第16話 「重なる動き」
戦い方は、変わってきていた。
役割。
優先順位。
無駄の削減。
全部が繋がり始めている。
でも。
「……まだ遅いな」
祖父の一言。
静かに刺さる。
「……いや、だいぶ良くなってるだろ」
蓮斗が苦笑する。
「良くなっているのは事実だ」
白峰が頷く。
「だが」
「まだ、余裕がない」
その通りだった。
少しでもズレれば。
すぐ崩れる。
安定はしている。
でも。
余裕がない。
「……どうする」
自然に聞く。
祖父は、少しだけ間を置いて言った。
「合わせろ」
「……もうやってる」
「足りない」
短い。
でも。
分かる。
「……もっと、重ねる」
白峰が呟く。
「動きを、か」
「そうだ」
その時。
気配。
複数。
「……来るぞ」
現れたのは。
疾影。
影獣。
混成。
「……また面倒な構成だな」
「速度と数の組み合わせ」
白峰が言う。
「対応が遅れれば崩れる」
「なら、遅れなきゃいい」
蓮斗が笑う。
「……行くぞ」
動く。
いつも通り。
でも。
意識を変える。
合わせるんじゃない。
重ねる。
蓮斗が踏み込む。
「こっちだ!」
敵を引く。
同時に。
玲奈が動く。
「……削る」
タイミングが重なる。
ほぼ同時。
影獣が揺れる。
疾影が来る。
速い。
でも。
「……そこ」
俺の声と。
玲奈の動きが重なる。
同時に回避。
同時に反撃。
当たる。
「……今の」
蓮斗が笑う。
「いい感じじゃねぇか!」
白峰が言う。
「ズレが減っている」
「個別ではなく、同時処理になっている」
理解する。
今までは。
順番だった。
前→横→後ろ。
でも。
今は違う。
同時に動いている。
だから。
速い。
ズレない。
「……続けるぞ」
疾影が来る。
見えない。
でも。
感じる。
重なる。
避ける。
切る。
止める。
全部が。
同時。
影が崩れる。
一体。
二体。
最後。
「今だ!」
全員が動く。
完全に重なる。
終わり。
静寂。
「……はぁ……」
蓮斗が息を吐く。
「今の、速かったな」
「連携ではないな」
白峰が言う。
「同期に近い」
祖父が頷く。
「一段上だ」
ぴーちゃんが、ふわっと揺れる。
「……すごい」
ノワールが、ゆっくりと歩く。
戦闘の跡を見ている。
何も言わない。
でも。
分かる。
今、少しだけ。
強くなった。
ただの連携じゃない。
重なる動き。
それが。
次の段階だった。
でも。
まだ。
足りない。
もっと。
速く。
もっと。
正確に。
その先へ。
進む。
止まらずに。
生き残るために。
重ねる。




