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第20話 ここはどこ?

 オクタヴィアンは暗闇の中にいた。


 足元さえ見えないほどの真っ暗闇。そして肌を切るような冷たさ。

 オクタヴィアンはなぜこんな所にいるのかさっぱり分からなかった。

 しかしこの不気味な暗闇に心細くなり、見えないながらも少しずつ歩き始めた。


 ここは何かヤバい! とにかく明るい場所へ行かないとっっ!


 オクタヴィアンは少しずつ歩いていたのが気がつけば早足になり、そして走り始めていた。


 とにかくこの暗闇から出たい!


 しかしその暗闇はいつまで経っても続いており、抜け出せる気が全くしない。

 そう思いながらも走り続けると、暗闇はいつしか細かく枝分かれをし始め、無数の手のようになり、オクタヴィアンに絡みついてきた。


「な! え?」


 オクタヴィアンは慌てて避けるがその暗闇の手は避けても避けてもオクタヴィアンに絡もうと向かってくる。


「く、くそ~!」


 オクタヴィアンは必死で絡みついた暗闇を引きちぎったり、払ったりして前に進もうとした。しかしそれも限界があり、オクタヴィアンは暗闇に捕まってしまった。


「な、なっっ」


 オクタヴィアンは逃れようともがいてももがいてもその暗闇が離さない!


 すると暗闇の先に、誰か二人の人間が同じように捕まっている事に気がついた。


 オクタヴィアンはその二人に気がつくと、顔を見ようとじっくりと見つめた。

 その二人は少しずつ近づいてくる。

 そしてオクタヴィアンは驚いた。


 ローラとヨアナだ!


「オクタヴィアン様」


「パパ……」


 そう言うと二人の目や鼻、口などの穴という穴からその暗闇は入り込み、更には身体中に穴を開け始めそこから暗闇が侵入し、侵食し、その暗闇にズブズブと飲み込まれてしまった。


「うわあああああああああああああああああああああああっっ!」


 オクタヴィアンは目の前で起きたおぞましい悲劇に気が狂いそうになった。


【次はおまえだ】


 謎の声が聞こえ、今度はその暗闇が自分の目や鼻や耳から暗闇が入り込み、また身体に穴を開けられ、どんどんと侵入しながら侵食していくのを感じた。


 や、やめてくれえええええええええええ~…………


 


 オクタヴィアンは異常に疲れた気分で目を覚ました。

 

 何だかとても嫌な夢を見た気がする。なんだか思い出せないが夢でよかった……。


 オクタヴィアンは一息つくと、自分がいつものベッドで寝ていない事に気がついた。


 ……何か妙に狭い空間に身体が収まっているのは分かる。

 

 ええ~と~……、ここは……どこだ?

 

 目に入ってきたのは部屋の木の天井。

 それもかなりかなり古いようで、所々に穴や軋みがあるのが確認できる。

 そして今は夜のようだ。


 でも変だ。


 木の天井の、木目一つ一つを数える事ができる。


 そんなに夜が見える事なんて……



 オクタヴィアンはその木目の一つ一つを見ているうちにだんだんと我に返ってきた。


 ここは……あれ? ボクは……何をしてたんだっけ? あれ? 何だっけ?


 まだ頭が混乱している中、オクタヴィアンは少しずつ気を失う前の出来事を思い出した。


 そ、そうだ! ボクはアンドレアスに毒を飲まされて……そこにラドゥが来て、ローラとヨアナ! あ、あの男! ボ、ボクを吸血鬼にしようとした!


 吸血鬼!

 

 ……ええ? そんな事あるかあ? 吸血鬼って? そんなウソみたいな話。きっと……きっとヨアナが倒れた事も何もかも夢だ。そうだ、きっとそうだ。


 そうオクタヴィアンは思い直すと身体を起こし、周りを見てみた。


 そこは何をしているのかオクタヴィアンには全く想像もつかない部屋だった。


 圧迫感のあるほど部屋は狭い。

 というか、ほったて小屋とか古い物置みたいに天上も壁も気がむき出しでボロボロだ。

 その部屋の入口から向かって真正面に大きな窓が一つ。

 その窓には昔は立派だったであろう古びた赤いカーテンが両側にくくりつけてあり、窓から月明かりが差し込んでいる。

 そして窓に付けるように大きな古い机とイスがあり、それ以外にもサイドボードなど、部屋の中には棚が壁中に置いてあり、それぞれに変わった形のガラスの瓶の数々、葉っぱを大量に入れてある瓶、カエルやトカゲの干物、使いふるした布きれや小皿の山、天井くらいまで積まれた本などが乱雑に置かれていて、さらにカビ臭い。


 しかし驚いたのは自分が寝ていたのは、その部屋の中心に置いてある棺桶の中だった、という事実だった。


 いやいやいやいや、棺桶って…………っっ。


 そう思いながらもどんどんオクタヴィアンは不安になる。そしてあらためて、ここがどこか全く見当もつかない。


 オクタヴィアンは思い切って棺桶から出る事にした。

 棺桶は地面に直置きされているみたいなので、高さや足下の心配はいらなさそう。


 オクタヴィアンは立ち上がり、棺桶から出た。

 

 ここはきっとあの男の書斎か何かだ。

 この狭い部屋にあまりにも見た事のない物が散乱しまくっているし、何かを調べて書き物をしている後もある。


 しかし窓から差し込む月明かりが、こんなに明るいとは知らなかったな。

 部屋の隅々までよく見える。まるでお昼のようだ。

 

 こうやって部屋をじっくりと見ているうちに、オクタヴィアンは冷静になってきた。


 …………これは……やっぱり……あの男の家で…………ボクは吸血鬼になっちゃったのでは……? だからこんなに夜なのにいろいろ見えるのでは?


 そう思ったオクタヴィアンは身震いをした。


 いや、吸血鬼もそうだけど、ローラやヨアナはどうなったんだ? それにアンドレアスは? っていうかあれから何日経ったんだ?


 オクタヴィアンがだんだんと不安にかられた時、家のドアがギィ~と開く音がした。


 あの男だ! あの男が帰ってきたんだ!


 そう思ったオクタヴィアンだったが、どうしていいか分からず、とりあえずまた棺桶に入って寝たふりをした。


 しばらくすると案の定、あの男が部屋のドアを開けて入ってきた。

 すると男は入るなり笑顔になって笑い始めた。


「ははは。おまえ、起きたのか? 寝たふりをしても無駄だ。おまえが動いた後の部屋の空気の流れを感じる。一度立ったんだろう。違うか?」


 この言葉に全て見破られている事を悟ったオクタヴィアンは、無言で少し不貞腐れた顔をしながら上半身を起こした。


「……そんな事も分かるんですか?」


 オクタヴィアンは男に聞いた。


「ふむ。まあな。しかし、ちゃんと話せるようになったし、立てたという事は動けると思ってよさそうだな」


 男はオクタヴィアンの様子をじっくりと観察しながら話した。

 その言葉でオクタヴィアンは気を失う前に動けないほど体が痺れていた事を思い出した。


「そ、そうだ! そうだった! な、ボ、ボクはどうやって助かったんですか?」


 オクタヴィアンは男に問いかけた。


「吸血鬼になったからだよ」

ここまで読んで頂いて、本当にありがとうございましたっっ!!

この話から新章ですけど、

相変わらずな感じで進みます。

こんなでよかったら引き続きよろしくお願いしますっっ。

今回も本当にありがとうございましたっっ!!

感謝♪感謝♪♪

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