鏡ノ先のあなたへ
確認しましたが、誤字脱字や濁点の抜けている部分があるかもしれません。温かい目で見守っていただけると幸いです
2080年、秋田県、黎命市
1人の女性が…自分の運命に向き合おうとしていた、その選択は…険しく苦しく決して平ではない道のりだと分かっていても、彼女は進むと決めた…
ある日少女は小屋から小さな光をみた
その光は自分を吸い込むように引き寄せ興味を惹きつけた
「梓翠花なにやってるの?いくよ!」
「は〜い」
母の呼び声に反応し少女はその場を後にした…それから幾年の月日は流れた
「おかあさん!!どうして見たらだめなの?!!!」
声を荒げてる女性がいる
彼女は嵯峨美梓翠花
高校2年生だ、もう少しで3年生、受験も始まる時期だ。
「ダメなものはダメなの!いいかげん聞きなさい!」
「もうしらない!」
梓翠花は拗ねて自室に行ってしまった
「もう!どうして見せてくれないわけ?!お母さんもお父さんも自分は見たくせにどうして私にだけ…」
梓翠花はこの気持ちの収集をつけることができなかった…梓翠花自身、10年間悩み続けてたことだからだ。
梓翠花の母はかたくなに話そうとしない、叔母が行方不明になった理由も、
自分自身にある能力についても、
梓翠花は自分だけ取り残されてる感覚にもなっていた…
「は〜、今日もネットで情報漁りか、やっぱりこの情報、家の体験とそっくりなんだよな〜」
梓翠花は追い求めていた、嵯峨美家の真実を、叔母の行方不明の理由も、母の能力の真実も…そして10年前、7歳の頃に小屋から見たあの光、梓翠花は嵯峨美家の真実に通ずるものが…そこにあると信じていた。そしていつも通り情報を漁っていた時、
「…………?!」
梓翠花は咄嗟に振り返った、何者かの気配を感じたからだ。
「え?なに?………ん?」
振り返ると、元のサイトから変わりパソコンのページは不可解な物になっていた…。
「ん?なに?鏡ノ世界の修復作業?なにこれ笑なんかのゲームですか〜?」
梓翠花は気にも止めていなかった。今日も沢山調べ疲れた梓翠花はお風呂に入って寝ることにした…梓翠花は1人風呂で悩みにふけていた、。
「…明日も学校か、もう…嫌だな、行っても楽しくない…人の目ばっか気にして、部活も最近、もうどうでもよくなってきてる…救いも亡くなった、出席も足りないだろうし…」
梓翠花は高校1年のトラウマのせいで2年生になってから、なかなか学校にいけていなかった…
「まぁいっか…今日はもうあがって寝よう…」
梓翠花の頬には何か小さなものが滴っていた…
その日の夜、梓翠花はなかなか寝付けずリビングに行こうとしていた…
「、?」
部屋から話し声が聞こえた。おかあさんとおとうさんだった。
「…そろそろ梓翠花にも話したほうがいいんじゃないか?千遥」
「まだ、だめよ…梓翠花はこれから大事な時期なんだから…嵯峨美家のせいで梓翠花の未来は潰せない…」
「でもこのままじゃ梓翠花は一生悩み続けることになるんだぞ!」
父が声を荒げていた
「ちょっと!、梓翠花が起きるでしょ」
「ごめん…」
「でもそうね…お姉ちゃんの事も話さないとかもね…あの倉庫のことも、」
梓翠花はハッとした。いままでの答えをここで聞けるかもしれないと感じたからだ。
「姉は、なんか変なバイトをしてから、少し様子が変わったようだったし、姉も当時みたことがなかった倉庫の中身も、その日初めて知ったらしいし…」
「僕もあの話を聞いたときは驚いたよ、たかが1つのバイトが架け橋になったんだから、…」
扉の裏で聞き耳を立てていた梓翠花は
【バイト】という言葉に違和感を覚えた。
「?…ん…〜、あ!あれだ!」
梓翠花は颯爽と部屋に戻った。
「これこれ!、よかったパソコン消してなくて。」
梓翠花のパソコンの画面にはまだバイトの募集ページがついていた、その夜、梓翠花はゆっくりバイトの募集ページをみることにした
「ん〜なになに、鏡ノ世界の修復作業?」
ページにはこう記載されていた
「鏡ノ世界の修復作業
日給40万円
日付・毎週火曜・夜0時00分」
続きにはこう記載されていた
「鏡には私が迎えにいきます」
梓翠花は少しハテナ状態だった…
「てか、なにこれ…日給40万って、しかも毎週でしょ1ッ月続ければ…200万?!ヤバすぎるでしょ……、でも、」
梓翠花はこのバイトを別目的で見ていた。
