだけだ」


「強くなるために」


 白峰が、静かに言う。


「合理的ではある」


「だが」


「リスクが不明だ」


 蓮斗が笑う。


「でもよ」


「それで強くなるならアリじゃねぇか?」


 その言葉。


 正しい。


 強くなる。


 それが全てなら。


 迷う理由はない。


 でも。


「……違う」


 玲奈が、ぽつりと言う。


「……それ」


「危ない」


 短い。


 でも。


 はっきりしていた。


「……なんで分かる」


「……分からない」


「でも」


「……嫌」


 ぴーちゃんが、強く揺れる。


「……だめ」


 その二人の反応。


 同じだった。


 理由は分からない。


 でも。


 拒絶している。


「……」


 手を見る。


 因子。


 力。


 欲しい。


 でも。


 違う。


「……これ」


「使ったら」


「どうなる?」


 誰も、答えられない。


 白峰が言う。


「不明だ」


「だから危険だ」


 祖父が言う。


「分からないものは使うな」


「必要になるまでな」


 その言葉で。


 少しだけ、冷える。


 焦りが。


 落ちる。


「……今じゃない」


 小さく呟く。


 因子を、握りしめる。


 でも。


 使わない。


 今は。


 まだ。


「……いい」


 祖父が頷く。


 ぴーちゃんが、少しだけ落ち着く。


「……よかった」


 玲奈も、何も言わない。


 でも。


 分かる。


 間違っていない。


 選択だった。


 焦りに流されない。


 それが。


 今の強さだった。


 俺は、前を見る。


 まだ足りない。


 でも。


 それでいい。


 積み上げる。


 一つずつ。


 確実に。


 歪まないように。


 強くなる。


 それが。


 俺のやり方だ。


 強さは、簡単に手に入らない。


 だから、価値がある。


 焦らず。


 進む。


 その先へ。



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