プロローグ
━━━━━ババババババッ………
鳴り響くプロペラの音…
『─只今から作戦を実行する』
ザッ、ザッ、とノイズ混じりの音が機内に響く…
全てを飲み込みそうなほど深い深い藍色の夕暮れ過ぎの空に、武装した集団は恐怖すら覚えていた。
作戦開始を合図に機体は「ソレ」との距離を詰める。
機内の空気が緊張に染る。
機内から見える「ソレ」はこちらを招き入れている様にも感じる。
そして消えていくのであった。この世のものとは思えぬほど不気味で、禍々しく、そしてどこか幻想的な大きな大きな穴の中へと…
けたたましく鳴り響くサイレンの音から逃げるように「──」は路地裏へと身を進める。
「なんで…」
奥歯を噛み締め、呟く言葉は誰に届く訳でもなく。
「いっそここで終わってしまいたい」という感情を押し殺し、いつの間にか重くなっている足を進める。
どのくらい歩いただろう。
知らない周囲の光景と人の気配のないこの場所にため息をこぼす。
しかし、その時間は長くは持たなかった。
いつの間にか「ソレ」はそこに存在した。
「ソレ」はどこまでも深く、どこまでも美しく、「──」の心を奪うには十分すぎるものだった。
美しすぎる「ソレ」に引き込まれるように「──」は無意識に手を伸ばす。
瞬間「ソレ」は「──」を飲み込んでしまった。
「ソレ」があった場所には何事もなかったかのように、ただただ元の風景が広がっているだけだった。