「さっきお母さんが話してたバイトっておそらく現実的な物じゃない、たぶんこういうのに巻き込まれたんだと思う。このバイトに応募すれば、私が追い求めている物に近づけるかもしれない」
梓翠花はなかば確信した様子で、応募ボタンをおした。
「今日は寝よ…明日も…学校、だし…」
その日梓翠花は眠りについた…
次の日になり、梓翠花は学校に向かった…いつも通りの風景、心を刺す人の目、自分自身を殺そうかと1日に何度も考える、救いだった手も無くなり学校ではこの上ない無力感で押しつぶされそうになっていた…
授業の内容もまともに理解できない…先生には、毎回怒られ…クラスの人には笑われ…それでも、梓翠花は生きていかなければならなかった…
「今日も頑張った…頑張った…」
もう誰も、梓翠花の心を見てくれない
梓翠花は自分自身を震える手で、なぐさめていた…
「今日は二中か…最近全然だめだな…」
弓道部での活動も中々上手くいかず、梓翠花は落ち込んでいた…
「あ、てか今日火曜日…バイトの日だ…よし、頑張ろう。自身の求める真実のために。」
帰ってから梓翠花は颯爽と準備を終わらせた…ご飯を食べ風呂に入り、あとは自分の部屋に行くだけだった。
階段を上がっていき自分の部屋に入った途端、妙なものを見た。…
「ん?なにこれ、?」
目の前には等身大の鏡があった。
しかもただの鏡じゃない、まるで宮殿にありそうな感じの豪華な物だった。
だか不可解な所もあった、綺麗ではあるが所々に「朱色の傷」がついていた
「そういえば、迎えに来るって言ってたな〜、まさか鏡が自分をつれていくなんてあるわけ……」
その時、鏡にうつってる自分自身が鏡の中から手を伸ばし、自分をひっぱった。
「うわぁぁあ!!!」
引っ張られた途端、梓翠花の視界は光に包まれ、意識を失った。
しばらくして梓翠花は目を覚ました
「ここ…どこ?」
目の前には美しい光景が広がっていた
どこか見覚えのある景色が半透明に反射し、まるでガラスのようだった
「綺麗…でも所々ヒビが入ってる…」
建物や空、空間の間、自身の胸にも、
ヒビからは朱い光が静かに溢れ出ていた…そして眼前の学校のような建物が気になった梓翠花は恐る恐る建物に入っていった…
「ここ…現実世界にはない…こっちの世界だけの建物もあるのかな?」
外に見える景色は現実世界と同じ所もあれば違う所もあった、そして進んだ先に光が強く差し込めている部屋があった……そこを見て梓翠花は息を呑む
「ん…?うそ、あれって!!」
梓翠花の目の前にはもう一人の自分が立っていた。
「え?!私?!」
梓翠花の声に反応し、もう一人の梓翠花は静かにこちらに歩いてきた…。少し距離をあけて立ち止まり、話し始めた
「こんにちは…いや、こんばんは、かな?はじめまして私は梓翠花です。」
困惑したが言葉を返す
「いや、それはわかるし、だって私?だもんね…なにがどうなってるの?」
もう一人の梓翠花がやさしい声で話し始める
「ここは鏡ノ世界、それと同時に…
あなたの精神世界です。」
「もしかして!?鏡に私を引っぱったのってあなた?!」
「はい。そうです。」
梓翠花はまだ頭が混乱していた。
「私は梓翠花、あなた自身です。
正確には、あなたの心…、と言うべきでしょうか。」
「私の、心?…」
それを聞いた瞬間、梓翠花の頭にはある問いが浮かんだ。
「なら、なんでそんなに綺麗なの?傷ひとつないんだね笑…」
もう一人の梓翠花は少々、苦笑気味に答えた。…
「綺麗なんかじゃないよ…、まだ見せれないだけ……、」
梓翠花はさらに問いを続けようとしたがもう一人の梓翠花が言葉を挟み、問いを遮った。
「さっき説明した通り私はあなた、あなた自身の心の擬人化だと思って。あと私のことはこう呼んで、鏡ノ梓翠花って。もう一人のあなたで鏡ノ世界にいるから鏡ノ梓翠花、覚えやすいでしょ!」
梓翠花はまだ整理がつかない中、しぶしぶそれを承諾した。
「じゃあそろそろ本題に入ろうか、」
梓翠花は身構えた、本来このために自分自身が来ていたからだ。
「わかった。私はこの世界でなにをするの?」
鏡ノ梓翠花がガラスを具現化し立体パネルを浮かせ説明をはじめる。
「ここは鏡ノ世界、それと同時に、あなたの精神世界です。所々にあるヒビはあなたの心の傷です」
梓翠花はそれに聞いた瞬間沢山の思いが溢れてきた…いままでの傷が目に見えた安堵と、悲しみだった…鏡ノ梓翠花が説明を続ける
