第十話 傲慢に制裁を。
どうも、阜歩 茲子と申します。
アラードと組を組み、カリストは堕天アクトスを討つ旅へと出る。拠点を持たず、その場その場で宿泊施設や野宿で暮らす放浪者へとなった。
獄門会本部があり、生まれの地でもある首都へレストから旅立ち、一面田畑が広がる田舎へと歩いてきた。
「はぁー、さ、さすがに疲れたな。」
「体感もう20kmくらい歩いたよ…さすがにそろそろ休憩しよ…?」
カリストの胸が汗まみれのアラードにさざめいたとともに、猛暑に耐えられなくなった。日陰へと全力ダッシュしていった。
「え!?ちょっと待ってー!」
慌ててカリストを追うアラードさん。傍から見ればいいカレカノですね。
木陰に座り、一息ついた二人。アラードは零すほどの勢いで水筒の水をガブ飲みする。羨ましそうに彼女を見ていると…。
「…飲む?」
その瞬間にカリストの細くなっていた目がカッと開いた。
(…!!! ここぞとばかりのイベント発生!!これを逃せばもう数年、数十年、いやもう今生にはコないかもしれない!!…ここを逃せば、漢じゃねえ!!!)
「も、もちr」
赤面しながら顔を上げると彼女はもう水筒を持っていなかった。
「ごめん、やっぱ全部分解して鉄として摂取しちゃった。」
ズコーッという効果音が響きそうな状況で、カリストは赤面をすぐさま消した。焦りの汗ダラダラの状態で澄ました顔をして「興味ありませんけど~?」みたいな顔をしておく。
(…水筒を鉄として摂取するってなんだよ。)
そんなカリストを見て、アラードは微笑んでいる。
「かわいい笑」
カリストに聞こえないほどの声でフフッと呟いた。
ドン―
「お、嬢ちゃん一人ミッケ♡ 頂いていこうか♡」
突然現れた巨漢。傷だらけの上半身を見せびらかし、畏怖させようとしているのか。
「…キモ。そういうのいいんで。」
稀に出るアラードの超低音。これまた相手をおののかせる。
「はは、ツれないねぇ。そういうヤツには、お仕置きなのさ!!!」
ズボンの中から両刃のナイフを取り出し、ナイフを舐めるというありがちな行動をする。…両刃のナイフで。
「…いぃぃぃいいいいっっっっったああぁぁぁっぁあああああああああ!!!!!!よくも…よくも俺を傷つけさせたなぁああああああ!!!!」
「…あの、何をなされているのですか?勝手に自滅をしているだけでは。」
「そこがツれねえってことだぁぁぁあああああ!!!」
謎の理論を展開し、傲慢にアラードを責める。
そのとき、腕で謎の傲慢マンを静止する。
「―あの。彼女、俺のツレなんすけど。」
「…お前が、お前があの嬢ちゃんをたぶらかs…」
言いかけのところで、傲慢男の首をカリストの手刀が横切る。
「傲慢に制裁を。さようならだな、傲慢男。」
カリストは決めゼリフでも吐いて、その場を去っていった。
「あ、カリストくん待ってよー!」
アラードも慌てて追いかける。
その背後では、首が千切れた物体が変容を遂げようとしていた。
「……おのれ…。お…ノレ…!!」
―だが、無理だった。変容できず、そのまま塵となって消えた。
あっけなく終わった謎の傲慢男戦を終え、しばらく歩いて農村“ゲルミー”に着いた。
「うわぁ~、農村はのどかでいいね。」
「ほら見て水車!!ほんとカワイイ…♡」
アラードの特殊癖に戸惑いながら、適当に相槌を打っておく。
村の中でも一際目立つ村長邸を訪れ、とりあえず聞いておくことを聞く。
「村長さん、討伐依頼ってありますか?」
村長邸には、相当歳を重ねていそうな村長の姿があった。
「おぉ、お若い方々。よくいらしてくれましたな。討伐依頼なんて、いくつもいくつもありますとも…。」
討伐依頼について話し始めると、途端に表情が暗くなった。
「ゲルミーは長年、そこにある森“ゲルミー樹林”から出てくる魔物に悩まされてきたのです。ときには建物を丸々壊されたり、人を食い殺されたり…数え出したらキリがありませんぞ。」
話を聞くと、どうやら村全体の高齢化が進み、80歳以下が人口の1%にも満たないそうだ。そのため、魔物の討伐にも躍起になれず、野放しになっているのが現状らしい。村全体の平均年齢は300歳、村長さんは御年360歳らしい。
「分かりました。それでは、獄門会議事録から発表されている深刻度が高い方から処理していきます。」
「頼みますぞ、お若い方々…!」
先ほどよりは少しばかり明るい顔で見送っていた。
「とりあえずしばらくここを拠点に魔物を倒して、討伐依頼を消化しよう。」
「OK!一緒に行動でいい…?」
ちょっと寂しそうに腕にしがみつくもんだから、拒否することなんてできないじゃないか。というわけで非効率ながら一緒に森の魔物を倒していきます。
ラブコメは得意じゃないので、無理やり戦闘回にしたい人です。




