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取り調べと過去の影②

夜、村の外れにある古びた納屋の一角。床には縄で縛られた黒装束の男が座らされていた。顔には幾筋もの汗、そして恐怖の色。


健二は黙って金属の細い棒を手に取り、男の前にしゃがみこんだ。


「言え。誰に命令された」


男は目を背ける。健二は小さく息を吐き、棒をゆっくりと男の指の爪と肉の隙間に差し込んだ。


「う、うああ……!」


「まだだ」


淡々とした声と共に、健二の指先から電流が走る。指に刺さった金属棒が焼けるように熱くなり、男は悲鳴を上げた。


「ギャアアアアアアアアッ!」


数分の後、男は堪えきれず言葉を吐いた。


「……リーファ、リーファという女を、生きたまま攫えと……言われた……」


「誰に?」


「名は……聞いてない。ただ、神の騎士団の紋章を持っていた。奴は言った……『あの娘は女神の血を引く者だ。いずれ女神の器となる』……と……」


健二の顔がわずかに動いた。リーファの出自について、断片的ながらも重大な秘密を暗殺者は語り始める。


リーファは、かつてこの世界に召喚された“転生者”の娘であり、しかもその母は女神の化身だったという。神の力と異世界の魂を併せ持つ、存在してはならぬ力――神の騎士団にとっては“浄化”すべき異端。


「……俺たちは見張られてたってことか」


健二はゆっくりと立ち上がる。男の目が健二を見上げた。


「頼む、殺さないでくれ……俺はただ命令を――」


言葉の途中で、健二の電撃が男の心臓を撃ち抜いた。苦悶の声もなく、暗殺者はその場に崩れ落ちた。


「喋るべきことは全部聞いた。ご苦労だったな」


振り返ると、納屋の扉にリーファが立っていた。既にすべてを聞いていたのだろう。


「……あたし、本当にそんな存在なの?」


「今さら何かが変わるか? お前はお前だ。それでいい」


リーファは目を伏せた。だが、その肩の震えは恐れでも迷いでもなかった。覚悟の揺らぎだった。


その夜、健二はすぐに動いた。唯一信頼できる、ある人物の顔が浮かんだ。


「ランドルフ・ハワード侯爵……あの爺さんなら、神の騎士団について何か知ってるかもしれねぇ」


そして翌朝、ギルが馬を連れてやってきた。


「よう。もう出発か?」


「ああ。お前の口の悪さと、あの高飛車な頭脳を借りるぞ」


「……褒めてんのか、けなしてんのか……まあ、いい。面白くなりそうだ」


暗殺者の死とともに、すべてが動き始める。リーファの正体、神の騎士団の影、そして健二たちの戦いは、いよいよ本筋へと向かっていく――

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