「この世界は心のガラスで構成されています、過去、現在、未来と…何十層にもガラスが重なり、世界が形を成しています。
そして、この鏡ノ世界は一人一人必ず存在しています。こことは別に。
分かりやすい例えをするなら、こちら側の空間に何本もの柱がありその柱一本一本が人の鏡ノ世界、心の世界なのです。あなたには自分の世界含め他の人の鏡ノ世界の修復作業を行ってもらいます」
なかなかに難しい説明だと思った梓翠花だったが理解はしたようだ。だが1つ懸念点残り梓翠花は1つ質問をした
「修復作業をするのはいいんだけど、やり方分からないし、他の人の世界にどうやって行くの?ていうか行って大丈夫なの?」
鏡ノ梓翠花が淡々と答える
「さっき言った通り鏡ノ世界は何十層もの心のガラスで構成されています。
それが、1人1人必ず、全体構造でいうと何本もの柱が並んでいる状態です。
その柱の一部を破壊して他の人の世界に侵入します。」
梓翠花は度肝を抜かれた
「え?!破壊するの?大丈夫なの?それ??!」
「本来この世界は存在自体に気づくことなく、人はその生涯を終えます。ですがこの世界に鏡ノ梓翠花である私がいるように、その人の心である物が存在します。その人には気づかれてはいけません、気づかれずに修復作業を終え元の世界に帰るのです」
少々戸惑った梓翠花だったが、やる決意をした。
「わかった、じゃあ修復方法を教えて」
「修復方法は2つ、その人の鏡ノ世界の傷となった出来事を破壊、もしくは書き換えること。さっき言ったね、この世界は何十層もの心のガラスで構成されていると…。だからその人の心の汚点となっている層をどうにかして変える、もしくは壊すんだ。」
「わかった、じゃあ……いこう。」
鏡ノ梓翠花が梓翠花に黒い刀を渡した
「これは、…なに?」
鏡ノ梓翠花が答える
「これは刻別刀、人の心に存在する核…心台にこれを突き刺すことによって汚点である層を破壊できる。」
「変える方法はどうなの?どうやって変えるの?」
「変える、というより鎮める方法は、その層の傷世界に入り、傷ができる原因になった出来事を刻別刀で封印するんだ。」
「傷世界?…」
「今の梓翠花の胸みたいに、朱くひび割れてる場所から入るんだ」
「私のここも入れるの?…」
鏡ノ梓翠花は少し黙り込んだ後、何かを押し殺すかのように話し出した。
「入れるよ…でも、」
「でも…?」
「今話すことは出来ない…其の日が来たら話すよ」
「……わかった」
「じゃあ、…いこうか」
2人は自分達の世界から飛び出した
「バァリーーーン!!!」
ガラスが割れる轟音が響いた
鏡ノ梓翠花と梓翠花の2人は他の人の世界に入ることに成功した。
「うわ〜綺麗、でも、あそこ…あの朱い傷…ここは、誰の世界なの?」
「ここは…来蝶朱花の心の世界だ」
「来蝶…朱花?…誰それ?」
「まいったね、初めて故かわからないけど、世界と一緒に次元まで超えてしまったらしい。この人はあなたの世界にいた人物じゃない」
「そうなの?!」
「そうだよ…でも、あ〜そういう事ね…」
鏡ノ梓翠花のなにか分かったかのような発言に梓翠花は問いかけた。
「なにか、わかったの?」
「まだ説明はできない。でも、これだけは言える…この人はあなたに縁のある人物だ。この人を癒そう」
「わかった…じゃあ朱い傷を探そう」
梓翠花が走り出そうとした瞬間、
鏡ノ梓翠花が無理矢理、梓翠花を引っぱった。
「なに?!」
「静かに。……」
鏡ノ梓翠花が指差すほうには人が立っていた
「おそらく、来蝶朱花の心…私と同じ、つまり、鏡ノ朱花だよ。」
「あの人に見つかったらいけないんだっけ?…?」
「そうだよ…、よし、こっちに来て」
鏡ノ梓翠花は建物内に梓翠花を連れ入っていった。
「ごめんね、先に説明しておけばよかったよこのバイトの、この世界のルールを」
鏡ノ梓翠花はガラスの立体パネルを浮かし説明を始めた
そのパネルにはこう書かれていた
「鏡ノ世界の注意事項
・他の世界の心人に見つからないこと
・声が聞こえても振り返らないこと
・鏡ノ世界で死なないこと」
「まずさっき言った通り、他の人の心人に絶対に見つかってはいけない。
心人とは、私のようにその人自身の心に存在する、もう一人の自分だよ。」
「わかった、声が聞こえても振り返らないってのは?」
