表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【4000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第1章・第2章 完結済み/第3章 2月23日~(前倒しの可能性有り)】  作者: 誰時 じゃむ
2章 - 第9話 最終決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/125

9-5 戦いの意味

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 カロたちはロビーで一同に会すると、それぞれが相手を入れ替え――――カロがルイスを――――シズクがレンを――――アザミがリトリーをぶっ飛ばした。


 すると、その勢いのままアザミはリトリーとともに2階のテラスに着地し、シズクもカロとは背を向け合う形でレンと対立した。


 まず注目すべきは、カロとルイスだった。


 ルイスは酸を完全に封じ込め、ヨーヨーのように先端が膨らんだカロのムチに吹き飛ばされると、ロビーの入り口に連なった瓦礫の山に追いやられていた。


「……なんなんですぅ? 後ちょっとであの人形を殺せたのに、邪魔してきて……」


 ルイスの近くの壊れた壁の中で、送電線がバチバチと瞬く。と、項垂れていたルイスの威圧的な瞳が、青髪の隙間からカロを睨んだ。――――しかし、一方で立ち上がる気配はない。


 すると、そこで魔術封印の枷をつけようと近づいていたカロは気づく。


「お前……。それって……」


 ルイスの脇腹には、ひしゃげた細い鉄骨が突き刺さっていた。フェイクでもなんでもなく、血が確かに流れている。


「……本当、嫌になる」


 しかし、次の瞬間――――死に体でありながらルイスは今までのどの瞬間よりも魔力を高ぶらせると、カロの糸で作られた網の中に封じ込められていた酸はそれを破って、カロへと襲いかからせた。


 カロが酸の着地点から飛び退くと、さらにルイスはその痛みに抗うように脇腹の鉄骨を掴む。と、魔力で産んだ酸で溶かし、立ち上がろうとし始めた。


「やめろ……! 溶かしたら、空いた穴から出血が……!!」


「どうだっていい! 動けない方が、あの人の役に立てない!! そっちの方がずっと悲しいし苦しんだよ!!」


「なんだって、そこまでして……!!」


「お前なんかが、知る必要なんてない……!! ……ッ、あぁ、ぁあああああああああッ!!」


 鉄骨が溶ける。脇腹に空いた穴を我先にと、溢れ出る血が隠す。


 酸と血が飛び交い、混ざり合うと、ルイスの振るった槍がカロの体を捉えた。


(獲った……!!)


 しかし、それは刹那の希望だった。


 次の瞬間、カロはぐにゃりと不自然に倒れていく。そして、あっという間に魔術の糸に戻った。


 すると、解けていく糸の隙間――――カロだと思っていた糸人形の向こうに、悲しそうな顔をした本当のカロが見えた。


 そこで、ルイスはようやく気がつく。


「自分の前に一回り大きな分身を置くことで……。自分を隠して……」


 ルイスはそれでもなお、カロを睨み、手を伸ばし、酸の剣をカロに向かって伸ばす。


 が、それがカロに届く直前――――首がきゅっとしまって、ルイスは気絶した。自身が切り裂いたカロの糸人形。その中の1本の糸が、ルイスの首に巻き付いていた。


 カロは糸人形が持っていた枷を拾うと、片方をルイスの腕につけ、もう片方をにつける。そして、ルイスの近くにしゃがみその脇腹に触れると、魔術の糸で脇腹を丁寧に補剛した。


