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お飾り結婚だからと自由にしていたら、旦那様からの愛が止まらない  作者: よどら文鳥


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24話 Side 二人の末路

「なぜわたくしまでもが平民に成り下がることになるのです……」

「俺の嫁になってしまっている以上仕方のないことだ。くそう……レイチェルと結婚していればこんなことにはならないはずだった……」

「まあ! この後に及んでまだあの女のことを言うのです!?」


 地位も名誉も領地も家もなくし、ボロボロの服で王都を歩いているガルムとジェシー。

 産まれたばかりの赤子に関しては餓死することのではないかと危惧し、保護施設に送られていた。


「レイチェルは道を間違えてしまったんだ。俺が助けようとしたところにジェシーが絡んできた。あのとき声をかけてこなければ今頃は子爵としてレイチェルを迎え入れられていたというのに……」

「元々ガルムなんて興味もなかったですわよ。お金持ちだと誤魔化してわたくしのことを騙してきたのにその言い分はないのでは?」

「余計な体力を使いたくない……。もうすぐ命じられた仕事場に着く……」


 ガルムとジェシーは貴族剥奪され平民に成り下がったものの、新たな仕事を国から命じられ、そこで働くことになっていた。

 逃げようものならば王都からも追放されるという恐怖があったため、二人とも逆らうことができなかった。

 だが、これはハイドからの最後の情け。本来失態による貴族剥奪であれば国外追放がこの国の常識だ。

 ガルムはレイチェルのことをひどく扱っていた。ジェシーもまた、レイチェルに対しての暴言をはいていた。

 このことから国外追放させずに彼らにとってもっと過酷ともいえる手段をあえて用意したのである。


 レイチェルに危害を加えようとする者たちは誰であっても容赦はしないハイドであった。


「な……!? ここはまずい……!」

「なんですの?」

「く……くそう……大人しく国外追放されていた方が良かったかもしれない」


 ガルムは過去に関わりがあったため、すぐに身体が震えていた。

 もう逃げることができないのだと。


「ここは……貴族から奴隷扱いを受けるような場所だ……」

「は?」

「簡単にいえば人材派遣だ。主に貴族の屋敷で強制労働させられる。労働というよりも牢獄だ」

「働く牢獄? なにもしなくても飲み食いできるならまだマシでしょう」

「いや、そうではない……。むしろ逆だ。ハイド公爵らが敵対している過激派の貴族が好んでここの連中を雇う。俺も雇ったことがあるからわかる……。もう俺たちは人としての生き方はできない……くそう……くそう!」


 ガルムが悔しがって、足で地面をドンドンと叩く。

 説明されても理解できないジェシーではあったが、目的地の家に入るとすぐに理解できた。


「おう、てめえらか。まさか貴族位剥奪された二人を使ってやってくれって依頼が来てたが、まさかのまさかだ。覚悟はできてんだろうな?」


 ガタイのいい男の威圧ですでにガルムはガタガタと震えていた。


「まずはガルムだったな。てめえは以前ここで働いていた女を屋敷に使用人として派遣させ、好き勝手してたな。そのせいで女はどこかに消えちまった。同じ待遇を受けてもらう」

「な……。それはむしろご褒美――」

「そうだろう。金持ちのジェントルマンが喜びそうな顔してるもんな。せいぜい派遣されて楽しんできてくれ」

「ジェ、ジェントルマン!?」


 ただの平民に成り下がってしまったガルムにとって、力で太刀打ちもできるわけではなく逆らうことなどできなかった。

 逃げたとしてもすぐに処刑される。

 そういう場所だということは重々理解していたからだ。


「そっちの女も見覚えがある。確か、ハイド公爵家にスパイとして夫人を暗殺するよう送り込む依頼をしてきたな」

「あ……あのときの……」


 ジェシーはようやく思い出した。

 レイチェルがいなくなればハイドと結ばれる可能性がある。

 そのために始末させようと依頼をしていた。

 依頼した場所が別のところだったために、言われるまではジェシーも気がつかなかったのである。

 ようやく理解し、ガタガタと震え出すジェシー。


「残念だったな。ハイド公爵は俺たちにとっては大事なお方なんだ。そうとも知らずに依頼をしてくる頭の悪い女って認識しかねえ。おまえには身体が朽ちるまで働いてもらうからな」

「な……そんな……わたくしがどうしてこんなことに……」

「事情は全て聞いている。てめえら楽に仕事ができるだなんて思うなよ。俺たちの大事なハイド公爵や関係している者を傷つけた罪は身体で償ってもらうからな」


 このあと二人は強引に拘束され、逃げようにも逃げられなかった。

 二人にとって最も屈辱的な方法で労働をさせられることになるのである。

 なお、レイチェルはこのことを知らない。

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