「鏡ノ世界には人それぞれ様々な理由で朱い傷ができている、人によってはその傷が深すぎるが故に、傷ができた理由の出来事が今だに心人に囁き、本人を苦しめるものがある、その囁き声は全ての存在に牙を剥く、梓翠花がその囁きを聞いて振り返ってしまうと、梓翠花はこの世界に飲み込まれてしまう…
だから振り返ってはいけないの。…囁き声以外も同様にね。…」
「結構深刻だね…」
「私も梓翠花に声をかける時は必ず梓翠花の目の前に行ってから話すからね」
「わかった」
「最後に死んではいけない理由、
鏡ノ世界で死んでしまうと、あなたは一生その世界の本体である人を蝕み続けることになるからなの…本来無いものが増えるというのは…、そういうことなの。…」
「わかった…そしたら封印しにいこう朱花さんの苦しみの根源を」
梓翠花は大きな朱い傷に向かい走っているさなか鏡ノ梓翠花につぶやく…。
「朱花さんは…なにで苦しんでたんだろうね…?。」
「わからない、所々にある小さな傷には傷世界がないからね…私達が把握できるのは目の前にある…大きな朱い傷ができた理由と、朱花がたしかに心に傷を負う出来事があったということだけだよ。…」
「そうだね…ならまずこの人を助けてあげよう。」
たどり着いた梓翠花と鏡ノ梓翠花は傷世界に入っていった…。
「ここ、現実世界にそっくりだね。」
「次元が別とはいえあなたの世界と同じ、3次元の世界の住人だったらしいね」
「!!ねぇあれ!」
梓翠花が指差す方向に、刃物を突き付けられた朱花がいた。
「早く助けよう!……?何やってるの?!早く助けなきゃ!」
鏡ノ梓翠花はその場を動こうとしなかった
「ここは、傷世界だ、朱花にあったことが記憶として繰り返されているだけなんだよ…あなたができることはその刀でこの出来事を封印することだけ…」
梓翠花は奥で刺され血を流す朱花を涙ながらに見ぬふりをした…
「さぁ、刻別刀を自分に刺してこれを唱えて、」
【眠りし心領ノ傷よ我が身をもってその闇を鎮めたまえ…】
「わかった…え?!自分にさすの?!」
「毎回刺すわけじゃない、この傷ができたのは、刺されることによる恐怖が原因だろう…封印するためには同じ事をするんだよ」
梓翠花の判断は早かった…
「眠りし心領ノ傷よ我が身をもってその闇を鎮めたまえ…」
そう言って、梓翠花は自身の腹に刻別刀を突き刺した。血が溢れ、梓翠花は膝をついた…苦しかった、だが不思議な事に、痛みはなかった…。
「なんか霧みたいなの迫ってくるよ、」
それに気づいた鏡ノ梓翠花は梓翠花をつれ傷世界を出た、鏡ノ世界に戻り淡々と話し出した。
「あの霧が出るということは封印に成功したってことだよ。あの傷世界が完全に霧に覆われた時、朱花はこの出来事を忘れこの傷は塞がるはず。」
梓翠花は安堵した。
「じゃあ、私達の鏡ノ世界に帰ろうか」
「そうだね…」
2人は朱花の鏡ノ世界に入ってきた時の場所から自分達の鏡ノ世界に戻っていった…。
「おーこの穴はちゃんと塞がるんだね」
向こうの世界と往復した時の穴がまるで時間が戻るかのようにゆっくりと塞がっていった。
「じゃ、そろそろあなたは現世にもどりなね、また来週の火曜に会おうね!はい、これ今回の給料」
「あ、そっか一応バイトなんだもんねうわ、すご、まじで40万あるじゃん。ありがとね!じゃ、また来週………
ってどうやって帰るのよ!?」
「あぁごめん、今帰すね。」
鏡ノ梓翠花が手をかざすと眩い光に包まれ、梓翠花は意識を失った。
「うう…ぅぅぐ…」
梓翠花が消えた直後、鏡ノ梓翠花は膝をつき、苦しみに呻いていた
「笑……いつまで、もってくれるかな、でも、まだ壊れるわけにはいかない私自身に真実を伝えるまで、は…」
鏡ノ梓翠花の腹には、【紅い傷】が刻まれていた…
「ハッッ!」
梓翠花が目を覚ますと自室の布団の上にいた。
「あれは、夢?……いや、違う」
目の前にあるパソコンにはバイト募集のページが昨日の夜のまま開きっぱなしにされていた。
手にもしっかり40万が握られていた。
「あれは、夢じゃない…たしかに身に起こったことだったんだ……!!」
「梓翠花!!遅刻するよ!!」
下の階からお母さんの声が聞こえてきた。
「わかった!急いで行くから!」
梓翠花はぶっきらぼうに返事をし準備をして学校にむかっていった…。
「うう…ぅぅうぅ」
梓翠花は学校で小さく唸り声をあげていたあんな出来事があったとはいえ、学校はいつも通り、苦しく、つらく、人から向けられる視線は、刃物のように鋭かった…そんな日々が1週間続きまた火曜日がやってきた…