「これも、全ては特魔への復讐のためなのか……?」


 ルイスの行動を見て、その理由に想いを馳せる、カロ。しかし、


「――――お前じゃ上がらねえなぁ! 土人形ッ!!」


 というレンの高笑いによって、カロの意識は半ば強制的に戦場に戻された。 


 次の瞬間――――カロの元へシズクが飛んでくる。と、カロはそれを腕で、抱き止めた。


「シズク!」


「カロ、ごめんなさい。抑えきれなかった」


 そう語るシズクの目の前には、オレンジの魔力を纏いながらまだまだ全然余裕そうに笑うレンの姿があった。


「謝らなくていい。よく耐えてくれた」


「カロ……」


「むしろ、約束を破ったのは俺の方だ」


「約束……?」


 すると、カロは徐に立ち上がる。その姿を見て、レンが、


「なんだぁ? 骨喰加那太、次はてめえがやるか?」


 と問うと、カロは首を横に振った。


「いいや、ここからは2人でいかせてもらう。そう約束したんでな。――――一緒に戦う、ってな」


 その時、シズクには昨夜の、


 ――――一緒に、でしょ。置いてけぼり、なし。


 という、自分の言葉を思い出した。


「……うん。今度は、一緒に」


 シズクはそう言って、カロの横に並び立つ。


「はっ! 2対1かよ。冷めるぜ。……だが、ま、手間が省けていいか」


 レンはその光景を中傷するように言葉を吐き、髪をガシガシと掻いた。そして、


「じゃ、やるか」


 と、次いでそう口にすると――――レンは、2人に向かって襲いかかった。


「――――シズク!」


 カロの声に反射して、シズクが前に出る。と、シズクは勢いのままに強く地面を踏み、拳を振るった。


 だが、シズクの大振りな攻撃をレンはボクサーのように細かく躱し、懐に潜り込むと、シズクの腹にトンファーを突き刺そうとした。

 おそらく、先ほどの2人きりでの戦いでレンが圧倒できたのも、こういう戦闘経験に差があったからあっただろう。


 しかし、この戦いはさっきまでとは違う。


 トンファーがいよいよシズクに触れるという瞬間――――シズクは魔術のムチに引っ張られ、後ろへ大きく一瞬で後退する。と、トンファーを空振ったレンの前に現れたのは、無数のカロだった。


「うおっ!? なんだこれ!」


 すると、レンはその場できゅっと身を引き締め、巣を突かれたスズメバチのように早く鋭く荒々しいラッシュで、カロを殴っていく。


「これが、紫衣羽さんが言ってた糸人形ってやつか!」


 レンの拳によってカロたちはバラバラに解け、魔術の糸になる。

 高揚するレンは、その糸の降る中で真っ直ぐカロへと伸びている糸を1本見つける。と、それを掴み、自分の方へ引き寄せた。


「なっ――――」


 次の瞬間、カロは釣り針にかかった魚のように、強制的にレンの元へと引き込まれる。


「――――《砕雷(さいらい)》ッ!!」


 オレンジの光を放ち、トンファーを振るう、レン。それをカロはなんとか胸の前で腕をクロスさせ、受け止めた。


「魔術の糸か。――――だが、相殺できてねえだろ」


 その言葉通り、レンのトンファーをガードした両腕には魔術の糸が小手のようにぐるぐると巻かれていた。そして、その糸の下――――左手(義手)にはヒビが入っていた。


 しかし、カロは、


「……ッ、だが、それでいいんだよ」


 と、言うと、


「シズク! さっきのムチを!!」


 と、叫ぶ。


「あ?」


 その言葉につられてレンがシズクのほうを見ると、シズクの足元には――――先ほどカロがシズクを助けるために巻きつけたムチが、カロの右手から伸びっぱなしになって寝そべっていた。



「お前、それはさっきの……!!」


 レンがその存在に気がつくと同時に、シズクがそれを手に取る。と、カロはニヤッと笑い、


「――――《(ソー・)蜘蛛古城(アリラスティーク)》ッ!!」


 と、口にした。


 次の瞬間――――ムチが収縮する。


 すると、先ほどのレンがカロを引っ張り寄せた時とは比べ物にならない勢いで後ろに遠のき、代わりに目の前にはシズクが現れた。


(逃げっ――――)


 しかし、その足を――――かつてレンを集団で襲った糸人形だった、足元に散らばっている糸たちが絡みついて引き留める。


(――――地面に、俺を縛って)


 レンの顔に、影が重なる。


「くらっしゅ」


 その言葉が聞こえた時、レンはもうその場にはいなかった。速さの乗ったシズクの拳が、それを許さなかった。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


 励みになりますので、良いと思ってくださった方は【☆】や【ブックマーク】をポチッとしていただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