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第38話 変貌したレオナルド

「た、大変だ! ほ、ホントに死人が生き返ったらしい!」


 大声を発しながら階段を慌てた様子で降りてきたヤコブだったが、レオナルドの様子を見て足がすくみそうになった。


 階段に座っていたはずのレオナルドが立ち上がって隠し通路の手前に立っている。


 その奥、連絡通路の屋敷側にはアンドレアスが小刻みに震えながらヤコブの方を見て泣きそうな顔をしていた。


 ヤコブの足がすくみそうになったのは、そのレオナルドの顔だった。


 自分の足音に気づいて振り向いたその顔は、もはや自分の知っているレオナルドではなかった。


 眉間には異常なほどにシワがより、口は二倍くらいに広がって、その中から覗いている歯は全て犬歯のように鋭く尖っており、その一本一本が個別に動いていた。


「レ、レオナルド……」


 ヤコブは足がすくんで動けなくなりかけた時、さらに追い討ちをかける事が起きた。


「ヤコブ……ど、どうした? こ、このワン公が俺から逃げるんだよ。ど、どうしてかなあ?」


 人ではなくなったはずのレオナルドがヤコブに話しかけてきたのだ。


「レ、レ、レ、レ、レオナルド! だ、大丈夫なのか? 何か顔が変だよっっ」


「え? か顔が変? 何言ってんだヤコブ。そ、それよりもさあ、このワン公のトコに行こうとすると、い、いい行けないんだよお。ここ、ここに何かあるみたいでさあ……」


 確かにレオナルドはアンドレアスのいる通路に入ろうとしても壁があるかのように前に進めない。


 ヤコブは意味が分からなかった。


「ああ~。なな何だか喉が妙に乾いてさあ……。ななあヤコブ……」


 レオナルドはアンドレアスをあきらめたのか、ゆっくりとヤコブの方に方向転換をすると、手を前に出して向かってきた。


 ゆっくりと向かってくるレオナルドに、ヤコブはビビりまくり、全く足が言う事を聞かなくなってしまった。


(に、逃げないと……もうコイツはレオナルドじゃないっっ)


 そう思ってもヤコブは動く事が出来ない。


 そう考えている間にもレオナルドはゆっくりとこちらに向かってくる。


(ああ~……やばい~~~~っっ!)


 その時だった。


 カツカツという足音と共に、隠し通路から人の声が聞こえてきたのだ。


「オクタヴィアンマジで、ここで寝たのか? 信じられん! こんな汚ったないっっ……でもここすごい火事だったのに全然大丈夫だったんだなっっ」


「ボクもビックリしたんだよ。あ、グリゴア、ちょっと先、気をつけて。屍食鬼……怪物の首が転がって……あれ? アンドレアス?」


 この一言でアンドレアスはオクタヴィアンとグリゴアが通路に入ってきた事に気がついた。


「ダ、ダンナ~~~~~~~~~~~~~~~っっ!」


 アンドレアスは嬉しさのあまり子犬のようにオクタヴィアンに抱きつこうとしたが、オクタヴィアンはしっかり阻止した。

 一方、いきなり毛むくじゃらの男を見たグリゴアは、驚いて後ろに三歩下がって剣を抜いた。


「な、なんだよっっ! キモい!」


「へ、へい、ダンナ~っっ。あ、あの、何とかって兵が、か、怪物になっちまったんですわ~っっ」


「え?」


 オクタヴィアンは慌てて隠し通路ので口まで行くと、思いっきり空気の壁にぶつかり跳ね返されて、グリゴアとアンドレアスの目の前に倒れ込んだ。


 アンドレアスは何が起こったのかさっぱり分かっていないし、グリゴアは何が何だか分からない状態になっている。


 そうだった~……。ここの城に何故か入れないんだった……。く~っっ、恥ずかしいやら、情けないやら~~~~っっ!


 オクタヴィアンは少しはにかみながら立ち上がって身なりを整えた。


「グリゴア。説明が難しいんだけど、ボクに『城に入っていい』って言ってくれないか?」


「え? 何言ってんだ? それにここはおまえの城だろ? その前にこの毛むくじゃら何だよ? 説明しろよっっ!」


「それは後で言うから! 先にいいって言ってくれって! 頼むからっっ!」


「え? い、いいよ。入って」


 その言葉を聞いたオクタヴィアンはちょっとホッとした顔をするとすぐさま城への出口に出た。


 すると上り階段のところで兵士だったレオナルドが、妙な動きをして階段の所から動けなくなっているヤコブを捕まえようとしているのが目に入った。


 ヤコブは冷や汗と涙でぐちゃぐちゃな顔になっており、オクタヴィアンを見つけるや否や、確実に助けを求める目をしている。


 ありゃ! こりゃ大変!


 オクタヴィアンは一瞬にしてレオナルドだった屍食鬼の後ろにピタっと着くと、首根っこの襟を子猫を掴むように掴み、部屋の隅っこの先に殺した屍食鬼をぶつけた壁までオクタヴィアンはスタスタと移動した。


 当然、襟を持たれた屍食鬼は手足をバタバタさせて抵抗するのだが、オクタヴィアンは全く気にしない。


 そしてこの場にいた三人に声をかけた。


「いいかい~! 今からコイツを殺すから出来るだけ下がってよ~! コイツの血がキミ達に着いたら、キミ達もこんなになるからね~! じゃあいくよ~!」


 この掛け声を聞いたヤコブは階段を駆け上がり、グリゴアとアンドレアスは慌てて隠し通路の奥の方まで逃げた。


 オクタヴィアンは三人が下がった事を認識すると、襟で持っていた屍食鬼をその場に下ろし、左手で身体を抑え、右手で頭のてっぺんを掴むと、このまま頭をグリン! バギバキ! と一八〇度回転させた。

 しかし屍食鬼はまだ動いている。


 そっか……こんなんじゃ屍食鬼は死なないんだ……


 そう理解したオクタヴィアンはそのねじれた頭を首の部分から鋭い指でバッサリと切り離した。


 すると屍食鬼は首は床に落ち、残った身体は力が抜けて、その場に血を吹き出しながら崩れかけた。


 オクタヴィアンはその血まみれの身体を支えた。


 とりあえず血を飲んどくか……


 そう思ったオクタヴィアンは、吹き出している首に口を当てると、ゴクゴク血を飲んだ。


 ん~……まだ、人の血の味がして、美味~~~~~~~♪

 

 そんな血に酔いしれているオクタヴィアンを横目に、グリゴアとアンドレアスとヤコブは部屋に戻って来たが、見てはいけない物を見た気がして、グリゴアはアンドレアスの事をヤコブに入ってもらって、ここまでの事情などを聞かせてもらっていた。

ここまで読んで頂いて、本当にありがとうございましたっっ!!

まだまだこんな感じで進むんですけど、

よろしかったらお付き合い頂くと嬉しいですっっ。

では、今回も本当にありがとうございましたっっ!!

感謝♪感謝♪♪

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