「は〜…疲れた…って、今日そういえばバイトの日じゃん…今日は疲れたな〜………いや、だめだ!あの世界でもしかしたら私の目的がはたせるかもしれないんだ。…」
そう言い梓翠花は自分を奮い立たせ
前回同様準備を終えた。部屋に戻って鏡の前に立ち、梓翠花はその時を待った……
「ん〜……お!うわぁ!」
また鏡にうつるもう一人の自分が鏡ノ世界に自分を引っぱった。
「うう…ぅぅ」
目を覚ますと眼前には先週と同じ光景が広がっていた。心なしか、先週よりもヒビや朱い傷も増えている気もした
「こんばんは、1週間ぶりだね梓翠花」
「鏡ノ梓翠花…!ひさし…ぶり…どうしたの?それ…」
鏡ノ梓翠花には先週会ったときはなかったヒビ割れのような傷が右頬から右腕にかけて、できていた
「なんてことないよ…とは言えないね
それにこの傷の原因はあなた自身が一番よくわかってるんじゃない?」
梓翠花はハッとした
「そっか、たしかにそうだね…あなたは私の心なんだもんね…。」
「そういうこと…。」
梓翠花は悲しいような寂しいような、そんな感覚に襲われた…
「まぁそれはさておき今日も鏡ノ世界の修復作業を行なってもらうよ。」
「わかった…行こう」
そう言って2人は飛び込んだ
「パキーーン!」
2人は他の人の鏡ノ世界に入っていった。…
「なんかここの世界、薄暗いね。」
「うそ、でしょ…」
鏡ノ梓翠花が心底驚いたような顔をしていた。
「どうしたの?」
「梓翠花、この世界に長居してはいけないかもしれない、この人の鏡ノ世界は、心は、………崩壊寸前だよ…、」
「うそでしょ…誰なの、?この世界の本体の人は…」
梓翠花は焦り問いかける
「星…?なんだろう、かすれてて情報が入ってこないこんなの初めてだよ…
全部で漢字4文字…そして最初に星がつく…それ以外わからない…」
鏡ノ梓翠花は困った顔をしていた。
「とりあえず、早く心台を見つけて破壊しよう…」
「いや、だめだよ!」
梓翠花は鏡ノ梓翠花を止める
「なんで…?!はやくこの人の鏡ノ世界から出ないと私達まで崩壊することになるよ!…」
梓翠花は何かを感じ取ったかのような顔で言った…
「たとえそうだったとしても、私はこの人を助けたい。…だってこの世界が崩壊しそうってことは現実世界でこの人はそれだけ、苦しんだってことでしょ?それに、この人の苦しみの根源を封印すれば、崩壊を止められるかもしれないよ。」
鏡ノ梓翠花は困り顔をしたが笑顔でこたえた
「わかった、あなたがそう言うなら、そうしよう…この人を助けよう。」
決意を固めた2人は根源となる朱い傷を探すことにした…
「この人の世界、ボロボロだね。黒いガラスの世界って感じ…小さいけど朱い傷も沢山ある…」
「きっと、小さな苦しみが日々つのっていったんだろうね…」
「ねぇ、あれ」
一部分だけ空から光が差している場所があった
「なに…ここ?学校かな?」
「場所名は、名前同様ノイズが入っていて見えないけど…この人が通っていた小学校らしいよ…ここだけ光が刺しているということは、この人にとって、ここは今だに輝き続けている場所なのかもしれないね…」
「そうなんだね、じゃあ…この人の心にもまだ輝いてるところがあるんだね…じゃあ、先を急ごう…」
「うん。」
2人は薄暗い世界を進み、朱い傷にたどり着いた
「なんなの…?この朱い傷……、」
目の前には傷と呼ぶには程遠いほどの大きな忌裂があった…
「ここは現在、この鏡ノ世界の本人が現実で通っている高校らしい、おそらくここを根源に、この人の苦しみが生まれているんだね、…」
「なら行こう、この人を助けるために。」
進もうもした梓翠花を鏡ノ梓翠花が止める。
「最初に言っておくね、ここまで傷が大きいと確実に封印できる保証はないよ、心台の方に切り替える準備もしておいてね」
「わかった…。」
苦し紛れの返事をし、2人は傷世界に入っていった。
「ここ、どうなってるの?…夜の場所もあれば昼の場所もある…それに景色も度々違って見える…人がいる所もあれば、え、?それが出たり消えたりしてる所も……」
「おそらくここで起きたすべてのことがこの人にとっての傷になってるのでしょう。…」
「ねぇ…私、思うんだけどさ、この人の傷世界を封印する方法さ、刻別刀に祈りながら、あの呪文を唱えるんじゃない?」
鏡ノ梓翠花は少し笑みを浮かべていった
「おそらくその方法が一番可能性があると思う…でも、」
