自称魔王が現れる。
「ややっったたたたたーぁああああ」
「肉だぁ肉だぁ」
「脳みそが旨そうだなぁな」
甲高い声がヨーキの意識は呼び起こした。
「私は世界で一番の親不孝モノなのに天国にきてしまったよは、は、は、」
と自虐的に笑いながらも「父さんにちゃんと約束を守れなかった事を謝らないとな」
「父さんは許してくれないだろうな」
感傷に浸っている所に頭にヤギのような大きな角とギザギザの牙に真っ赤に燃えるような赤色の肌、肉食獣のような黄色く光る目を持ったまるでおとぎ話の世界から飛び出したきたような赤い悪魔がいた。そいつの手にはどこかで見た事あるような刀を握っていた。
ヨーキはため息をつきながら「地獄にきちゃったのかなは、は、は、」
「 私たち一族は色んな人に恨みを買いすぎたのかな、お父さんもお爺ちゃんもそのまた
お爺ちゃんもけして悪い事をしなかったはずだけど、覚悟はできてるつもりだったけど地獄は怖いなと」体がじんわりと熱くなり呼吸が乱れて自然と目から涙があふれてきた。
「いや私生きている生きている」胸に手をあてバクバクとなる心臓の音を聞いて安堵するも
「あーどうましょう目の前に魔物がいる魔物がどうましょう」
「さっきみたいに神様私をたすけてください」
「もう一回奇跡を起こしてくださったら何でもしますから」
と祈ったところで何も変わらない状況にすべてを諦めながら祈っていた。
けれどヨーキの一人寸劇を見た悪魔は「何さっきから訳の分かんねぇ事を申しているんだ?貴様のよりこいつの肉の方が100万倍うめぇに決まっているのによ」と魔物の指さした方にこのダンジョンのボスであり伝説の剣を何百年も守っているこの国で知らない者はいないほど有名なウロコカッターイドラゴンだった。こいつは普通のドラゴンのような大きな翼や長い首を持たない代わりに地面を掘るのに特化した長くスコップのように固い爪とモグラのような体に固いウロコに覆われている。通称クソ土竜ことウロコカッターイドラゴンが体液をボタボタと流しながら自分の泣き別れた頭を探し求めて体をピクピクさせながら地面を這いずりまわっていた。そのこと以上に悪魔は腕をゴムのように伸ばしサメのように大きく開けた口に自分の何千倍の大きさのあるであろうドラゴンの頭をに入れた。悪魔の口にドラゴンの頭が入った事で悪魔の頭は風船のように膨らんだ。
そしてゴクリと飲み込むと何事もなかったかのように頭の大きさが元の大きさに戻った。その代わりに体が風船のように膨らんだが、すぐに尻からプシューと音を立てながらしぼみ元のネコ科の肉食獣のようなしなやかな体に戻った。地獄でもなかなか見られない悪魔のドラゴンの踊り食いと伝説のドラゴンを刀一つで倒した驚愕の事実を見たヨーキは糸の切れた操り人形のようにその場に倒れこんだ。
その様子を見てゲラゲラと腹を抱えて笑いながら「久々に笑ったわい」「この吾輩イブンルシュド・ハルドゥーン様を笑わせた貴様に褒美として名前と吾輩の配下にしてやる。あと魔王として世界の半分もくれてやるわい」「名前はそうだなサルいや縁起悪いからエルにしよう」「そして我が名はイブンルシュド ハルドゥーンだ だからハルって呼んでくれ。エルよ、あっやっぱり配下は十人ぐらい欲しいからさっきの半分はなしでな、許せエル」ヨーキは知らない間に自称魔王の仲間になってしまった。