寝間着の王
月が鈍く空を照らす深夜。
雷火国王・健二の私邸には、風の音すら聞こえぬほどの静寂が流れていた。
その静寂を裂くように、密かに影が忍び込む。
黒いマントに身を包んだ数人の男たち――いずれも、王国時代に侯爵・伯爵を名乗っていた旧貴族たちの私兵だった。
> 侵入者(小声)「これで終わりだ、あの成り上がりの王など……ッ」
彼らの狙いはただ一つ。
健二の暗殺。そして旧貴族による「正統な王政」の復活であった。
だが、雷火国の夜は甘くない。
突然、夜闇の中に鋭い金属音が響く。
吸血鬼の双子護衛と《ラファエル》が、音もなく天井から舞い降りた。
> クラリス「夜は我らの領分。愚か者め」
> ラファエル「貴様らの首で、王の眠りを妨げた罪を贖え」
数秒のうちに私兵たちは全滅し、貴族本人――旧ドレイマー伯爵だけが縛られて王の前に突き出された。
---
【寝間着の王と、重装の決闘】
翌朝。事態の説明を受けた健二は、ため息ひとつ。
> 健二「つまり……“話し合い”ができないから“寝込みを襲った”ってわけだな。
――じゃあ、次は“戦って”もらうしかねぇよな」
貴族の主張により、「貴族の尊厳を賭けた決闘」が申し込まれる。
形式上、王と旧伯爵による一騎打ちが開かれることとなった。
旧伯爵は精鋭の重装騎士。銀の甲冑に剣と盾を装い、豪奢な礼装で現れた。
一方、健二はと言えば――
寝間着のまま、素手で会場に現れた。
> 会場「まさか……」「あれが王の正装なのか?」「いやいや、まさか……」
> 健二「さぁ来いよ。文句があるんだろ? だったら殴り合おうや」
決闘は一瞬だった。
伯爵の振るう剣を片手でかわし、盾を膝蹴りで粉砕。
続く肘打ち一発で、伯爵は気絶した。
> 健二「……口で語れねぇやつは、拳で理解してもらうしかねぇんだ。
雷火国じゃ、そういうルールなんだよ」
会場からは静かな拍手が広がり、やがて熱狂へと変わった。
---
【雷火国、交易同盟を結ぶ──魔族と亜人の国と】
旧貴族たちの反乱が潰えたのと同時に、ランドルフ侯爵は次なる布石を打っていた。
魔族の都市国家【ダークエルム】
亜人の交易都市【フェリアル】
中立の山岳民国家【トルドヴァン】
これらとそれぞれ、雷火国は交易同盟を結んだ。
内容は以下の通り:
関税の優遇
輸送ルートの安全保障
貨幣の相互交換制度
鉱石・魔石・薬草・武具の優先輸出入
> ランドルフ:「強い軍を維持するには、強い経済が要る。
経済を成り立たせるのは、敵意ではなく信頼だ」
---
【国の力、確かに育つ】
これにより、雷火国には以下の変化が生まれた:
魔族による高性能な鍛冶技術
亜人たちの薬草や食材、織物技術
山岳民との鉄鉱石・希少鉱石の安定供給
国は着実に、戦と理によって築かれた「強き正しき国」へと近づいていた。