鏡ノ梓翠花はそれでも、不信感を抱いていた。
「とりあえず、やってみるよ、…
眠りし心領ノ傷よ我が身をもってその闇を鎮めたまえ」
唱えた瞬間、刻別刀が耳障りな音をあげはじめる…。
「ギイィィイ!!!!!!!!」
2人は耳を塞ぎ悶えた。(もだえた)
鏡ノ梓翠花が梓翠花を呼びかける
「刻別刀を持って!傷世界から出る!」
梓翠花は刻別刀をもち鏡ノ梓翠花へ手を伸ばした。次の瞬間2人は傷世界の出口へ飛び込んだ…外に出た2人は安堵のため息をついた…
「なんだたったの?…なにがおこったの?、…」
「封印できなかったんだよ、……」
「どうして……?」
「大き過ぎたんだ、あの人の苦しみが、あれはもう傷じゃないあの人の世界なんだ…傷世界ということにかわりはないけど…、あの傷には、喜怒哀楽の全て、いや、それよりももっと沢山の感情が埋めつけられてる、つまり、この朱い傷自体が…この人の心台なんだよ…」
「そうだったんだね。なら、どうすればいいの?」
「この人の鏡ノ世界の朱い傷は封印もできなければ破壊もできない、いつかこの人の心は完全に崩壊する…、
でも、ここまでの感情を心に抱えれる人なんだから、またいつか新しく鏡ノ世界が、心の世界が形成される、その日を待つしかないよ、」
梓翠花は泣きそうなのを堪え、鏡ノ梓翠花に言った
「わかった…そしたら帰ろう、私達の世界に………、」
「うん…」
2人は元の世界に帰ろうとしていたその時、
「2人とも…ありがとう」
後ろから男性の声が聞こえた、梓翠花は振り返ろうとした、
「振り返らないで!!!」
鏡ノ梓翠花の怒号で思い出した。鏡ノ世界のルール、声がしても振り返ってはいけない…後ろからはバリバリと雷のような音が鳴り響いていた…
「2人も、あいつらと、同じなんだね……」
後ろから聞こえる声を振り切り、あと少しで自分達の鏡ノ世界に戻れるというところで、この世のものとは思えない不気味な声が響いた
【心雷】(しんらい)
「ビキィィ!!!」
梓翠花のとなりから酷い音が唸りをあげている。
「ドサァァ……」
2人は無事に自分達の鏡ノ世界に帰ってこれた…だが、梓翠花はとなりをみて絶句した。…
「大丈夫!???…ねぇ!大丈夫?!?」
鏡ノ梓翠花が先程の攻撃をくらってしまったのだ。足から胸にかけて黒いヒビ割れが走っていた。
「大丈夫…だよ、、私はいくら…傷つこうと死なないあなたの命が終わらない限りね…うぅぅでも、体は持つか分からないけどね……笑」
「無理しないでいいよ…安静にしてて、私今週学校休むから…これ以上、私を…あなたを、傷つけたくない…」
「ありがとね…なら来週、話がある…
梓翠花、不思議に思ってるよね、
どうして自分の叔母やお母さんが隠してることがあるのかや、あの倉庫の事も。…」
梓翠花は度肝を抜かれた、本来その事を知れるかもしれないと思い、この世界に来たからだ。
「来週、…来てくれた時全て話すね…
あなたがどうして…こんな目にあってるのか、私に傷を負わせたあの人の事も…そして、…嵯峨美家の、真実も、」
「嵯峨美家の、真実?」
「それじゃあまた……ゴボッ、また来週……」
梓翠花の目の前が光に包まれ、目を覚ますと、自室のベットの上にいた
「辿り着いたのかな、私、ずっと追い求めてた、嵯峨美家の…真実に…」
「ガチャ、」
急に自室の扉が開いた、
「お母さん、、…?」
母はおだやかな表情で梓翠花に言った
「学校には休みの連絡をいれたよ…今日あなたに話さなきゃいけない事があるの、…リビングでまってるね…」
そう言うと母は下の階に降りていった
少し時間が経ち、梓翠花はリビングに向かった…
「お父さん、……」
「おはよう、梓翠花…お母さんから話があることは聞いてるね…千遥。」
「えぇ、そうだね、話しましょう」
2人はかなり真剣な顔つきをしていた
「梓翠花、気になっていたでしょ、あの倉庫のこと、」
「う、うん」
「あの倉庫はね、話の倉庫って言って、嵯峨美家の秘密が…あそこに全て収納されてるの、まだ中身は見せられないけど、来週の火曜日の4時44分、
あなたにも見せられる…それまで待っててね…」
「う、うん、わかった、でもなんで学校に休みの連絡いれたの…?あんなに大事な時期なんだからとか、言ってたじゃん…」
母は少し黙り込んでしまった。
「千遥、だめだよ、ちゃんと梓翠花に伝えないと…」
「…そうね…、」
