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須藤家の人たち

作者: ルルのまま

ある土曜日の須藤家のリビングダイニングでの、何気ない会話から始まる短いお話です。

「日曜日は大荒れの天気になるでしょう…。」

大荒れ…かあ。

大荒れ…ねえ。

「大荒れ」って一口に言うけど、どれぐらいなんだろう?

もうちょっと、具体的に伝えてくれたらなあ。

「ねえ、お母さん、明日の日曜日、大荒れって言ってたけど、どれぐらいなんだろうね?」

よしこは母に訊ねた。

「う〜ん…そうねえ…大荒れ…大荒れ…。」

ダイニングテーブルでサヤエンドウの筋取りをしていた母の手が、不意に止まった。

ほんの数秒程度なのだろうけど、よしこにはそれが「しばらく」ぐらいの時間に感じられた。

「…そうねえ…多分…反抗期の中2ぐらい…そのぐらいの荒れじゃないのかなあ?」

すると、すかさず、同じくダイニングテーブルで宿題をしていた弟のカズキが口を開いた。

「えー!だったらさあ、大したことないじゃんか。」

「えっ?そ〜お?お母さんが中学生の頃は、なんていうの…その、不良ってのか、ツッパリが全盛だったからねえ…漫画やテレビや映画なんかでも、その手のやつばっかりだったから…お母さんとしては、反抗期の中2っつったら、結構、荒れてる印象だけどね。」

「そっかあ…。」

よしことカズキは、同時に同じ台詞がかぶった。

「あ!でも…。」

不意に母が何かに気づいたらしい。

「真冬の手荒れも、なかなかの大荒れかなあ…。」

よしことカズキは、毎年、冬になると水仕事で手があかぎれだらけで痛そうにしている母の手を思い出した。

「あ〜…そっちの方が大荒れって感じ。」

よしこの意見にカズキも「そうそう。」と同意した。

「じゃあさ、日曜日の大荒れの程度は、反抗期の中2よりも、真冬のお母さんのあかぎれぐらいってことで…。」

よしこが日曜日の大荒れ=真冬の母のあかぎれに決定しようとした瞬間、ソファーで新聞を読んでいた父がおもむろに、「いやいや、お前達、何言ってんの?大荒れったら普通は台風ぐらいだろうよ…そんな反抗期の中2だの、真冬の母さんのあかぎれだの、例えが下手すぎるんじゃないかい?」と、笑いながら返した。

「あ〜!」

よしことカズキ、そして、母の3人は、父の発言に至極納得した。

「お父さん、すご〜い!」とよしこ。

「さっすが、お父さん!」とカズキ。

「やっぱりお父さんは違うわねえ。見直しちゃった!」と母。

「そ、そうかあ…ははは…じゃあ、なんだ、寿司でもとるか?」と上機嫌の父。

こうして、須藤家の晩御飯は、急遽、宅配のお寿司になりました。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

もし宜しければ、他の作品も読んでいただけたら嬉しいです。

どうぞ宜しくお願い致します。

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