表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第一話「正反対の私と彼」

屋上は好き。

良い風にあたれる。

放課後の夕焼け空のした、私は屋上の端に足をかける。




谷原紗江たにはらさえ

そう名づけられ、

この世界で生きて16年。


私は初めて死のうと思った。


この世界にいて

なんの意味があるのだろうかと日々思ってたけれど

私、もう駄目みたいだ。


足を一歩前にだそうとした、その時


「紗江~!!ここにいたの??こんな所で何してるのさぁ~」


振り返ると、友達の真田優紀さなだゆうきがいた。

満面の笑顔で私の元へくる。

「屋上なんかでなにしてるのっ??」

「えっと…空、みてただけだよ」

不思議そうな顔をして、優紀は近づいてくる。

「最近、紗江おかしいよ?…もしかしてさぁ…」

優紀は言葉を濁した。

うーん。そんなに気を遣わなくても。

「優紀、心配しないで。死のうとなんかしてないから」

…作り笑いをしてそっぽを向いた。

「そう…あ、ねぇ。一樹君が呼んでたよ?忘れてたっ!」

てへっ忘れてたっていう顔して照れ顔する優紀。

「わかった。一樹はどこにいるの?」

「えっと…教室で待ってるって!」

「じゃあ行ってくるね」

「はぁいー!」

あああ。疲れる。

人間て、どうして喋るの?

どうして動くの?どうして…いらない感情を持ち合わすの?

そう思いつつも私は自分の教室『1-A』へ向かった。

階段をおりてすぐ、4階に1年生の教室が並んでいる。

その廊下の奥にあるA組の教室へ足を向けた。

それと同時に目の前をサッカー部の生徒が行列で走っていった。


A組について、入ったら私の机に座ってる男子がいた。

そいつは、長野一樹ながのかずき

「あ、ちゃんと真田の伝言届いたんだね」

ちょっとそっけない言い方でいってくる。

「あいつはちょっとドジだからさ、届くか心配だったんだ」

軽く笑って、…しらけた。

「で、用は何?」

と、突き刺してみる。

心に刺さったかな。あ、そっちの意味じゃないよ?え?

「あぁ、えっと。…今日言おうか迷ってたんだけどさ」

「うん」


「俺、お前好きなんだよね」


赤くなった一樹の顔は真剣だった。


えっと、長野一樹の紹介がまだだった。

一樹は軽くちゃらけてて、クラスではムードメーカーってやつ。

いつも明るい笑顔振りまいてるけど私としては邪魔くさいにすぎない。


「ふーん。で?」

「付き合お!」

即いわれた。

さっきまで自殺しようとした人になんてこといってんの。

「ごめん。私今日死ぬから。じゃあね」

とか、宣言してみた。…でも今日じゃなくて明日かも。

「はははっ。そんな冗談つうじねぇよ??」

馬鹿にされた…。冗談と本音の見分けもつかないやつに。

「私は、生きててつまらないの」

生きててつまるものなんて生きてて一度も得なかった。

あ、一回したか。…でもアレは違う。

「じゃあ俺が楽しくしてあげっからさぁ」

「断る」

「大丈夫!死なないでって!」

「うっさい」

捕まれた手を振りほどくと抱きしめられた。

「いーから。さ。ね?」

「無理っていってんじゃん」

「いやぁ…こんなこといってる紗江だからさぁ。重大事項告白しちゃうけどさ。」


耳元で聞こえる声は震えてる。


間を置いて、一樹は言った。



「俺、余命宣告されてんだ」






場の空気が静まった。


最初から静かだったかもしれないけど、




私の中の時がとまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