母は顔を上げて梓翠花に話し始めた
「お母さんね、とある日から、零力に目覚めたの、お化けや幽霊が見えるとはまた別のね…お母さんの零力は、物事に対する【真理】を見通す力なの、
昨日の夜、夢のなかに梓翠花が出てきてたの、酷くボロボロだった、足から胸にかけて黒いヒビ割れが入っていたし、」
黒いひび割れ、という言葉に梓翠花は反応した。それは昨夜、鏡ノ梓翠花がつけられた傷だったからだ。
「黒いひび割れ?!」
「そうだよ…その梓翠花が言ったの、私を、あなたの娘を、助けてあげてって、そして、夢に出てきた梓翠花をお母さんの零力で、見たの。それで、全てを知ったの。」
「そうだったんだね」
「ごめんね、気づいてあげられなくて、あなたのことも、あなたの心のことも傷つけていたのに、それに気づけなくて…」
梓翠花は笑みを浮かべて母を抱きしめた。
「大丈夫だよ、気づいてくれてありがとね。お母さん。」
その日は家族全員で抱きしめあっていた。それから1週間がたち梓翠花はまた鏡の前に立っていた、
「あ、鏡ノ梓翠花…!ん…?」
鏡ノ梓翠花は、自分に手招きをしていた梓翠花が手を伸ばすと、鏡の中に指が入った、そのまま梓翠花は自分から鏡ノ世界に入っていった。鏡ノ世界は前回来た時より、ひび割れていたが明るさを少し、取り戻していた。
「梓翠花!」
目の前に鏡ノ梓翠花が走ってきた。
「大丈夫なの?…」
前よりは傷も治まっていたものの、梓翠花は心配していた
「大丈夫だよ…ごめんね、心配させて…こっちに来て。全て話すよ。」
「うん…」
鏡ノ梓翠花と手を繋いだ瞬間、どこかに移動していた…。
「ここは?、」
「ここは、
鵜ノ崎海岸
なにかを話す時は、ここが一番いいんだよ…」
「そうなの……?でも、私、わかるよここ、私の元いた次元でもなければ、私達の鏡ノ世界でもないでしょ。」
「そうだよ、よくわかったね…、でもここは安全な場所だよ…、近い内に梓翠花も分かる、ここが、どこなのか、」
梓翠花は妙な感覚になりつつもどこか安心していた…。
「じゃあ話すね…嵯峨美家の真実を、あなたの宿命を、。」鏡ノ梓翠花は優しく、話し始めた
「私達の家系は代々、人の心の闇を鎮めることを生業としてきていた。
でも、祖先の一人があまりにも闇を抱えすぎたせいで、心が崩壊しそうになってしまったの…。でも祖先は、そうなる事を阻止するためにとある存在に心を託した。そしてその存在が、私達が最初に行った鏡ノ世界にいた子、
来蝶朱花なの。あの子にはモデルになった人がいる、その人はおそらく、
祖先の心の救いだったんだろうね。
そして、私を傷つけたあの声の主、
あの人が私達の祖先なの。」
梓翠花は鏡ノ梓翠花の話を遮り、驚いて言った。
「そうなの?!!なら、どうして私達をおそったんだろう。…」
「それについても全部話すよ、襲っきてた理由は、必ずしもこれだとは限らないけど、全てを、終わらせようとしたんだと思う。私のように鏡ノ世界の住民、その人の心に宿る心人は、現実とは別の世界で生きてるの。鏡ノ世界は存在自体がアクセスポイントのようなものになっていて、だから、鏡ノ世界にいる心人は全員、無意識にお互いの過去、現在、未来、記憶を共有しているの。だから私は来蝶朱花の名前もわかったし、私達を襲ったのが祖先の人だということもわかったの。全ての出来事を共有しているからね…。」
「そうだったのね…。」
梓翠花は納得したかのように頷いていた。
「話をもどすけど、祖先が心を託したおかげで壊れることはなかった…、私祖先の鏡ノ世界で言ったよね、いつかこの世界は崩壊するかもしれないってでも、結果的に崩壊せず世界を再構築できたのかもね、だけど、闇は行き場を失った、そして月日が流れ、私達の叔母である嵯峨美漣那の所に舞い降りてしまったの、異界のバイト…闇店調査としてね。そして闇店調査は叔母の体を確実に蝕んでいった。本人は気づいてなかっただろうけどね…そして2050年、2月6日、亡くなった。」
梓翠花は行方不明だと聞かされていた叔母が亡くなっていたことに衝撃を覚えた、
「そんなことがあったんだね…。」
「よし、一回移動しよう。続きは鏡ノ世界で説明する、そっのほうが理解も深まると思うし。」
一度自分達の鏡ノ世界に戻った後、2人は他の人の鏡ノ世界に入っていった。
「まって…ここ」
「そうだよ、」
そこは梓翠花の部屋だった。
「ここ、誰の鏡ノ世界なの…?
