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【4000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第1章・第2章 完結済み/第3章 2月23日~(前倒しの可能性有り)】  作者: 誰時 じゃむ
2章 - 第11話 過程と結果【第2章完結】

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11-1 数分前

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 カロが陽華の元へ駆けつける数分前。

 旧特魔の廊下では、カロとリトリーが互いのプライドをかけて殴り合っていた。


「――――うぅッ、らぁッ!!」


 カロが《魔蜘蛛の糸(フィル・アラクネ)》を巻きつけ頑丈に強化した腕で、リトリーに殴りかかる。すると、リトリーは地面を蹴ってカロを飛び越すようにそれを飛んで避け、


「《ランドリー》――――」


 と、カロに向かって、4つのコインを飛ばした。


 カロの皮膚や筋肉にコインが重たく食い込む。――――が、カロは前進に張り巡らされた魔術の糸が鎧代わりとなっていることもあり「ふん!」と気合を入れてなんとか持ち直すと、振り返りざまリトリーに向かって魔術のムチを振るった。


 軌道上、それがリトリーに当たるのは確実だった。――――しかし、リトリーは腰元に手を回すと、白いシャツの下から折れた刀の魔石具《銀牙万咬(ぎんがばんこう)》を取り出して、それを斬った。


「なっ――――」


 目の前のそれは、40センチほどの長さしかなかったが、鮮やかにムチを切り裂いていく。


「――――使えねえんじゃねえのかよ!!」


 カロの叫びに、


「リトリーは、折られたと言っただけですよ」


 と、リトリーが返す。

 確かにリトリーと対峙した時、「折られた」とは聞いたが「使えなくなった」とは聞かなかった。


 すると、今度はリトリーがカロの懐へ飛び込む。そして、刀を振るった。


 カロはそれを両腕で受けると、皮膚の下から覗く《魔蜘蛛姫ノ綴織(グランギニョル)》によって全身に張り巡らされた魔術の糸が刃の侵攻を防いだ。


「――――《銀牙万咬》」


 しかし、リトリーはその守りごと砕こうと、ゼロ距離でそう唱える。――――そして、魔石が明滅した。


「しまっ――――」


 しかし、以前見せたような強烈な斬撃は放たれなかった。


 刀は、すでに魔石具としては機能を失っているようだった。よく見れば、魔石自体にもヒビが入っている。


 その隙を逃さずカロがリトリーの顔を蹴り上げると、リトリーは綺麗に飛ばされる。そして、次に顔を上げた時、目の前には3人のカロがいた。


「糸人形……!!」


 リトリーはそれらを睨むと、


「《マイニング》」


 と、魔術で使役するコインを8枚に増やす。と、続けて、廊下の幅いっぱいに横二列でコインを並べ、


「《ランドリー》」


 と、一斉に発射した。


 綺麗に胸元目がけて飛んでくるコインから逃げるには、上を飛ぶか下を潜るかしかなかった。


 廊下に並んだカロたちは同時に走り出すと――――中央のカロが上から――――リトリーから見て右のカロはスライディングをしてそれを躱した。――――左のカロはどうやら逃れられなかったようだ。


 リトリーは中央と右、2人のカロが回避したのを見るや否や、まずは横一列に並んで飛んでいくコインの下を滑り込んできた右のカロを狙った。地面に足がついている分、すぐに攻撃に転じられる恐れがあったからだった。


 瞬時に刀を逆手に持ち替え、地面を滑るカロに向かって振り下ろす。と、それは心臓に命中したものの、バラバラの糸となって消えてしまった。


 ならば、次である。


 リトリーは横目で、飛び上がった中央のカロを見る。と、カロは拳を構え、こちらに向かって落ちてきていた。


 ここで、リトリーは迎え撃とうと安易に拳を構えない。ただじっと観察し――――その拳の軌道を読んで躱した。


 そうなればこっちのものだった。リトリーは自分の横を通り過ぎていくカロの腕を掴むと、一本背負のような形で投げ飛ばす。


 が、そのカロにも手応えはなかった。――――目の前のカロは、リトリーが地面に叩きつけたのと同時に、糸となってしまった。


(しかし、それならば――――)


 リトリーは初めに切り捨てた、左を走っていたカロを見ようとする。


「……ッ、いってぇなぁ……!!」


 が、直後――――その言葉と共に脇腹にムチが飛んできて、リトリーは壁に叩きつけられた。


 カロの体から、チャリンチャリンッ……とコインが3枚落ちる。


 すると、すぐにカロのムチが首に巻き付けられてそのまま引っ張られ、リトリーは無理やり膝立ちにさせられた。


「……わざと喰らったのですか」


「8枚中3枚なら、さっきよりは威力が下がってマシだろうと思ってな」


 リトリーは会話をしながらも、体勢を立て直そうと足を動かす。しかし、その時――――首を絞めるムチがグッときつくなった。


「抵抗すると、締まるぞ」


 カロが警告する。


「……できれば、さっさと降伏して欲しいんだけどな。陽華さんのとこに、行かなきゃならないんでよ」


 しかし、そう語るカロをこんな状況だというのにリトリーは構わず睨みつけた。


「こっちも岩手様の元へ行かなきゃならないんですよ……」


 次の瞬間、リトリーは締まっていくムチにも構わずそれを掴むと、引き千切ろうと力を込める。


 しかし、ムチの締まる力はリトリーの力よりも強かった。さらに、さっきまで手に持っていた刀は、ぶつかった拍子に遠くに落ちてしまってムチを切ることもできなかった。


「死んじまうぞ!!」


「……構いません。リトリーにとっては、っ、敵前逃亡の方が問題です……!!」


「何が、そこまで……!!」


「リトリーからすれば、人間でもないあの土人形に入れ込んでいるあなたの方が不思議ですよ……!!」


「……!」


 狂気的な忠誠心。

 カロは、リトリーたちのそれを異常なことだと思っていた。


 が、今のリトリーの言葉によって、その片鱗に触れた気がした。


「力で敵わないなら、魔力で押し勝つまでです……!!」


 困惑するカロと違い、覚悟の決まっているリトリーは今までで1番の魔力を呼び起こす。――――と、その時だった。


 カロとリトリーの魔力が混ざり合う。


 すると、新井が悪侶に取り憑かれた時や叔父と魔力の押し合いになった時のように――――カロはリトリーの心の中へと吸い込まれた。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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