表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/93

まずは訓練

傭兵団結成から数日。

健二たちは即座に、兵たちの鍛錬に着手した。


雷火を操る剣士・健二は、自らの魔力操作と応用魔術の技術を中心に教えた。

彼が示すのは、一撃必殺の破壊魔法ではない。

身体強化、間合いの制御、攻撃の連携、戦場で生き残るための“使える魔法”である。


「魔法は“勝つための手段”であって、“見せ物”じゃねぇ。

 当てろ、仕留めろ、死ぬな。それだけでいい」


そう口にした彼の指導は、常に実践を意識していた。

模擬戦で撃たれた者は容赦なく地面に叩き伏せられ、

生き残る術を、皮膚と骨に刻み込まれるように学んだ。


一方でリーファは、剣術と戦闘技術の教導を任された。


彼女の動きは流麗で、無駄がなく、ただ美しかった。

だがそれは“芸”ではない。殺意と理性を兼ね備えた“実戦剣”である。


「力はいらない。技と意志で殺せる。

 あなたが殺されそうになったら、“迷い”のない剣を振るうのよ」


そう語るリーファの周囲には、彼女を慕う若者や女性兵も多く集まり、

“無駄に傷つかない技術”を求めて彼女の教えを請う者は日々増えていった。



---


【ファルザス家の協力】


また、魔族領の主・ファルザス子爵はこの鍛錬を全力で支援した。


彼自身も魔族特有の重魔術に通じており、

その家臣たち――長命の魔術師や獣化能力を持つ戦士らが、

傭兵たちの多様な資質に応じた訓練を施してくれた。


特に、魔族の侍――“セジロウ”と呼ばれる男は、

重厚な鎧を身にまとい、冷静に剣を振るうその姿で、多くの兵士たちの尊敬を集めていた。


「我らが手を貸すのは貴様の理想に価値があるからだ、雷火の健二。

 腐った王国に対抗するには、“命を繋ぐ力”を育てねばなるまい」


そう語るファルザス子爵のまなざしは、もはや一介の傍観者ではなかった。



---


【一ヶ月後――模擬戦闘】


そして、訓練開始からちょうど一ヶ月後。

健二たちは、大規模な模擬戦闘を実施することを決定する。


参加兵力、計800名。

本隊、遊撃隊、魔術支援班、斥候部隊などに分かれた実践さながらの布陣が敷かれた。


健二は青の外套をまとい、指揮本部に立つ。

リーファは赤の帯を締め、遊撃隊の先頭に立って出陣する。


「本気でやれ。

 この訓練で死人が出るなら、戦場では百人死ぬ。

 そうならねぇための模擬戦だ」


開始の角笛が鳴り響いた。

雷の如き突撃、霧のような隠密、空からの魔法砲撃――

模擬戦とは思えぬ凄まじい戦術が交差し、草原はまるで実戦のような熱気に包まれた。


リーファは自軍を率いて敵の魔術支援班を奇襲、健二は中盤に雷火で敵前線を貫き、勝敗は刻一刻と動いていった。


戦の終盤、健二は木剣一本で三人の獣人隊長を倒し、勝敗は明らかとなる。


模擬戦は健二軍の勝利で終わった。



---


【試練を越えた者たち】


夕暮れ、集められた兵たちの顔には、疲労と誇りがあった。


「――いい顔だな、みんな」


健二が小さく呟いた声に、

リーファは隣で静かに頷いた。


彼らはもう、単なる寄せ集めではなかった。

戦える軍として、ひとつの力となりつつあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