ハッ、もしかして、」
「そう…ここは、千遥の、私達のお母さんの鏡ノ世界だよ。」
「ここに来たってことはお母さんにもあるんだね、朱い傷が。」
「そう。続きの説明はお母さんの傷世界のなかでしよう」
「それなら朱い傷を早く見つけなきゃ」
「その心配はいらないよ。もうすでに傷の場所はわかってるから。」
そう言うと鏡ノ梓翠花は階段を降りていき玄関の扉を空けた。目の前には朱い傷があった。2人は傷世界にはいり母の記憶を見ていた…
「この傷はお母さんが大学生の時にできた傷だったんだね。それに…」
「そう。ここは、狭間。この傷ができた時の出来事は現実世界でおこったことではなかったんだね。それにこの狭間の守り神のサナレガミって、私達の叔母、嵯峨美漣那だったんだね。」
「鏡ノ梓翠花…私、この傷世界は封印しない、この層の心台に刻別刀を刺して破壊する」
鏡ノ梓翠花は悟ったような表情で梓翠花に問いかけた。
「それは、…どうして…?」
「私、いままでの話きいて、わかった気がするの、自分はなにをしなきゃいけないのか。」
「そっか…わかった。なら方法は梓翠花に任せるね。」
そう言うと2人は傷世界を後にした
しばらく探し、ようやく2人は心台を見つけた。
「じゃあ、いくね…」
梓翠花は心台に刻別刀を突き刺した。
「ギイィィィン!!!」
心台は鋭い音を立てて砕け散った。
「さぁ層が完全に壊れる前に帰るよ」
鏡ノ梓翠花に連れられ、梓翠花は自分達の鏡ノ世界に帰った。
「これで…よかったの?」
鏡ノ梓翠花が問いかける。
「うん…よかったの。これで、、今日の所は現実世界に戻るね。また、来週」
「ちょっとまって!はい。これ…前回の分の給料と今回の分」
「ありがとね…じゃあ…」
「う、うん…また…」
鏡ノ梓翠花はどこか寂しそうな表情で梓翠花を現実世界に返した。
そしてまた1週間の日が流れ、梓翠花は鏡の前に立った。この日、鏡ノ梓翠花は迎えに来てはくれなかった…
梓翠花は不審に思い、前回同様鏡に手を伸ばし自分から鏡ノ世界に入っていった…………鏡ノ世界は荒れていた。最初に来たときとは比べ物にならなかった、
「梓翠花…!」
奥を見るとそこにはボロボロになった鏡ノ梓翠花がいた…
「どうしたの…?!、なんでこんなになってるの!?!?…」
「そんなことは、どうだっていいよ…
それより最後の作業だよ最後はこの世界を、あなた自身の鏡ノ世界を、修復してもらうよ。」
「え、自分の世界を?」
「そう。朱い傷の場所はもう分かるね」
「うん。…」
そういうと2人は胸に手を当て祈りを掲げた。…
「ここは、私の通ってる、学校、」
梓翠花は、確信したここを封印する方法は祖先の人の世界のやり方と同じ方法だと。
梓翠花は迷った後、呪文を唱えた
「眠りし心領ノ傷よ我が身をもってその闇を鎮めたまえ…」
そう言うと梓翠花の傷世界は霧が
かかりはじめた。元の鏡ノ世界にと戻ると鏡ノ梓翠花は初めて会った時と同様、綺麗な身体に戻っていた
「ありがとう、おかげで私の傷は癒されることができた。あなたのおかげです。そして、前回、伝えましたね。
嵯峨美家の真実を、嵯峨美家は代々闇を鎮めていた家系だと…でもその闇が生き場を無くしたせいで、その闇が近年私達に牙を剥いたことを。
梓翠花、あなたに伝え忘れていたことがあります。あなたの宿命についてです。今、あなたは嵯峨美家を後世に残すか残さないかの選択ができます。ですが必ずしも思い通りにいくとは限らないです。それでも私は、鏡ノ梓翠花はあなたに、梓翠花に感謝しています。私のことを、心を癒してくれたこと。嵯峨美家の真実を知ってくれたこと。本当にありがとう。私はあなた自身です。たとえあなたがどんな選択をしても運命をたどっても私はあなたを否定しません。最期にこれだけは伝えさせてほしい。【鏡ノ先のあなたへ】私はあなたが、梓翠花が、大好きです。」
梓翠花は涙を流していた。
「ありがとう。鏡ノ梓翠花!もう、会うことはないかもしれないけど、いつまでも、いつまでも、一緒だよ!またね!」
その言葉を聞いた鏡ノ梓翠花は梓翠花を現実世界へ送り届けた。梓翠花は現実世界で目を覚ました。目の前には母の姿があった。
「起きたのね。さぁこっちにきて。」
「これって。…」
案内されてきた場所は、話の倉庫だった。
「さぁ入って。ここに、全ての真実があるわ…」
そこは鏡ノ梓翠花に連れてこられた、鵜ノ崎海岸だった。梓翠花は全てを理解した。鏡ノ梓翠花に教えてもらったこと。この倉庫でみた様々な秘密。嵯峨美家の真実を、そして自分の成すべきことを。
次の日、梓翠花はゆっくり足を運び
目的地を目指していた。
風の音、
水の囁き、
学校から聞こえる笑い声、
自身の心の静寂の霧…
世界は変わることなく回り続けていた
梓翠花はその日、学校の屋上にいた。
「これが私の成すべきこと。私の代で嵯峨美家の呪いに終止符を打つ。」
梓翠花はその日、空を飛んだ…
鏡ノ世界では、鏡ノ梓翠花が、心の梓翠花が、ゆっくり消えゆく鏡ノ世界と自分の身体を見つめながら、小さな声でつぶやいていた。
「これが私の、梓翠花の選択か。
否定はしないよ。だってあなたは、私なんだから。次会えるのはいつかな〜、どこかな〜、その日が来るのをまっているよ。バイバイ、梓翠花。」




