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魔王とドラゴ  作者: スケロク666
6/75

魔王様の弱点

 ズゥゥゥウゥ、ズゥゥゥウゥと何かを引きずる音とどす黒い殺気がこちらに近づいてくる事に二人は警戒を強める。しかしモンスターが放つ殺気と違い背中のあたりに冷たいモノを感じる。二人は恐る恐る音の方を向くと何体悪霊が纏わりついて両手で大きな剣を引きずっている右目あたりに大きな青いたんこぶのある骨と皮のお化けがいた。「ぎゃやややっややややお化け」と情けない声をこの場で叫ぶべきはずでないハルが情けない大声をあげて叫んだヨーキの背後に隠れた。


 その様子を落ち武者のお化けは「おれはお化けじゃない」と大きな声を上げた。時間差でヨーキもお化けの存在に気付き「おばけいない おばけいない おばけいない おばけいない おばけいない おばけいない」などと何度も何度もブツブツいいながら後ろに下がる。さらにお化けは「俺はお化けじゃないっていいってるるだろ」とお化けである事を否定するが、同時に「吾輩の部下のエルはあがられないけど、世界を征服したら半分いや1/3をお前にやるから見逃してくれ頼む、一生のお願いだ」と悪魔はお化けを見ながらブルブルと体ふるわせていた。埒が明かない事にイライラを募らせたお化けは「お前らいかけげんにしろぉぉぉぉお、国で一番の剣士レオン様を怒らせて楽しいぃぃか」キレだした。



 その名前を聞いたヨーキは頭の中にいるレオンと自分の事をレオンだと自称するお化けを照合してみた。確かに記憶の中の剣士レオンは肩まで伸びる長くて艶のある金髪・空よりも青い碧眼・高身長であり森の近くに住むゴブリンたちからはエルフと間違えられるほど年は二十代後半だが十代に見えるほどの美青年だった。また100人の盗賊団と戦った時にその辺に落ちていた棒切れしか使わなかったにも関われず一太刀も浴びずに倒しほどの天才剣士である。また国王からの評価や仲間からの信頼もとても厚くレオンの言う事はパーティ内にレオンの指示はどんな時でも正しいと皆から思われるほどだった。ちなみにこのダンジョンに封印されている魔剣を取りに行こうと言い出したのもレオンだったと思う。顔とは対照的に性格は不細工で試し切りと評していたずらにヨーキの住んでいたガンソード領の牛や馬を切り殺したりするほどのカス野郎だった。またそれを止めに入った女の子を切りつける真正のカスだった。さらにヨーキに飲ませた毒物を人々が使う川や井戸に放り込むキングオブクズだった。



 ヨーキの目の前にいるお化けは顔だけは良いレオンと全然似ていなかったが肉汁が凝縮されたハンバーグみたいにレオンのどす黒い邪悪さがにじみ出ていたことからヨーキは「もしかしてレオンさんですか、私はヨーキですよ。あなたと仲間を不慮の事故でお亡くなりになった件は反省していますのでどうか許していただけませんか」とお化けに語り掛ける。「微塵も悪いと思ってねぇのか、ふざけやがって俺はまだ生きているぞ」とお化けは怒鳴り散らす。埒が明かない事にイラつくレオンは「俺の体は透けていないだろ、」ハルとヨーキは勇気を振り絞ってお化けをジーッと見た。するとお化けなのに体は透けていないし、足も影もきちんとあった。二人は目の前にいる剣士がお化けでないことが分かるとは互い顔を見合わせて、体を抱き合い助かった事にワンワンと泣いて喜んだ。二人の寒いコントに怒りを通り越して呆れ顔のレオンは小川で自分の顔を確認して驚愕した。なんとそこには絵画のように美しい顔ではなく醜いお化けがいたからだ。それに驚き叫んだ。「ぎよよぉぉぇぇぇ」と情けない声を上げながら変な踊りをして地面に倒れこんだ。


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